ヤンタンやっていた時に何かの都合でセーター貰ったらしいです

Posted on 3月 27, 2017

昔、たかじんさんに熱狂的なファンがおって、ヤンタンやっていた時に何かの都合でセーター貰ったらしいです。
その後、その子が死んでしまって、ヤンタンに送られてきたらしいんですよ。たかじんさんはその人と何の関係も無くて、只のファンやったそうですけどね。
何か、そのセーター貰ってから
「おれ、どうも熱続いてなぁ。このセーター貰ってから調子悪いねん。」
そしたら、シゲちゅうやつがおって、
「ほな、そのセーター俺が使いますわぁ。」
と持って帰ったら、二日後から高熱が出て、
「あかんわぁ。このセーターほんと何かあるんちゃいますか?」
どう言うたらいいか知らんけど、って熱が4日ぐらい続いたらしいです。
これ処分しよう、御祓いして本堂に納めた方が良い、ということになり、ヤンタンに持ってきたんですよ。
そのディレクターの増山さんという方が、
「取りあえず、俺が預かってぇ。明日お寺に持って行くわ。」
と、帰りにお寺に持って行くつもりでデスクに置いといて、ヤンタンが終わった後、そのセーターを持って駐車場に行ったら、増山さんの車のガラス全部割れとったんや、粉々に。
で、「げぇー」と思うて、マジな話ですよ、取りあえずそのまま一睡もせんと毎日放送におって、近くのお寺に行ってそれを納めたんや。
それで、とどこうりなく御祓いは終わったと。

高校生の頃、俺のクラスにいつもいじめられているオタク風の根暗なデブ男がいた

Posted on 3月 25, 2017

高校生の頃、俺のクラスにいつもいじめられているオタク風の根暗なデブ男がいた。実を言うと俺もいじめていた1人だった。
そんなある日の昼休み。俺はあるプリントを5時限までにやらなくてはならず、昼食を食べる間も惜しんで書き進めていた。
ふと気がつくと教室には4、5人の生徒がいるだけで、ほかの奴らは学食や屋上や中庭へ出ていた。教室に残っていた生徒の1人が、その問題のデブな奴で、弁当をまるで隠すようにコソコソと食べていた。
それを見ていた俺は、急に腹が立ってきて、奴の席に近寄って
「○○くん、何をそんなにコソコソ食べてるのかな?俺は忙しくて食事をする暇もないよ」
と言うと、奴はあわてて弁当に蓋をした。
「おいおい、何も隠す事はないだろ。俺は今日は弁当持ってないから、良かったら俺にも分けてくれないか?」
と俺は何気なく奴の弁当に手を出した。
すると、奴は弁当にサッと覆い被さって、俺を睨んできた。それを見た俺はカッとなって、
「おい、なんだよ、その態度は?だいたい人に見せられない弁当なら持ってくるなよ」
と言うと、奴はニヤリとこれまでに見せた事もないような笑みを浮かべて
「そんなに見たれば、みせてあげてもいいよ」
と言って弁当の蓋を空けた。
俺は奴の態度にわずかな不審を抱きながらも、弁当の中を見た。そこには何の変哲もないサンドイッチが入っていただけだった。
俺は安心して、
「なんだ、ただのサンドイッチじゃないか? 1つもらってもいいか?」
と返事も聞かずにサンドイッチを取って、奴がニヤニヤするのを横目に口にした。
すると、なんとも言えない味が口の中に広がり、俺はあわてて、トイレへ行き、口の中のものを吐き出した。なんと、俺の吐き出したものの中には、もぞもぞと動く蛆虫がいたのだ。
俺がギョっとなって立ち尽くしていると、後ろから奴が近づいてきて、
「ほかの人たちには言わないほうがいいよ。どうせいつものいじめだと思われるから」
と嬉しそうに言いやがった。
その後俺はショックでしばらく学校を休んだが、ようやく出てきた時には、奴は一身上の都合とやらで転校した後だった。
果たしてあのサンドイッチを奴が食べていたのか、それともいつものいじめの仕返しだったのか、今だに判断がつかないでいる。

人ごみにまぎれて妙なものが見えることに気付いたのは去年の暮れからだ

Posted on 3月 25, 2017

人ごみにまぎれて妙なものが見えることに気付いたのは去年の暮れからだ。顔を両手で覆っている人間である。ちょうど赤ん坊をあやすときの格好だ。
駅の雑踏の様に絶えず人が動いている中で、立ち止まって顔を隠す彼らは妙に周りからういている。
人ごみの中でちらりと見かけるだけでそっちに顔を向けるといなくなる。最初は何か宗教関連かと思って、同じ駅を利用する後輩に話を聞いてみたが彼は一度もそんなものを見たことはないという。
その時はなんて観察眼のない奴だと内心軽蔑した。しかし、電車の中や登下校する学生達、さらには会社の中にまで顔を覆った奴がまぎれているのを見かけてさすがに怖くなってきた。
後輩だけでなく何人かの知り合いにもそれとなく話を持ち出してみたが誰もそんな奴を見たことがないという。だんだん自分の見ていないところで皆が顔を覆っているような気がしだした。
外回りに出てまた彼らを見かけた時、見えないと言い張る後輩を思いっきり殴り飛ばした。
俺の起こした問題は内々で処分され、俺は会社を辞めて実家に帰ることにした。俺の故郷は今にも山に飲まれそうな寒村である。
両親が死んでから面倒で手をつけていなかった生家に移り住み、しばらく休養することにした。
幸い独身で蓄えもそこそこある。毎日本を読んだりネットを繋いだりと自堕落に過ごした。手で顔を覆った奴らは一度も見なかった。
きっと自分でも知らないうちにずいぶんとストレスがたまっていたのだろう。そう思うことにした。
ある日、何気なく押入れを探っていると懐かしい玩具が出てきた。当時の俺をテレビに釘付けにしていたヒーローである。
今でも名前がすらすら出てくることに微笑しながらひっくり返すと俺のものではない名前が書いてあった。
誰だったか。そうだ、確か俺と同じ学校に通っていた同級生だ。同級生といっても机を並べたのはほんの半年ほど。彼は夏休みに行方不明になった。
何人もの大人が山をさらったが彼は見つからず、仲のよかった俺がこの人形をもらったのだった。
ただの懐かしい人形。だけど妙に気にかかる。気にかかるのは人形ではなく記憶だ。
のどに刺さった骨のように折に触れて何かが記憶を刺激する。その何かが判ったのは生活用品を買いだしに行った帰りだった。
親友がいなくなったあの時、俺は何かを大人に隠していた。親友がいなくなった悲しみではなく、山に対する恐怖でもなく、俺は大人たちに隠し事がばれないかと不安を感じていたのだ。
何を隠していたのか。決まっている。俺は親友がどこにいったか知っていたのだ。夕食を済ませてからもぼんやりと記憶を探っていた。
確かあの日は彼と肝試しをするはずだった。夜にこっそり家を抜け出て少し離れた神社前で落ち合う約束だった。
その神社はとうに人も神もいなくなった崩れかけの廃墟で、危ないから近寄るなと大人達に言われていた場所だ。
あの日、俺は夜に家を抜け出しはしたのだが昼とまったく違う夜の町が怖くなって結局家に戻って寝てしまったのだ。
次の日、彼がいなくなったと大騒ぎになった時俺は大人に怒られるのがいやで黙っていた。そして今まで忘れていた。
俺は神社に行くことにした。親友を見つけるためではなく、たんに夕食後から寝るまでが退屈だったからだ。
神社は記憶よりも遠かった。大人の足でもずいぶんかかる。石段を登ってから神社がまだ原形をとどめていることに驚いた。
とうに取り壊されて更地になっていると思っていた。ほんの少し期待していたのだが神社の周辺には子供が迷い込みそうな井戸や穴などはないようだ。
神社の中もきっとあのときの大人たちが調べただろう。家に帰ろうと歩き出してなんとなく後ろを振り返った。
境内の真ん中で顔を両手で覆った少女が立っていた。瞬きした。少女の横に顔を覆った老人が立っていた。
瞬きした。少女と老人の前に顔を覆った女性が立っていた。瞬きした。女性の横に古めかしい学生服を着込んだ少年が顔を覆って立っていた。
瞬きした。皆消えた。前を向くと小学生ぐらいの子供が鳥居の下で顔を覆って立っていた。俺をここから逃がすまいとするように。あの夜の約束を果たそうとするように。

その年のKの夏休みはバイト漬けの毎日だった

Posted on 3月 25, 2017

その年のKの夏休みはバイト漬けの毎日だった。夜は警備員のバイト、そのまま朝になったら新聞配達をして寝るという生活が続いていた。
ある日、Kが勤める警備会社の社員が「10分ほど行った所にあるビルなんだけど、異常があったようだから見回りしてくれない?バイト代に色付けるから」
と言ってきたので、Kは一緒にまわる友人Sと、二つ返事で承諾した。
異常があったのは5階建ての雑居ビルで、見るからに何か出そうな雰囲気だった。鍵を開けて中に入る。異常があったとされる1階は何もなかった。
一応、各フロアも回るように言われていたので、各階ごとに一人が見まわり、もう一人は非常口が見えるエレベーターホールで待っていよう、ということになった。
上から順番に、5階は友人Sが見まわり、4階はKが…という段取り。5階で友人Sが見回っている間、Kは非常口のドアノブを回してみたが、カギが掛かっていて開かなかった。
Sが「異常なし。こりゃもうけたな」っと笑ってホールに戻ってきた。
次は4階、Kが見回る番だ。階段が使えなかったのでエレベーターで4階へ。
見回りをしようと思ったその時、Kの携帯に会社から電話が入った。アンテナが1本しか立っておらず、出るとすぐに切れてしまった。表示は圏外。
友人Sはここで待ち、Kは外に出て電話をかけ直すことになり、何の気なしに非常口のノブをひねると、この階のドアは開いた。
電波がなかなか入らず、3階、2階と階段で降りていったが、どちらの階も非常口のドアは鍵が掛かっており、開かない。
Kが1階に着いたときに携帯がまた鳴った。表示を見ると会社からだ。急にアンテナが3本立ったので出ると、社員の人がなぜか友人Sの事をしきりに聞いてくる。
さっきから何度もSの携帯番号から会社に電話がかかってきているらしいのだが、出ると必ずザーっと言うノイズ音しか聞こえないため、何かあったのか心配になったのだという。
「いや、何もないです。Sの携帯の故障じゃないですか?」と笑いながらKが言うと、「何もないならいいんだ」と言って切れた。
Kは4階へ戻ろうとしたが、階段は疲れるのでエレベーターで行こうと非常口のドアノブを掴んだ。すると、ここも鍵がかかっていなかった。
中に入り、エレベーターの上ボタンを押すが、一向にエレベーターは4階から動かない。
Kは友人Sが悪戯をしているのだと思い、仕方なく階段で4階まで戻った。
しかし、友人Sはエレベーターホールにはいなかった。
エレベーターを見ると、1階で止まっている。
一応、4階を見回ったのだが、友人Sの姿は何処にもない。
先に3階を見に行ったのか?とエレベーターを呼び乗り込むと、友人Sの携帯がエレベーターの中に落ちていた。
(Sの奴、帰ったのか…?)
Kは仕方なく、一人で残り3フロアの見回りをした。
(終わった、疲れた、もう帰ろう――。)
しかしこのとき、重要な事を思い出した。
この場所には、会社の車をSが運転して来たのだ。Kに至ってはバイクの運転はできるが車は運転出来ない。
これでは帰れないじゃないか!と思って外に出ると、案の定、そこに車はなかった。
仕方なく、Kは歩いて会社へ戻ったのだった。
その日、友人SはKを置いて会社へ戻ると、そのまま仕事を辞めてしまったのだという。
会社の人はKに「もう帰っていいよ」と言った。
Kは何か釈然としなかったが、臨時収入をその場で渡され、「まぁいいか」と結局そのまま帰ることにした。
しかし、制服をしまうとき、ポケットの中に友人Sの携帯を見つけた。返すのを忘れていたのを思い出した。
忘れていたというより会えなかったというのが実際の所だが…。
Sは自宅に電話を引いてない。携帯がなくては大変だろうと思い、文句ついでに届けてやろうとKは新聞配達のバイト後に彼の自宅へ行った。
友人Sの家はボロアパートの二階だった。チャイムを押しても出てくる気配がない。何回も押すと近所迷惑だろうと思い、また夕方にでも来ようとKは家に帰って寝た。
しかし―。
ほどなくしてKは電子音で叩き起こされる。時計を見ると7:30。鳴っているのは友人Sの携帯だった。仕方なく出ると、電話相手はSの母親だった。
Sが家にいないと言うので、眠い目をこすりながらすぐにまたSのアパートに向った。チャイムを押すと、すぐに母親が出てきた。
ドアの隙間からチラッと見えた友人Sの部屋の中。
何か変な感じがした。大したことではないのだが、壁紙の柄が妙だな…という印象を受けたのだ。
Sの母親は「ここじゃなんだから」とKを部屋に入れ、ドアを閉めた。中に入った時、Kの顔は一瞬にして真っ青になった。
それは、その妙な柄の壁紙が…、壁紙だったのではなく、一面、血のまだら模様ができたいたからだ。
例えるなら、指から血が出た状態で壁紙をかきむしり続けたような痕。
Sの母親は「ペンキでも塗らないとダメね…」と雑巾でこすりながらつぶやいた。
Sの母親の話では、Sはあの仕事中、「人を殺してしまった」と母親に電話を入れ、途中で叫び声と共に電話が切れてしまったという。
その後、何度電話しても話し中だったため、父親と話し合って母親が始発電車で彼の家に向かったというのだ。
部屋の中に彼が居なかったため携帯へ電話をかけ、それをKがとったというわけだ。あいにくSの部屋の両隣は留守で、この部屋で何があったのかは分からないのだと言っていた。
そして先日。
なんと友人Sから電話があり、会うことになった。Sはまるで別人の様な顔つきになっていて、はっきり言って話をするまで本当にSなのか?と疑うほどだった。
実はその少し前に彼の母親から電話があり、「Sがあなたに何を言っても、すべて 『疲れていたせいだ。只の幻覚だ』と言ってくれ」と言われていたのだ。
その言葉に、Sは普通では考えられないような事を言うのだろうと覚悟は決めていた。
彼が語った話とは―。
あの日、4階でKが会社からの電話を受け、階段で下に向かったすぐあと、エレベーターが1階に降りていったのだという。
Sは、僕がダッシュで階段を下り、驚かせる為にエレベーターで上に上がって来るのだと思い、逆に驚かせてやるつもりになったそうだ。
そして、エレベーターの前で扉を背にして立っていた。エレベーターが開く音、誰かがゆっくりSに近づく気配がした。
しかしそのとき、非常口のドアが開く音がしたのだそうだ。
Sは(あれっ?)と思い、振り返ったが、その目には非常口が閉まったところしか見えなかった。
(まさか泥棒!?)そう思ったSは、急いで非常口のドアを開けた。次の瞬間、扉が激しく何かにぶつかった。
懐中電灯を当てると、そこには髪の長い女が倒れていた。
その女の体はうつぶせであるにもかかわらず、頭はほぼ上を向いていたという。
Sは怖くなってエレベーターに駆け込むと、その中から必死に母親に電話をしたそうだ。
「人を殺してしまった」と。
その時、スーっとエレベーターのドアが開いた。
そこには、頭がおかしな方向に曲がったさっきの女が這いつくばっていたというのだ。
エレベーターのドアは閉まる…が、女の腕に邪魔をされてまた戻る。それが何度か続いた。
そして次の瞬間、女は立ち上がり、曲がった頭をSの方へ向け、
「憶えたからね」
と言ったのだ。
Sは咄嗟に女を突き飛ばした。
そして(Kが1階でボタンを押していたため)エレベーターは1階に。そのままSは車に戻り、無我夢中で会社へ逃げたそうだ。
その場で会社を辞め、急いで家に帰ったのだが、部屋にいてもあの女がやってくるのでは…と言う恐怖が頭を離れず、部屋から逃げ出したという。鍵もかけずに…。
後になって下の住人から「朝までガタガタ何をやっていたの?」と言われたとき、あの女が来たのだと確信したのだそうだ。
その最後の話を聞いた瞬間、Kは背筋が凍った。なぜなら住人の話からすれば、Kが携帯を返そうとSの部屋に行ったとき、すでに部屋の中にはソレがいたということなのだ。
結論。
エレベーターは必ず前を向いて待とう。ドアはゆっくりと開けよう。人の家のドアはどんな状況でも開けるのはやめよう。
誰かの家の扉を開けたとき、ソレに当たらない保証が、あなたにはあるだろうか?

息子が高校に入学してすぐ、母がいなくなった

Posted on 3月 24, 2017

息子が高校に入学してすぐ、母がいなくなった。
「母さんは父さんとお前を捨てたんだ」
父が言うには、母には数年前から外に恋人がいたそうだ。
落ち込んでいる父の姿を見て、息子は父を支えながら二人で生きていこうと思ったのだった。
しかし、母がいなくなってから家でおかしなことが起きるようになった。家全体が異様な雰囲気に包まれているのを感じた。
ドアが勝手に開いたり、棚の上のものが勝手に落ちるようになった。息子はふと、「母は死んでいるのかも…」と思った。
母が失踪してから置いたままになっている、玄関にある母の靴を調べてみた。もし母が出ていったとしたら、靴が一足、足りないはずだ。
母の靴は全部ある。
母はこの家を出ていないということだ。
一番信じたくないこと…、父がこの家の中で母を殺したんだと思った。
(どうしてなんだ?)
父に聞きたくて仕方がない。
しかし、母を亡くして父まで逮捕されてしまったら、息子はどうやって生きていけばいいだろう。
父は母を愛していた。
きっと母は父を裏切ったんだ、殺されても仕方なかったんだ…そう思うようにした。父には何も言わず、何も知らないふりをしよう。息子はそう決心した。
その後も奇妙な現象は続いていた。ある日の夜中、ヒタ…ヒタ…と、誰かが家を歩き回る足音で目が覚めた。ガタイのいい父の足音ではない。
その足音は息子の部屋に入ってきて、寝ているベッドにまで近づいてきたのだ。
「来ないでくれ」そう念じながら固く目をつぶり、布団に潜っていた。
頬に生ぬるい息を感じた。恐る恐る薄目を開けると、もの凄い形相の母が息子を見つめている。そして、耳元で「出・・・て行・・・け・・・」とささやいた。
早くこの家を出たい!
息子は心からそう思ったが、引越しをするにもその理由を父に話すことができない。不思議なことに、母の霊を見るのはいつも息子だけのようだった。
母がいなくなってから、父は息子の面倒を見るため会社を辞めて在宅の仕事を始め、家事もこなすようになっていた。
息子のために毎日夕飯を用意してくれる父に、なぜ母を殺したのかと問い詰めることはできない。
しかし、この家には母の霊がいると感じていた息子は、どうすればよいのか常に悩んでいた。
ある日、物置小屋を片付けに入ったとき、異様なにおいがしたので奥のほうを探ってみると、そこには布団に包まれた母がいた。
息子は急いでドアを閉めて物置小屋を出た。台所で料理をしていた父の「どうした?」という声が聞こえる。
息子は平静を装って「何でもないよ。宿題があったのを思い出したから」と答えた。
「もうすぐごはんだから、居間でやればいいよ」
息子は急いで部屋に戻り、通学カバンを開けて教科書を出そうとした。そのとき初めて、カバンの底に四つ折の白い紙があることに気づいた。
開いてみると、それは母の字。
「早く逃げて、父さんは狂ってる」
これですべてがわかった。母は必死になって息子を逃がそうとしていたのだ。

キーコ、キーコ・・・

Posted on 3月 24, 2017

25年前の夏のある日のこと。
当時ヤンキーだった私(恥)は夜中家をそっと抜け出し、悪友と2人で近所の公園でタバコを吸いながらダベっていました。周りには誰もいませんでした。
その時
「キーコ、キーコ・・・」
と何かをこぐ音が聞こえてきたのです。
「?」
公園の入り口から何かが入ってきました。三輪車でした。
『なんでこんな夜中に・・・?』
2人とも入り口の方を凝視していました。三輪車と乗ってるものの比率がどうも変だったのです。
近づいてきたその三輪車に乗っていたのは・・・大人でした。汚いカッコをした浮浪者でした。私達はビックリするやら怖いやらで、しばしその場で固まってしまいました。
「キーコ、キーコ・・・」
そして浮浪者の顔が公園の明かりで、はっきり見えたときに私達は声も出さずに走って逃げました。何故ならその顔が、満面の笑みを浮かべていたからです。
へんな汚いチューリップ帽をかぶっていたのが鮮明に目に焼きつきました。私達は走りました。とにかく大通りまで走り切りました。
「きも悪ぅー!」
「なんやあれ。頭おかしいんちゃうか」
「恐いんじゃ!」
「変な帽子かぶっとったなあ」
など、その浮浪者の悪口を言ってる間に中学生の私達はすぐに恐怖感が薄れ
もう一つの公園に行くことにしました。
そしてまたタバコを吸いながら、30分ほどしゃべっていたでしょうか。
「キーコ、キーコ・・・」
「!?」
また何かをこぐ音が聞こえてきました。今度はその「何か」はわかっていました。
「ぎゃああああああ」
すごい悲鳴を2人で上げ、音の聞こえる反対側の公園のの出口から走って逃げました。
今なら、コンビニなど24時間あいてる店がたくさんあります。しかしその当時、あいてる店など皆無に等しく、とりあえず私達は少し走った所にあった、4階建て市営住宅の4階の踊り場に身をひそめました。
昔の市営住宅(今の古い感じです)は、外階段がいくつもあり、一階につき二つの住居のドア、というものでした。
私達はいくつかある階段の中の、手前から3番目を駆け上がりました。せまい踊り場の階段の壁にかくれて、「コワイ~」と声をひそめて言いながらしばらく2人で手を握り合って震えていました。
すると
「キーコ、キーコ・・・」
また三輪車をこぐ音が聞こえてきたのです!
もう私は半泣きでした。でもあれをやり過ごせば帰れる・・・と思い、じっと我慢していました。
「ギーコ、ギーコ・・・」
音がだんだん大きくなり、こっちに近づいてくるのは見えなくてもわかりました。踊り場からは外が見れないのです。
たとえ見れても怖くて見れなかったでしょうが。
「ギーコ、ギイー」
「!!!!!!!!!」
三輪車が止まりました。
誰かが降りる音もしました。
下で、です。
そして、「コツコツ・・・」と階段を上がる音が・・・。
それは紛れもなく私達のいる階段を上ってきているのです。
「コツコツ・・・」
勇気を出して階段を覗き込みました。
「!」人の頭が見えました。
それはあの変な・・・チューリップ帽でした。
「ぎゃああああああああああああああ!!!!」
私達は限界でした。
泣きながら、狂ったように横のドアのベルをピンポンピンポン鳴らしまcり、ドンドン叩きまくって、
「あけてー!!助けてー!!!」
そこの住人のおっちゃんがドアを開けたとたん、
「うわああああああん」
2人で部屋に土足で飛び込みたどたどしいながらも説明をしました。そして、親に電話して迎えに来てもらいました。(そのあとたっぷり怒られました)
おっちゃんが下を見に行ったら、その浮浪者はいなかったとの事。ほんとに体験した出来事なので、オチがなくて、ごめんなさい。
今でも不思議なのは、あの浮浪者なんで私達のいるところが分かったんだろうって事。なんかヒントでも残してたのかな・・・?幽霊より、ドキュソが怖い私です。(ちなみに高校行って、まじめになったよ)
大人になって思うことは、一番怖かったのは市営のおっちゃんじゃないでしょうか。だって夜中に涙と鼻水だらけで、家の中に突進して来る女の子2人って・・・。

幽霊ではなく人間でしたが、年月が経つにつれ自信がなくなっていく思い出です

Posted on 3月 22, 2017

幽霊ではなく人間でしたが、年月が経つにつれ自信がなくなっていく思い出です。
俺が19歳の頃の話です。高校は卒業していましたが、これといって定職にもつかず、気が向いたら日雇いのバイトなどをしてブラブラしていました。
その頃の遊び仲間は高校の時の友人グループがいくつかあり、その日もその内のひとつのグループの奴の家に集まり、だらだらと遊んでいました。
そのグループの連中は、地元では結構有名な悪い奴らの集まりでした。俺はケンカも弱いし、バイクも持っていなかったけど、そのグループのリーダーが幼馴染で家も超近かったため、たまに遊んでいました。
夜もふけてきたので、俺達は肝試しに行くことにしました。皆幽霊なんて信じていなかったし怖がってもいませんでしたが、行く途中女の子でもナンパできたら、連れて行こうぐらいの軽いノリでした。
一人がバンで来ていたのでそれに6人全員で乗り込み出発です。幾つかある肝試しスポットのうち、一番近い所に向かいました。
そこは山の中にある墓場で、頂上に向かって墓場が広がっています。入り口に降り立ったとき、その墓場の一番上に何か白い影が見えました。
よく見るとそれは2人の人間で、近付いてみるとまだ中学生ほどの少女でした。髪は長くパサパサで、手入れをしている様子はなく、まるで人形の髪のようだと思ったのを今でも覚えています。
顔にも髪がかかり、表情は読めません。顔のつくりは違いましたが、2人ともそっくりに見えました。白く見えたのは、夏服のセーラー服姿だったからです。
いったいどこから来たのでしょう。
あの場所から出てくるには、車でもっと山の上まで登らなくてはならないはずです。なのに2人には連れがいる様子もありません。
どんどん近付いてきます。
よく考えたら、ふつうこんな人気のない墓場で不良グループに遭遇したら向こうも怖いはずです。しかし彼女達は無表情のまま俺達の目の前に来て止まりました。
いいようのない恐怖が襲いました。理屈ではありません。ただぞっとするというのはこのことだと思います。それは他のメンバーも同じようでした。
「おまえらどっから来たん?」
リーダーのMが聞きました。
2人は無表情のまま、ゆっくりと同時に山の頂上を指差しました。どっと嫌な汗が吹き出ました。するとそこに、どこからともなく犬が走ってきました。
しかもその犬白内障なのか、目が白く濁っているのです。あまりにもタイミングよく現れたので、危うく叫びそうになりましたが、すぐ後ろから飼い主らしきおじいさんがやってきました。
そのおじいさんはこの近くに住んでるらしく、いつもこの道を散歩コースにしているそうです。おじいさんの散歩に付き合うように、自然に俺達6人と少女達は歩き始めました。
おじいさんと少女達が前を歩き、何か話しをしています。おじいさんは土の盛り上がったところをガシガシ蹴飛ばしながら、「ここ、無縁仏の墓や。そこに卒塔婆がたおれとるやろ。」といいました。
そして又少女達と言葉を交わすと、俺達のほうを振り向きもせずに去っていきました。
唖然とする俺達の所に少女達がやってきて、初めて口を利きました。
「いまおじいさんに聞いたんやけど、この先にもっと怖い場所があんねんて。のろいのわら人形がぎょうさん見つかる所。行ってみいへん?」
正直俺は行きたくなかったけど、中学生の女の子が行くというのに「いや、おっかねえからやめとく」とはいえません。
結局女の子達をバンに乗せ、行ってみることにしました。
その間俺達は色々話し掛けました。なぜあんな所から出てきたのか。当時女の子をナンパして乱暴し、山の中腹で置き去りにするという「六甲おろし」がはやりだした頃でした。
「もしそんな目にあっているなら、協力できることがあるならするぞ。」
Mが一生懸命話し掛けても、彼女達は無表情に前を向きながら首を振るだけで、道を案内する以外は口を利きません。とても乱暴されたようには見えませんでした。
でも何か理由があってほしかったのです。あんな山中からこんな子供が出てきた理由を。
しかし彼女達はお互いも話さずたんたんと道を案内するだけです。とうとう目的地の神社に着きました。はじめてくる所です。
さっきの場所より何倍も不気味な所です。高い杉の林に囲まれた小さな神社でしたが、彼女達はその神社のさらに奥の杉林に入っていきます。早足で。
Kがつぶやきました。
「あの子達って、あのおじいさんに聞いて今日はじめてくるはずやんな。なのになんであんなにスタスタ進むんや。2人とも車の中で一言も相談してないのに、迷いもせず同じ方向に進んでいってるで。」
ぞっとしました。しかしここで2人を置いて逃げるわけにはいきません。慌てて後を追いかけますが、その足の速いこと。大人の俺達が小走りになるほどです。
イキナリ2人が立ち止まりました。黙って目上の高さを指さしています。見ると指差した先の杉の木に、釘をさしたような穴が無数にあいています。
いえ、よく見回すと、そのあたりの木のほとんどに穴があいています。そして、とうとうわら人形も見つかりました。
絶句する俺達をよそに、彼女達は相変わらず無表情で、何も言いません。
「もう返ろうぜ、つかれただろ、おまえらも送ってやるから」
Mが恐怖を隠すように言いました。しかし彼女達はこういったのです。
「ここじゃダメだね。もっといいところがあるから行こう。」
絶句しました。
「もうやめようや。」とうとう俺は言ってしまいました。しかし皆大の男が中学生に言われて怖がるわけにはいかないようです。
「分かった、行こうや。」
その一言で、少女達はきびすを返すように今来た道を引き返しました。慌てて俺達は後を追います。
Kだけが俺の意見に賛成らしく、真っ青な顔をしてブツブツつぶやいてます。
「罠や、罠や、これなんかの罠や。俺達連れて行かれてるんや。」
Kの真っ青な顔と、ブツブツ繰り返す言葉に、今度はKのことまで怖くなってきてしまいました。
皆でバンに乗り込みました。Mがカーステレオをつけようとしても壊れたのかつきません。嫌な沈黙が続きましたが、皆口を利きませんでした。ただ少女たちの道案内だけが車内に響きます。
ついた場所は小高い丘の上にある神社でした。その神社に着くには、その丘を左右対称に包むようについている階段を登るのです。
左右どちらから登っても多分同じくらいの距離です。少女達は無言のままそれぞれ左右に分かれて登り始めました。
車の中でも打合せはしていないし、降りてからも2人は目配せや合図をすることなく、迷わず別の道に向かっていくのです。
もちろんその神社に続く階段はうっそうとした林に囲まれ、普通の女性なら複数でいても行きたがらないような不気味さです。
その階段を、まだ中学生の少女が迷うことなく恐れることもなくスタスタと歩き出すのです。明らかにおかしいです。
慌てて俺達も3人づつに分かれて、それぞれ少女達の後を追いました。俺はガマンできず、前の少女に話し掛けます。
「おまえらちょっとおかしいぞ、何であんなああ処にいたんや。肝試ししてるにしては全然こわがってないし。なんであんな所にいたんや?」
答えない少女にいらいらしながらしつこく聞きました。あまりにもしつこく聞いたせいか、彼女はこうつぶやきました。
「私ら・・・死ぬ場所探してんねん・・・」
そのとき初めて彼女は俺の目を見ました。しかし、俺の目を見ているというより俺を透かしてはるか遠くを見ているような眼でした。
そしてうっすらと笑いました。その少しあがった口の端に、よだれがかすかに光っています。
全身に水を浴びたような気持ちです。他のメンバーを見回しましたが皆真っ青です。しかし聞こえてはいるでしょうが、この少女の目とよだれが見えたのは俺だけです。
逃げ出しそうになったとき頂上につきました。むこうのグループもちょうど反対側からあがって来たところです。
真っ青になったMが駆け寄ってきました。
「聞いたか!!お前等聞いたか!!」
どうやらM達ももう一人の少女から聞いたようです。とりあえずまだ帰らないという少女達をバンまで連れて返りました。
そこでなぜ自殺したいのかをしつこく聞きましたが、答えません。
「アホなことするな。いじめか?俺らがそいつらシメたるから、はやまるな!」
俺達の問いかけにも彼女達は首を振るばかりです。
「じゃあ原因はなんやねん」
「・・・べつに・・・」
「別にって!!」
「生きてるんももうええって感じやねん。」
またあの遠くを見つめるような無表情です。2人とも同じ顔をするのでますますそっくりに見えます。
「とにかくもうこっちも眠たいからお前等送ってくわ。はよ家までの道言え。おくってったる。」
降りるという彼女達に強い口調でMは言い、車を発進させました。彼女達は地元の子達なのか、帰り道をかわるがわる「右」「左」で告げます。
2人同時に「ここ」と言いました。ハモるように同時にです。止まった場所には家等ありません。
「おまえらホンマにここか?家の前まで送ってくぞ。」
Mがいいましたが少女達は「ここ」とだけいって車を降りました。そこはちょうどさっきの丘の上の神社の裏側のようです。
クネクネとしてきたので結構走ったように感じましたが、そんなに走っていないようです。
もう皆十分気味わるく感じていたし、もう義理も果たしたと言うかんじで車を走らせようとしました。
その直後Kが「あれ見てみろ!」と叫びました。2人の少女はさっきの神社のある丘の、裏側にある登り口のような、林の中にぽっかりあいた穴に向かって歩き出しています。
「あいつらまた登る気や」Mがクラクションを鳴らしました。すると映画のワンシーンのように、ゆっくりと少女達は振り返りました。
首を少しかしげて、左右対称に。
暗くて目はわかりませんが、なぜかうっすら笑っているように見えました。でも俺には2人の口の端に同じようによだれが光っているようで、思わず「逃げろ!!」と叫んでしまいました。
後は一目散に車を走らせました。Kがブツブツ又何か行言ってます。
「だからあの神社じゃだめだったんだ。」
「何がダメなんだよ!!」
思わずいらいらして俺は叫んでしまいました。
「あの子達の身長じゃ、高い杉の木の枝には届かない・・・吊れないよ・・・首・・・」
ぞっとしました。
「アホなこというなっっ!!気味わりい!!」
他の友人の声もうわずっています。
今まで黙っていたDが、気が付いたように言いました。
「なあ、衣替えっていつや?もう11月やで。あの子らなんで夏服のセーラー服きてたんや。」
その後どうなったかは知りません。
確かその日は皆でMの家にとまり、夕方夕刊を恐る恐るチェックしたように思います。たしか、自殺者発見の記事も、行方不明者の記事もなかったと思います。
ただKだけが眠れなかったようで、ずっと部屋の隅でうつろな目をしていました。
その後、そのグループの奴らと遊ぶこともたまにありましたが、その日のことはなぜか誰も口にしませんでした。
そして、あの日以来、俺はKに会っていません。もともとそのグループの奴じゃなかったので、他の皆もそうのようでした。
ただ俺は、Kがブツブツいってた
「罠や、罠や、これなんかの罠や。俺達連れて行かれてるんや。」 を思い出し、「連れていかれてたらどうしよう」とおもい、そう思った自分自身にぞっとしています。
あの呟きを聞いたのは、俺だけだったから。

知り合いのおばあさんが体験した話

Posted on 3月 18, 2017

知り合いのおばあさんが体験した話。
そのおばあさんの家は旧家で、中庭があるらしいんですが、ある日なにげなく部屋から窓の外を眺めていたら、着物を着た女の人が立っているのに気が付いたそうです。
その出で立ちは、現代風の綺麗な着物ではなく、明治期くらいの女性が日常着ていたような感じの地味な着物で、髪型も古めかしい結い方。
その女性は庭の中をうろうろし、ふとおばあさんのいる部屋の窓に近寄ってきて覗き込み、しきりと部屋の様子を窺っていたとか。
そうしてしばらくすると、すぅと消えてしまったそうです。
恐くないけど、おばあさん自身はとても恐怖を覚えたそうです。

当時、六本木にある会社に勤めていましたが、けっこう夜遅くなることが多かったんですね

Posted on 3月 18, 2017

7年くらい前にタクシーの運転手さんに聞いた話です。
当時、六本木にある会社に勤めていましたが、けっこう夜遅くなることが多かったんですね。
まあ、仕事半分遊び半分ってところです。で、当然終電はなく、タクシーで帰ることになります。私はそのとき横浜市のtに住んでいて、六本木からだと40分くらいかかります。
確か4月か5月頃だった気がします。うっすらと雨が降ってたか雨上がりでした。その日も六本木で2時過ぎまで遊んでた私は、アマンドのある交差点から防衛庁、龍土町(リュウドチョウ)のほうへと、タクシーを拾おうとテクテク歩いていました。
龍土町の防衛庁の前のガソリンスタンドあたりでタクシーが客待ちしていたので、私は乗込みました。
で、先ほども言いましたように家まで40分以上かかるのでタクシーに乗るたびに運転手さんに
「何か今まで怖い体験とかしたことないですか?客を乗せたけど、いなくなったとか、定番でもいいんで」
と聞きまくってたんですね。
黙って40分乗ってるのもつまんないので。その日も同じように聞きました。
すると、しばらく思案してたふうでしたが、
「お客さん、実は私自身そういった体験を子供の頃からよくするほうなんです・・・」
と運転手さんは言って、いくつかのちょっと洒落にならない話しをしてくれましたが、それはまたの機会にします。
運転手さんは最近あった話しもしてくれました。
「この間乗せたお客さんの話しなんですがね、ああ、あの日もちょうど今日みたいな雨模様の日でした。ほら、さっきお客さんを乗せたあの場所で客待ちしてたんです。
運転手さんの話しの続きです。
「あそこに飲み屋がたくさん入ってるビルがあったでしょ?そこのエレベーターから男女5人が出てきたのが見えたんですね。で、ああタクシーに乗りにくるなと感じたんで待ってたんです。
私らそういう勘はすぐれてますから。でも、ビルの庇の下で雨を避けるようにして何かガヤガヤと議論してるような感じなんです。
しばらくそうやって話しをしていたんですが、そのうち2人は停めてあったベンツに乗って行ってしまった。
残りの3人が客待ちしているタクシーのほうへ歩いてきて、1人の男の人が私の車に乗込んできました。どちらへ?と聞くと『N方(中野区にある)まで』と言ったきり、何か深刻そうな顔をしてるんです。
私らもあまり余計なことはお客さんに言いませんから、黙っていたら、その人が『運転手さん、信じてくれるかなあ?今の店がすごく変だった・・・』と言うんです。私も『いや、信じますけど、どうしたんですか?』って言ったんです」
で、その運転手さんが聞いた話しをしますね。登場人物がちょっと錯綜していてわかりづらいかもしれませんね。
すいません。
その5人は某有名キー局の長寿番組のスタッフでした。麻布で食事をしてひと飲みしたあと、スタッフのひとりが
「知り合いがやってるバーに行きたい」と言い出したそうです。
なんでも、そのマスターは体をこわしてしばらく入院していたそうですが、最近退院したらしいと聞いたので店に行きたいとのことでした。誰も文句もないので、行こう、行こうということになり、そのR土町(さっきモロ出ししたかの店に行ったそうです。
店に入って、そのスタッフがマスターとしばらくぶりのあいさつをしたあと、奥のテーブル席に5人は座ったそうです。
店はビルの5階だか6階にあって、15、6人が座れるカウンターとテーブル席が3つくらいの、まあよくあるタイプのバーとのこと。
5人は水割りを飲みながら他愛のない話しをしていたが、次第にみな無口になって行ったそうです。
マスターの知り合いのスタッフ(そうそうこのスタッフが運転手に話しをした人です。K氏としておきます。
なんか前後してて恥ずかしいなあ、まいいか)が、みんな静かになったので「なんだよ、みんなどうかしたのか?」と聞いたんですが、4人とも「いや、別に・・・」とか「何でもないよ」などと言い、なんか気まずそうだったそうです。
みんなのあまりに妙な様子にイライラしてきたK氏は「なんなんだ、お前ら、いいかげんにしてくれ! 」と声を荒げると、他のスタッフたちが言いにくそうに、「この店はおかしい。気持ち悪い」と言ったそうです。
K氏にせっかく連れられてきたわけだし、なんか言いにくかった、とのことでした。K氏も、自分が紹介した店にケチをつけられたような気もして、「なに言ってんだ、お前らは。なんにも感じないぞ、オレは。普通のバーじゃないか」と言い、マスターが病み上がりで見た感じ確かにちょっと無気味だったそうなので、K氏はそのせいじゃないかと小声で話しました。
小声で
すると、みんなは「そうじゃない。なんかあの辺がすごくいやな感じなんだ」と店の入り口辺りを指したそうです。
「別になんにもないじゃないか」とK氏は席を立って、入り口に行きました。入り口の前には襖2枚分くらいの竹のついたてがおいてありました。K氏は「なんにもないぞ」とかなんとか呟きながら、ついたてを何気にみたそうですが、特に問題がなく、ただ、小さい和紙人形が4つ貼り付けられていたそうです。
和紙人形って知ってるかなあ、和紙でつくった平べったい人形ね。あれが、4つ、ちょうどおとうさん、おかあさん、男の子、女の子って感じであったんだそうです。
K氏は席に戻り、みんなに「なんにもなかったぞ。ただ和紙人形があるだけじゃん」と言うと、女性のスタッフが「そう、それがすごく怖いの。私は店に入った瞬間に毛が逆立って、もう早く出たかったんだけど、悪くて言えなかった。みんなにコソコソ聞いてみたら、同じ思いをしていることがわかった。ここ危ないから早くでよう」と言ったそうです。
別の男性スタッフも「オレもあまり詳しくは言わないけど、トイレに入ったときにそう思った」と言い出したので、K氏はまったくその手の話しは信用しないたちなので、「お前らどうかしてるよ」と言って、トイレにわざと入ったそうです。
K氏はトイレで普通に用を足していたそうですが、いきなり両肩にズシンとなにかが乗ったそうです。
それはもう錯覚だとかなんとかといったものではなく、あきらかになにかが乗った感覚だったそうです。もちろんトイレの中には誰もいません。
K氏は用を途中でやめ、アワアワと席に戻っていきました。そしてみんなに「や、やっぱり店を出よう」と言いました。
驚いたのはみんなのほうです。あれだけなんにも感じないと言っていたK氏がトイレから真っ青な顔をして出てきて、「出よう」なんて言うんですから。みんな「どうした?なにがあった?」と聞いてきましたが、K氏は勘定を済ますとなにも言わずエレベーターにみんなと乗って降りたそうです。
そしてビルの下で雨をよけながら、みんなになにがあったのかを話していたわけです。その場面を先ほどの運転手が見ていたんですね。
運転手さんはひと通り話しを聞くと、K氏にこう言ったそうです。「お客さんの話しは信じますよ。もうその店には行かないほうがいいですよ。現にお客さん、いま連れてきちゃってますよ」
今度は私が驚きました。「え? じゃあ、運転手さん、なにか見えたとか・・・」と聞くと、「いや、そのお客さんを乗せる前に3組くらいお客を乗せてましたが、みんな酔っ払いでギャーギャー騒いでも窓ガラスはぜんぜんくもらなかった。
それが、そのお客が乗ってきたとたん窓ガラスがいっせいにくもったんです。あと、私は剣道とか武道をちょっとやってるんですけど、後ろの座席で大勢の者の気配を感じてたんです。
ときどきいるんですよ、そういう人。でも、そのお客についてたのは多かったなあ」なんて言うんです。
その運転手さんは結局、ビビリまくったK氏についていた霊をN方の家の前で活を入れて追い払いました。
私はすごくその店に興味を覚えたので、運転手さんに店の名前を聞いたかと訊ねました。すると「なんだったっけなあ。たしか、舞う、だか、踊る、だかの字が入ってたような気がしますね」
私は友人に話して、翌日の夕方にそのビルに行ってみました。ビルの入り口に入ってる店の看板がズラリとならんでいて、私らは手当たり次第に看板をチェックしていきました。
すると、「舞姫」というバーがありました。私と友人は顔を見合わせ、5階にあるその店に行くことにしました。
5階でエレベーターを降りると、そのフロアに3軒バーが入っていて、一番奥に「舞姫」はありました。お約束っぽくていやなんですが、そのフロア全体がお線香くさいんです。私が「舞姫」のドアのぶを引くと、カランとドアの鈴が鳴りました。
私は真っ先についたてを見ました。そこには運転手さんの言ってたとおり和紙人形が貼り付けられていました。
その和紙人形を見たとき(友人も見た)、これは絶対にヤバイと思いました。普通、和紙人形って、目とか鼻がないんですが、そこにあったのは顔になっていて、目は真っ赤でつりあがっていて黒目が変な位置についているんです。しかも口から小さい牙が出ていました。
私たちは、人形を見た瞬間に非常階段からかけおりました。
運転手さんから聞いた和紙人形の話しと、私の実体験の話しは以上です。店の名前(一部変えました)を出したのは、去年再び行ってみたときに、もうなくなってたからです。
友人とその店に行ったあと、R土町ビルに関する情報を集めてみたんですが、実に洒落にならない話しばかり出てきたんです。

そのカセットテープは、ある日、突然郵便や宅配便で送られて来るそうだ

Posted on 3月 18, 2017

聞いた話である。
そのカセットテープは、ある日、突然郵便や宅配便で送られて来るそうだ。
もちろん、差出人の名前なんかない。
テープ自体はどこででも手に入る安物なのだが、小さなカードが同封されている。内容はだいたい次の通りだ。
「これは、天国からの放送を録音したテープです。空中にはたくさんの放送電波が飛び回っていて、その中には天国からの放送もまじっていますが、ふつうの状態では受信できません。
私たちはその、天国からの放送を録音することに成功しました。くりかえし聞いてください。かならず天国からの声が聞こえます」
昔に流行った不幸の手紙モドキかと思い、たいていの人はばかばかしく思ってこのテープを捨ててしまう。
そうでない人も部屋の片隅に投げだし、ホコリまみれにしてそのまま忘れてしまう。
好奇心に負けて、あるいは趣味のよくないジョークのつもりで、実際にこのテープを聴く人は、ほんのわずかだ。
テープには、最初なんにも入ってはいない。
それでもがまんして聴いていると、そのうちかすかに雑音が響いてくる。
そうしてだんだん、その雑音が大きくなってくる。“ザーッ”とか“ブーン”とか“キーン” といった、ただのノイズだ。
聴力検査のときに聞こえてくるアレだと思えばいい。そのノイズは、えんえんと続く。・・・・何十分も。
いくらがまん強い人間でも、このあたりでSTOPのボタンを押すことになる。
「なーんだ、やっぱりハッタリか」
「クズテープじゃない、こんなの」
というのが、おおかたの感想だろう。
もっともだ。
今度こそゴミ箱に放り込む人もいるだろう。
ところがである。
ここからが本筋なのだが、このテープを一度聴いた人間は、また聴きたくなるらしいのだ。
何の内容も、価値もない、ノイズしか入っていないクズテープをだ。どうしてそんなガラクタにひかれるのか、実のところ本人にもわからない。
(もう一度アレを聴いてみるか・・・)
そんな考えが頭の中でどうしようもなくふくらんで、再び手をのばすのである。
もちろん、この時点でテープが手許に残っていれば、の話だ。そうすると奇妙なことに、最初ほどノイズが気にならなくなる。
それどころかノイズがなんとなくある種のリズムを含んでいて、聴いていると気持ちがいいような気さえしてくる。
そのうえ、なんだか、ノイズのあいだに、いろいろな音がまじっているように思えてくるのである。
それは、正体のわからない動物が、うなるようなものだったりする。男女の会話がとぎれとぎれに聞こえてくる気もするが、はっきりしない。
「もう、間に合わないよ」とか
「だめだよ」とか言っているようだが、
何が間に合わなくて、何がだめなのか、さっぱりわからない。やがてそれは、遠くで怒鳴っている声や、けたたましい笑い声、金切り声としか言い様のない絶叫、
「イヒヒ、ヒヒヒヒヒヒヒヒ・・・・」
といったいやらしいふくみ笑いなどを何の脈絡もなくまじえると、とうとつにとぎれてしまう。あとはまたノイズだ。
大部分の人は気味が悪くなって、テープを今度こそ手放してしまう。残ったほんの少しの人だけが、まるでとりつかれたようにテープを聴き続けることになる。
もう、友達にも家族にも相談せず・・・・何度も、何度もだ。テープのノイズは、聴けば聴くほど心地よくなってゆく。
そのかわり、ノイズのあいだの声はしだいにはっきりしてくるという。そんなある日、声はとうとつに聴き手に向かって言うのだ。
はっきりと。そうして、ウンともスンとも言わなくなるのだ。ノイズだらけの、ただのクズテープに戻ってしまうのだ。
いったい、何を言うのだろう?
聞くところによると、それは八桁の秒数であるらしい。それが何を意味しているかは、自由に解釈してもらうしかないのだが。
いずれにしてもそれは、いくら長くても八桁以上になることはなくて、とにかく、よく“当たる”そうである。
・・・・八桁の秒数がいかに短い時間であるかは、これを日数に換算すれば一目瞭然だろう。
あくまでも聞いた話ではあるが。