転んだら死んでしまう村

Posted on 2月 27, 2017

あなたはこれまで、「転んだら死んでしまう村」の夢を見たことがあるだろうか。
これは、多くの人が一生のうちに見る夢、共通夢だと言われている。たいていの場合は、夢を見ても目覚めた時に記憶を忘れてしまう中、この「転んだら死んでしまう村」の夢には多くの共通した証言が挙げられている。
では、この夢にまつわる不思議な話を紹介しよう。
舞台は夕暮れ色に染まる山あいの農村で、辺りには青紫色の死体が横たわっている。
しばらくすると、着物姿の少女数人が近寄ってきて、「ここは転んだら死んでしまう村」だという説明をしてくる。
説明が終わった矢先に、少女の一人がある死体につまづいて転んでしまう。
「ギャー!」という少女達の悲鳴の中、その少女は身体が青紫色に変色して死んでいく。
ここから先は内容に個人差があるようで、「少女達から逃げ回った」、「竹馬をやらされた」、「何事もなく目が覚めた」などの様々な証言のバリエーションがある。
ただ、不思議なことに、夢の中で転んでしまった人からの証言は一つもないと言われる。

山のペンションに泊まることになったある姉妹がいた。

Posted on 2月 26, 2017

山のペンションに泊まることになったある姉妹がいた。
ペンションに行く途中、警察の人間に呼び止められ、「このあたりは通り魔というか、変質者が出没するから注意してほしい」と注意を受けた。
姉妹がペンションに着くと、二人ともベッドに腰を下ろし、今回の旅行のことや、今日の夕食について話した。すると鏡を見ていた姉が急に、
「ねえねえ、部屋の外の窓って閉まってたっけ?」
と妹に話した。
「たぶん閉まっていたと思うよ。」
と妹は答えた。
「じゃあさ、閉めてきてよ。それからペンションの中を一回りしましょうよ。」
「えー、めんどうくさいなぁ。着いたばっかりじゃん。」
と妹はぐずったが、
姉は、
「いいじゃんいいじゃん、早く行こうよ!」
とうとう姉は妹の袖をつかんで強引に部屋の外に出た。
「やっぱり窓は閉まってるじゃん・・・」
窓を指して文句をたれる妹を引きずるように、姉はペンションを出ようとした。
「いいかげんにしてよ!お姉ちゃんさっきから何なの?!」
たまりかねた妹が、姉に向かって声を荒げた。
それを制するように姉はこう言った。
「私がさっき見ていた鏡に、あなたのベットの下で、ニヤニヤ笑っている変なやつが写ってたんだよ!あれが警察の言っていた通り魔だよ!」

地元の中学校時代の友達2人と近くの山に肝試しみたいなことをやりに行こうという話になった

Posted on 2月 20, 2017

高校生の時の実話。
地元の中学校時代の友達2人と近くの山に肝試しみたいなことをやりに行こうという話になった。
その山はそれほど高くなく、頂上が広場になっている。さらにそばに病院が建っており、現在は使われていないその病院の旧館跡が廃墟の状態で残っている。
予定ではその病院の旧館探索してから、山を登る道にでて頂上で缶ビールで乾杯してから、反対側のふもとに下りる道から山を下る、というプラン深夜1時過ぎに3人で、まず病院裏の旧館跡に進入。
本当に荒れ放題で、マットレスのない鉄パイプのベット、倒れたイス、医療機具の入っていたと思われるガラス戸棚、部屋の隅に丸めて放置してあるシーツ、積み重なった段ボールそれらが、割れっぱなしの窓からの月明かりに照らされている。
その時、異常な音がするとか何か奇妙なものが見えたということはないのだがオレの気分がなんかおかしい。
肝試しをやっているのだから恐いという気持ちはあるのだが恐怖とは違った何か、体のなかから寒気がして胸が押さえつけられるような風邪や高熱の時に感じる、具体的な悪寒がするようになってきた。
臆病だと馬鹿にされるのが嫌だったので友人にも言い出せず、そのまま病院から出ると山への道を進んだ。
狭い一本道である山道をダンゴ状に3人並んで進んでいった。オレは最後尾、月が明るい夜だったので、道も周りの木々もよく見ることができる。
しばらく進んでいくうちに、気分の悪さが徐々に増していく。そしてもう一つ奇妙なことが起こり始めた。
道の両側に設置された木の策の向こうから、何やらボソボソって感じで話し声のようなものが聞こえてくる。誰か人がいるのかと思ったがそれはない。
木の策のむこうは腰の高さくらいの植物が群生していて策から2メートルくらいで崖になっている。そんなところに人がいるはずもない。
その声は明らかに人の声に聞こえ、何事かをボソボソと言っているようなのだが言葉がはっきりと聞き取れない左右どっち側から聞こえてくるのかもよくわからない。上からだといわれればそうだったこかもしれない。
しかもその声は、オレたちが道を進んで行っても、ずっとついてくるように依然として聞こえつづける。さらに奇妙なことに、オレがその声のことを話そうとしても声が出てこない。
金縛りにあったときのように力を込めても体全体が固まった感じで声が出ない感じとは違い喉にしゃべろうという意思が伝わらない。足はしっかりと歩き続けているのだが口がなぜか開かない。
自分自身もなぜかどうしても話さなきゃという意思が湧いてこないのだ気づいてみれば、他の二人も山道に入ってからはずっと無口。ひょっとして前の二人にもこの声は聞こえているのか。
そしてついに頂上の広場に出た。その頃にはいつのまにかボソボソという声は聞こえなくなったいた。頂上広場でようやく口を開くことが出来た。
本来は真っ先に、ずっと聞こえていた声のことが話しとして出てくるはずなのだがその時はなぜか「・・・頂上かな」「・・・ああ」「・・・だな」っていうような会話にしかならない。
3人ともほとんど黙り込み、沈黙がつづく。月明かりで周囲もお互いの顔も良く見ることができる。特に異常なことは見られないが、感じる悪寒は相変わらずだそしてひとりが、ようやく「・・・じゃあビール飲むか」と言い、オレともう一人の友人は 「・・・うん」とだけ答える。
その時、いきなり「バンッ」という大きな爆発音みたいな音が近くから聞こえたその瞬間、急に体が軽くなった。
誰からともなくオレ達は山の反対側に下だる道を一目散で走り下って行った。
みんなひと言の叫び声もあげない。夜道の細い山道を走って下るのは危険なのだがその時は不思議と誰かが転んだりすることもなく、10分くらいでふもとに辿り着いた
3人とも息を切らしていたが、ようやく口を開くことが自由になった。体の気分の悪さもいつのまにか治っている
みんなの話では、山道での声、病院からの悪寒ともオレ以外の2人ともが感じていたとのこと
口を開くことも、奇妙なことを告げるべく言葉もなぜかでてこなかったというのも一緒だった
そして頂上広場で聞こえた音は一体何だったのかという話になった時オレは友人が背中に背負ったリュックからなにやらポタポタと液体が垂れていることに気づいた
そのことを告げて急いでリュックを開けると、なんと中では頂上で飲むはずだった缶ビールが、缶の中から何かが破裂したかのように真ん中がバックリと裂けていた
さらにオレのカバンの中のビール、もう一人の友人のビールも同じように避けて、カバンの中がグショグショに濡れていた。恐らく頂上で聞いた音はこの破裂音だったのだろう
後に高校の教師にも話したが、高山地区ならまったくありえなくもないが、ふつうの町にあるような山でそんな風に缶が破裂するなんて絶対にありえないとのこと。
もちろん恐くてあれ以来、その病院にも山にも近づいていない

甲府方面にある旅館に泊まった時の話

Posted on 2月 19, 2017

甲府方面にある旅館に泊まった時の話。
俺と彼女が付き合い始めて1年ちょっと経った時に、記念にと思い電車で旅行をした時の事。
特に目的地も決めておらず、ぶらり旅気分で泊まる所も適当に確保する、という感じの旅行だった。初日は山梨方面に向かい、なんとなく清里で降りてホテルに泊まった。
次の日、ホテルを出て富士山方面に電車で向かった。甲府駅で降り、城跡を見たりして、夕方近くに再度電車に乗り込み静岡方面へ。
途中で温泉街を見つけたため、その日の宿を探そうと電車をおり、駅においてある案内板で旅館を探し電話をした。
近場の旅館やホテルは満室だった為、温泉街から少し離れた宿に電話をして空室を確認し、迎えに来てもらった。
迎えの人は30分過ぎても来ず、1時間後に軽のワゴンで到着した。この時点で少し嫌な感じがしたが、(霊的な意味ではなく、失敗したかなと)
迎えに来てもらっている手前、何も言わずに車に乗る。車はきれいなホテルや旅館を尻目にずっと進み、山奥の方へ。周りには川しかない環境で、不安は更に増していった。
結局、着いた旅館はボロボロで、周りには店も何もない。既に辺りは暗くなっており、本当に廃墟のようにしか見えない。旅館に着いたは良いが、女将が迎えるわけでもなく、仲居が来るわけでもない。
運転してきたおじさんが部屋案内をする始末。食事の時間だけ告げると、そのおじさんも直ぐにどこかへ。客は一応他にも居るようで、横の2部屋がうまっていた。
食事まで時間があったので「先に風呂に入ろう」と言うことになった。でも、風呂場へ着くと風呂は一つしかなく、女性と男性の使用が交互に時間で区切られていた。
その時間帯は女性の使用時間だったため、彼女だけ先に入ることに。俺は疲れのため、部屋で炬燵に入りながらウトウトしてた。
それからしばらくして、いきなり金縛りに。炬燵の中に入れていた足先から、ゆっくりと何かが這い上がってくる感じがしてるけど、身動きが一切とれない。
ズズズという音が耳元で聞こえ始め、まぶたを開けようにも、眼球の上を皮ごしに誰かが押しているような感じで、目が開けられない。
耳元のズズズという、何かを引きずるような音は近づいてきており、ズズズに混じって人の息遣いが聞こえる。
ズズズ、ハァ。ズズズ、ハァ。という一定のリズムで、誰かが何かを運んでるような感じの音と息遣い。
そして「タスケテ。タスケテ」と小さく聞こえる呟き声。足元からは何かが這い上がってきてるように感じる。
その時、入り口の襖が開き、彼女が戻ってきた。それと同時に金縛りも解けた。かなり汗をかいており息も荒くなっていた。
彼女は心配していたが、あまり心配させたくなかったのと、自分自身も安心したかったので、「変な夢を見ただけ」と言い、風呂へ行く準備をした。
しかし、男性の使用時間は食事を持ってくる時間と重なっていた為、先に食事を食べる事に。
この食事が不味い事、不味い事・・。
食事をした後に風呂場へ向かうと、誰もおらず独占状態。誰も居ないのを良い事に風呂場で泳ごうと思い、足を湯船につけるとぬるい。ぬるすぎる。その為、湯船に入っても全然温まらずに寒くなる一方。
イライラしながら更衣室に向かう途中、窓から「コツコツ」と誰かが叩いた。ビクッとして窓を見るが、外は真っ暗で何も見えない。
先程の金縛りを思い出し、怖さが急に沸いてきて、逃げ出すように更衣室のドアを開けようとした。
その瞬間、「コンコン」と再度誰かが窓を叩く。コンコン、コンコンと2度3度と繰り返し叩いてくる。
何かを確かめようと、窓に目を向けかけた時、
コンコン(ズズズ)コンコンと、何かを引きずる音がまぎれて聞こえた。
そのため、直ぐに更衣室へ行き、体も拭かずに浴衣を着て部屋へ逃げ込んだ。
部屋に戻り、彼女に先ほどまでの事を話すと、
彼女は「ここお化け屋敷みたいだもんねー」と、俺を落ち着かせるために笑いながら、「疲れよ、疲れ。暖かい物でも買って来るね」と言って部屋を出た。
俺は怖いのと、彼女にそんな醜態を見られて恥ずかしいのとで、複雑な気分で待っていた。
しばらくして、彼女がココアを持ってきてくれたので、それを飲み、押入れの上段から布団を取り出し、敷いて早めに寝ることに。(布団も自分で用意する旅館でした)
二人とも疲れていたため、直ぐに眠りについた。
が、夜中にいきなり横の部屋から叫び声が聞こえて目を覚ました。彼女と二人で顔を見合わせて、何があったのか耳を澄ましていると、横の部屋の客が、廊下にパタパタと逃げている音が聞こえる。
女性客2人らしく、二人でワーワー言いながら廊下で騒いでる。夜中に何を考えてるんだ、というのと、睡眠を邪魔されたのとで、文句を言おうと怒り気味で廊下へ出た。
俺が廊下に出た事に驚いたようで、女性客は大泣きしながら「キャーーーー」と叫びだす。その声に、彼女も何事かと廊下へ出てきた。
彼女達は泣きながらガクガク震えており、一人に至っては発狂状態になっている。さすがに怒る事はせずに、「どうしたんですか?」と聞くも震えるのみ。自分達の部屋へ呼ぶも、拒否して首を振る。
しばらくその状態が続いたが、彼女らは段々と落ち着いてきた。しかし「どうしたんですか?」と聞いても、その質問には一切答えない。
ただ、彼女達の部屋に何かあるようで、ずっとその方向だけをみて「あっ、あっ」という感じ。
何か不審者でも出たのかと思ったため、自分の部屋に戻り、入り口にあった箒を持って彼女達の部屋へ入ろうとすると、 「あ、や、やめたほうが・・・」と服を引っ張り止められる。
「あ、いや、大丈夫ですよ。何かあれば直ぐに逃げますから」と言い、中へ向かった。
中は明かりがついており、入り口から部屋全体を見渡せる。変わったところは何も無く、誰もいない。
廊下へ戻ろうとしたときに、入り口の真横からズズズ ズズズと音がした。焦って廊下へ逃げ出したところで、誰かが入り口横の押入れに居るんだなと思った。
すぐに部屋のドアの前で身構えて、「おい、出て来い」と叫んだ。すると横の部屋から男性客が出てきた為、又女性客たちの悲鳴が聞こえた。
男性客に事情を話し、多分部屋の入り口横にある押入れに、誰かが隠れてるのではないかと伝えると、男性が従業員を呼びに行くように女性達に指示した。
男性客は「私が中へ行くから援護してください」と、彼の部屋から同じように箒を持ってきて中へ。
まずはドアを開けて部屋を見渡す。誰も居ない。次に横の押入れのドアの前に立ち、開ける準備をした。
その時、ドン!!ドン!!っと押入れから鳴り、ズズズ、ズズズという音と共に、襖が少しずつ開き始めた。
襖はゆっくりと開いていき、その襖の間から何かを引きずっている音とともに、人の体の一部らしきものが見え始めた。
襖の間から手が出てきた瞬間に、男性客は思いっきり襖を閉めて、相手の手をはさんだ。しかし、その手の主は何も言わない。
それどころか、ズズズとはさまれた手を出してくる。すかさず男性客は、その出てきている手を思いっきり箒の柄の部分で殴る。
が、相手は何も言わない。
俺は何だか嫌な気分になり、箒でおもいきり手を中に押し込めた。
その瞬間、ガンガン ガンガンと後ろの窓がたたかれれ、「ああぁあぉっぁあ」と変な声が聞こえたので振り向くと、窓ガラスがまるで鏡の様な状態になり(外が真っ暗だった為)、部屋の様子が映っていた。
箒を持って立っている俺。
その横に同じように箒を持って立っている男性客。部屋の様子は同じ。
ただ違うのは、窓ガラスに映っている押入れは開いており、押入れの上部分に、奇形の人間らしきものが、ベタと這い蹲ってこちらを見てる。
一瞬何がなんなのか分からないまま直ぐに押入れに向き直ると、部屋の押入れが開いた状態になっている。
ただ、そこには誰もいない。男性客も同じものを見たらしくキョトンとしてる。
どちらともなく、再度窓ガラスを見るも、窓は部屋の様子を映しているのみ。そこには先ほどの奇怪な人物は居ない。
それから30秒ぐらいたったあとに、従業員の女性を連れて来た彼女達が戻ってきた。男性客と俺は何をどう説明すればいいのかわからなかったが、起きたままの事を話す。
女性達は「もう、いやー。帰る。もう、帰る」と泣きながら叫び、
従業員は「そんな事在る分けない。今までそんなことがあったことは一度もない」の一点張り。
男性客が「確かに居た筈なんですけどね・・・なんだったんでしょうか」と俺に聞いてくる。
彼女も「本当に見た?見間違いじゃなくて?」と不安な様子。
俺も本当に見たのかどうか段々と分からなくなる。ただ、箒で叩いた時の手の感触などはある。男性客も同じようで、「見間違いのはずはないですけどね」と言う。
従業員は「この旅館でそのようなことはありません!」とむきになり、部屋へ入り押入れを見渡す。そこには何も無い。押入れの下部分には布団が入ってるのみ。
「誰もいないじゃないですか、ただの見間違いです」と威圧的な態度で言う従業員。ただ、振り向いた際に「ヒッ」と、驚きの声を出し尻餅をつく。
俺は何が起きたのかわからずに、従業員が見ていた方向、窓を見るも何も映ってない。再度「ひぃーー」と、押入れから離れて廊下に逃げ出す従業員。
何が何だかわからない客一同。
「何ですか?どうしたんですか?」と聞くと、「下、押入れの下」と言う。
直ぐに男性客が部屋に入り、押入れ下をみるも布団があるのみ。反対側の襖を開けて確認してもやはり布団があるのみ。
「なんですか?何も無いですよ?」と言った瞬間、6人全員がいる状況で、窓ガラスがコンコン、コンコンと叩かれた。一斉に窓を見る。
窓には部屋が映っている。人数は合わせて6人。窓には廊下に座ってる従業員も映ってる。
女性達も映ってる。俺も彼女も映ってるし、男性客も映ってる。ただ、布団と布団に挟まれてもう一つ顔がある。
男性なのか女性なのかは分からないが、顔らしきものがある。男性客が直ぐに押入れから離れて確認する。その様子も窓には映っている。
しかし、俺を含めた他の人たちの目は、窓の中の押入れに釘付け。その顔らしきものは、ズズズ ズズズと音を出しながら出てこようと、顔を引き摺って体を捩ってるように見える。
ズズズ ズズズ の間に、ハァと息遣いも聞こえる。
男性客はそこから逃げるように後ろへ。それを追いかけるようにズズズと顔も出てくる。そこで彼女は違和感を感じたらしく、「そっちじゃだめ!」と男性客に言った。
ちょっと表現するのが難しいが、通常鏡は前後が逆に映る。つまり、男性客が後ろにさがれば、男性客の背中が窓に大きくなって映る。
同様に顔が近づけば顔も大きくなって映ってくる。ただ、彼女の一言で気付いたのが、顔は布団から出てきてると言うよりも、窓から出てきてるように見える。
男性の背中は大きくなって映っているが立体感は無いのに対して、顔は出てくれば出てくるほど立体感を増している。
男性客に「こっちへ逃げて!」と言うと、直ぐにこちらへ逃げてきた。
顔はどんどん布団から這いずって出てくる。ズズズ ズズズという音は、入り口横の押入れから聞こえるが、窓から顔が立体的に出てくる。
それと同時に、段々と顔だったものがはっきり見えだす。今まで顔と思ってたが、顔で合ってるのかどうかを疑いたくなるような奇怪なモノが窓から出てきた。
それはグチャグチャな薄桃色の塊だった。体はグチャグチャになっており、それを顔のような塊が引き摺っていた。
その際に出る音がズズズだった。人の目の場所に垂れさがった目玉と、口の位置に窪みがあるため、人の顔に見えてただけで、実際は布団から何が出てきてるのかわからない。
今まで発狂していた女性客達も、何が起きてるのかわからずただ呆然としている。その瞬間、「そっちじゃねぇおぉ」と後ろから声が聞こえた。
それと同時に顔の様な塊は、
「ああああああああああああああああああああああああああああ」
と動物の鳴き声の様な叫び声を上げて、凄い速さで這いずり回り、窓の外に向かってくねくねと動きながら這って行った。
本当に何が起こったのか、何だったのかは分からず仕舞い。全員が何も声を発せれないし、理解しようにも理解できない状況。
時間がたち、寒さを感じ始めてきてから男性客が、「とりあえず、ロビーかフロントにでもいきませんか?」と全員に向かって言い、玄関前のロビーに向かい、他の従業員も駆けつけて暖房を入れてもらった。
毛布やら上に羽織る物やらを用意してもらい、暖かいお茶を飲みながら朝まで無言で待った。
他の従業員達には女性従業員から話をするも、「信じられない」と口にしていた。
さすがに大人6人が震えてるので、信じるも何もないだろうが。
朝方になり、女性客達は「荷物を取ってきて欲しい」と従業員に告げて、「なんでこんな目にあうのよ。なんなのこの旅館」と文句を言い始めた。
男性客と俺と彼女は少し話をして、起こった事を整理しようとした。「窓の外は墓地か神社でもあるんですか?」と彼女が従業員に聞くと、「外は崖になっていて、直ぐ下に川があるだけです」と答えていた。
そこで風呂場で起こった事を従業員に話すと、風呂の外も川だけとの事だった。結局何が起こったのかはさっぱりわからず。
外が明るくなってきたので、従業員が朝食を持ってきて、それを食べた。女性客達は直ぐに帰りたいからと、タクシー呼び、取ってきてもらった荷物を持って、そのまま旅館を後にした。
男性客と俺と彼女は、部屋に戻り荷物を纏めようとしたが、やはり恐怖が残っており、他の従業員に着いてきてもらった。
そして荷物をまとめて、運転手に車で駅まで送ってもらう事に。男性客は車で来てたようで、そこで挨拶を交わし別れた。
車に乗り込み駅へ向かう途中、車窓から川の方向を見たときに、何かが居る様な気がした。ただ、何も見えなかった。
駅に着き、運転手が「本当に申し訳ございませんでした。又の機会をお待ちしております」と言い帰っていった。
二度といくか。
彼女と色々考察してみたけど、あの塊が霊だとしたら何なのか。誰かに憑いていたのか。それともあの旅館にいたのか。
俺が金縛りに会った時に聞こえた、「助けて」は誰が言ったのか。結局わからないままです。
自分が何となく思ったのは、
部屋によって異なっているだけなのかも知れませんが、布団の置き場所が上下段が異なっていたのと、女性従業員に聞いた際に、やけにむきになって否定してたので、旅館側は何か知ってるのかな?とも思います。
自分は二度と行く気は無いですが、未だにその旅館はその温泉街で経営を続けています。場所は言いませんが、その辺りは何か曰くでもあるのかもしれません。
ただ実際変な体験だったので、表現するのも難しく、実際のところ何もわかってません。

その頃私は地方の水産試験場で働いていた

Posted on 2月 19, 2017

その頃私は地方の水産試験場で働いていた。工場の二階の空き部屋にベットなどの家具を運び込み住んでいたのだが、夜になるとそこに女の幽霊が出るようになった。
まだ若い髪の長い女性で、どこを見るともなくうつろな目をしており、うつむきかげんで部屋の隅に立つのだ。
悪さもしないし、特に何を訴えるわけでもないので、私はしばらくの間ほうっておいた。
しかし、あまり気持ちのいいものではない。
女の立つ位置はいつも決まっているので、ベットとその場所の間についたてを置いて見えないようにした。
2.3日はそれでうまくいっていたのだが、こんどはついたてのこちら側、つまり私のベットのすぐ側に女が立つようになってしまった。
いまや女は私の寝顔を覗き込むようなかたちだ。私は意地になってしまい、無視を決め込んだ。
そのまま幾日か経ったある夜、私が寝ているといつものように女が姿をあらわした。
しかし今日は何かか違う、何が違うんだろうと考えた私は、その理由に気づいてゾッとした。いつもは焦点のあっていない女の目が、その日に限って私の目の奧をじっと見つめてきているのだ。
女と目を合わすと布団の中が氷のように冷たくなってくる。いけないと思い必死で目をそらし、布団の中に潜り込んで丸くなるとだんだんと温もりが戻ってきた。
ほっとした拍子につい女の目を見てしまった。また氷のような冷たさに逆戻りである。
その繰り返しを何度続けただろうか、気がつくと朝になっていた。
このままでは命が危ないと思った私は、その日のうちに水産試験場を辞め実家に帰った。
その後、その女の幽霊は現れることはなかった。

私の通っていた中学校には嫌な噂があります

Posted on 2月 18, 2017

私の通っていた中学校には嫌な噂があります。
学校ですのでいくつかの通学路の設定ありますが、 何故か私の家から近いT字路は通学路ではありません。
Tの横線は学校の塀に面していて、縦線は学校に続く畑道です。 その噂は畑道のものです。
ちょうど今の時期、夏の終わり頃、雨上がりの蒸し暑い夕方 道に街灯がつく頃になると、彼女は現れます。
運悪く部活帰りに一人でこの時間に畑道を歩くと現れるのです。 幾つか対処法もあるみたいなんですが・・・・・。
ここからは当時、付き合っていた彼女の体験談です。 吹奏楽部の帰りに遅くなってしまいました。 
門限の手前もあってやむなく、そこを通る事にしました。 学校を背に進むと街灯が9本あります。
対処法① 9本の街灯を通り過ぎるまで一人で「しりとり」をする
※必ず途切れさせないこと。途切れさせると・・・・
完全ではないが有効らしいんです。
3本目をこえて5本目が見える頃・・・・・・彼女が現れました。
5本目の下に何かが・・・・・・
対処法② 呼吸を止めて3本目に戻り33秒数えてから道を変える
     
※振り返ると消えてくれる場合があるらしい
でもこの日は消えてくれませんでした。髪が長くて下半身の無い
内臓を引きずりながら ズズズズ・・ズズズ・・・ズズズ・・・
こちらに近づいてきます。
ズズズ・・・ズズズズ・・ズズズ・・・・ズズ・・
内臓を引きずる嫌な音とあたりに立ち込める獣のような臭い・・・
近づく彼女の顔は地面に引きずる髪に隠れて表情はわかりませんが、 寒気にも似た悪意が全身にに纏わりついてきます。
悲鳴を上げながら逃げると、彼女はものすごい速さで追いかけてきます。
ズズズズズズズズズズz----!!!!
噂では速さは時速30kmにもなるそうです。
死にもろ狂いで学校の塀まで走って振り向くと、もう7~8m後ろまで来ていました。
恐怖で蹲りそうになりましたが最後の対処法を使いました。
対処法③ 壁に張り付き、引き付けて引き付けて、横にかわす。
※あまりのスピードのため方向転換できず壁に激突、自爆します。
「いてっ、いってぇ・・・マジいてぇ、、ヤベ血出てるし、ヤベ」
と、言って消えたそうです。
※ 対処法は私の中学限定らしいのでお気おつけください。

遊び場がなかったんで近所の廃神社が遊び場というか、溜まり場になってたんだよね

Posted on 2月 16, 2017

これは高校3年の時の話。
俺の住んでた地方は田舎で、遊び場がなかったんで近所の廃神社が遊び場というか、溜まり場になってたんだよね。
そこへはいつも多い時は7人、少ない時は3人くらいで集まって煙草を吸ったり酒飲んだり、たまにギター持って唄ったりしてた。
その廃神社は人がまったく来ないし、民家や商店がある場所からはけっこう離れていたから、高校生の俺達には、もってこいの溜まり場だった。
ある日学校が終わって、まあその日も自然と廃神社に溜るかぁみたいな流れで、俺と他の3人の計4人で自転車で廃神社に行ったんだ。時間は4時過ぎくらい。そこで煙草吸ったりジュース飲んでたりしてた。
11月頃で、ちょっと寒いなぁなんて言いながらくだらない話に花を咲かせて溜ってたんだよね。そしたら、ザッザッザッザッって神社の入り口から足音が聞こえてきたんだ。
最初は他の連れが溜まりに来たのかなぁと思ってたんだけど、神社の境内に入ってきたのは、70代位のおばあさんだった。 俺を含めた4人とも会話がピタッと止まってね。
その廃神社に溜まり始めたのが高校1年の頃からで、約2年間溜まり場にしてたけど、これまで一度も人が来た事がなかったんでビックリしたというか、人が来る事自 体が意外だったんだよね。
俺たちは神社内の端側にある段差のある場所に溜まってたんで、おばあさんは俺たちの存在に気づいてない。
俺や俺以外の連れも、なんとなくバレたらいけない気がしてたのか、みんな黙ったままジッとおばあさんを見てた。
おばあさんは神社の賽銭箱(賽銭箱には落ち葉やゴミしかないのは2年前にリーサチ済みです)の前に立って拝んでた。拝んでた時に聞き慣れない言葉で何かを呟いてた。
1分くらい拝んだあとに、賽銭箱の後ろのほうに、片手に持っていた鞄を置いて帰っていった。
「おぉビックリした!」
「まさか人が来るとはww」
「ちょっと怖かった~」
とか話してたんだけど、当然気になるのは、おばあさんが放置した鞄。俺はなんとなく嫌な予感がしてたんだけど、連れのAが賽銭箱のとこまで走って鞄を持ってきた。
「札束が入ってたりしてw」とか言ってるんだけど、俺はわざわざ神社に置き去ったものだからロクでもないモンなんだろうなぁと思って「そんなもんあそこに置いとけよぉ~」とか言ったんだけど、他の3人は興味しんしん。
仕方なくA達が鞄を開けるのを見てた。
「なんだコレ」と言うBの手には古新聞。相当古そうなのは新聞の黄ばみ方で分かったんだけど、 記事はよく覚えてないけど「なんたら座礁」「○○が逮捕」みたいな文字が書いてあったのは覚えてる。
新聞の日付は1972年って書いてあった。
「なんで24年前の新聞が…」ってみんな不思議がってた。
Cもちょっと気持ち悪くなったのか「やめとくか?」と言い始めたんだけど、AとBは更にガサゴソと鞄を物色しはじめた。
今度は財布。Aは「おぉ金入ってたら○○ストアで酒買って宴会するかw」と言いながら財布を開けた。
見た事もない札が一枚(昔のお札じゃなくて外国の札?)とお守りとレシートと紙切れが入ってた。
AとBはすぐに興味なくして「なんだよ~金入ってねぇよ」と言ったんだけど、俺は中身に興味があったんでCと一緒に見てみた。
お札はたぶん中国か韓国のかなり昔の札。レシートはボロボロでよく読めない。 お守りには梵字みたいな、たぶん梵字ではないけど、中国語か韓国語で書かれたお守りかなぁって感じの物。
俺とCが財布をくまなく調べてると、Aが中から小さな木製の箱を取り出した。
「なんだよコレ!お宝っぽくないか!?」と言ってAは開けようとするんだけど開かない。俺は「やめとけよ。どうせロクなもん入ってないって」って止めて、Cも「気持ち悪くなってきた…」って言うのに、AとBは必死に開けようとしてる。
最初はコイツら馬鹿だなぁwって思ってたんだけど、AとBはその箱を地面に叩きつけたり、二人が引っ張り合いをし始めたりして、開けようとする行為がだんだん激しくなり始めた。
「ちくしょぉぉ開けよコノヤロ~」
「なんで開かないんだよぉぉぉ」
AとBはそう叫びながら必死に木箱を開けようとしてるんだけど、その姿が尋常じゃないって感じになってきて、 俺もCも唖然として見てた。力づくで止めさせようとも思えないくらい、目が血走ってて必死なんだよ。
「お、落ち着けよ」と言ったんだけどAとBには、俺やCの存在すら目に入ってないみたいな感じで木箱をガンガン地面に叩きつけたり踏んづけたり、引っ張り合いしてる。
ヤバイなコレと思ってさすがに止めに入ったんだけど、Aはガグガッと口からわけのわかんない声というか音を出して俺を突き飛ばした。
俺とCだけじゃどうしようもないから他の連れを呼ぼうにも、当時まだ誰も携帯電話を持ってなかったから、誰かを呼ぶにもその場を立ち去らないといけない。
俺もCも一人になりたくないけど、仕方ないからCとジャンケンして俺が勝って、俺が他の連れ達を呼んで来る事になった。
もう五時過ぎくらいで、少しずつ夕陽が落ちかけて暗くなり始めたんで、Aたちの行動とか周りの雰囲気がすごく気味悪く感じた。
2年間溜まり場にしてた場所がまるで別の空間に思えたんだよね。AとBがコンビプレーしながら木箱を必死に開けようとしてる異常な姿を見ながら
「じゃすぐ戻る!」と走り去る俺に
「頼むから早めに帰ってきてくれよ~」とCは泣きそうな感じで返事した。
神社の階段をダッシュで降りて、自転車を置いてる場所まで走って自転車に跨いで走り出そうとした時にギョッとした。
さっきのおばあさんが神社の向かい側の道でニタニタ笑ってた。俺の方じゃなく神社方向を見て笑ってた。
俺は神社に戻るわけにもいかず、おばあさんに話かけようなんて事も怖くて出来ず、必死に自転車をこいで、神社から一番近いDの家に向かった。
家から出てきたDは最初「は?なにそれw」と言っていたが俺が必死に説明してたら、ようやくヤバイ状況に気づいたみたいで、
「早く行こう!いや、Eも呼ぼう」とDの自宅からEに電話して「早く家に来てくれ」と頼んでEの到着を待ってたんだけど、
Eは20分以上待っても来ないし、外がかなり暗くなり始めた事に焦って、Dの弟にEが来たら神社に来るように伝言を頼んで、俺とDだけで神社に戻る事にした。
二人で自転車こいで、神社に到着した時は、さっきいた場所におばあさんはいなかった。俺とDは神社の階段を駆け上がった。
以下、記憶はここまで。
次の瞬間俺は病院にいた。
エッと思って起き上がろうとしても起きあがれない。一生懸命起き上がろうとしたら、足にギプスがはめてあって、腕には手首に包帯。急に全身に鈍い痛みが走って「うぉぉ」って小さい声が自然に出て、寝たまま苦しんでたら、しばらくして病室に看護婦か入ってきてそこからもよく覚えてないけど、とりあえず家族が来たり先生が来たりして慌ただしい感じになった。
どうやら交通事故に遭って4日間目を覚まさなかったらしい。
「Aは?Bは?神社は?Dは?」とまくしたてて聞く俺に、
母さんは最初は「今はいいの。今はゆっくり休みなさい」とか言ってはぐらかしてたんだけど、 何度もしつこく聞いたら、「A君もB君も亡くなって…D君は重体で…」と言われた。
意味が分からずポカーンとしていると、
ABD俺の4人が自転車に乗って歩道を帰っていたら、トラックが突っ込んできて、AとBは即死。Dは意識不明の重体。
(後日、図書館で地元新聞読んだらたしかにそう書いてあった)
駆けつけた担任の先生はボロボロ泣きながら「よかったなぁよかったなぁ」って言ってくれてるんだけど、
「おかしい…俺は神社に向かってたんだけど。AとBは箱を開けようとしててDに助けを呼んで神社に行ったんだけど」と説明した。支離滅裂だったのか親や先生は理解してくれなかった。
その日の夜は寝たり起きたりを繰り返しながら、連れが死んだショックより(もちろん悲しかったけど)「おかしい…」という感情が強かった。
翌朝一番でCとEが見舞いにきた。Cは泣きながら「すまん!俺、30分待ってもお前が帰って来ないからAとBを置いて逃げた」と言った。
俺は「あ~そうなのかぁ」としか返事が出てこなかった。せめて神社付近で待っておけよと思ったけど言えなかった。
Cは「あの後、Aが「もう少しで開く!開く!」って叫び出したんだよ。Bも「開く!開く!」って…それが怖くて逃げたんだ」と言った。
Eは「よく分かんないけど、Dの家に行ったら、Dの弟から神社に行くから来てくれってお前らが言ってたって聞いて、すぐに神社に行ったんだけど、お前らいなくて、別のがいたから仕方なく帰ったら、次の日事故ったって聞いて驚いたよ」
「別のって?」
「いつも溜ってる場所に何人かいて、暗くてよく見えなかったけど、お前らの自 転車はないし、雰囲気がなんかおかしかったからすぐ帰ってきたんだよ」
CとEと神妙な顔をしたまま、20分くらい話して帰っていった。
その後は、刑事が来ていろいろ聞かれたから正直に全部話したけど、神社の話より事故の瞬間の話しか興味がないみたいで、
「事故前後はまったく覚えてないです」って言ったら、残念そうに帰っていった。
後日、何度かまた刑事や相手の保険屋や弁護士が来て、話を聞かれたけど、神社のくだりより、事故の時の話しか興味ない感じだった。
事故を起こしたトラック運転手は精神的な疾患を持ってたらしくて、事故後に逃走して自殺を図ったらしい。
でも死にきれずに病院にいて、会話にならない状態だって聞いた。重体だったDは結局あの後亡くなった。Dの弟は俺を恨んでいるみたいで、退院後にDの家に線香あげにいった時も無視された。
俺は、もともと東京の大学に進学が決まってたから、一月から学校に登校して3月に卒業した。周りは妙に優しくしてくれたけど、俺は気まずくてCやEとは距離を置いた。
Cは4年前に自殺したらしいけど、俺は長い間地元に戻ってないから疎遠になってて詳しい話はしらない。
いろいろあったから地元とは距離を置いてきたけど、昨年11月に親父が亡くなったから12年ぶりに地元に帰った。
大学卒業の時に一度帰ったけど日帰りで一時間位しかいなかったから、じっくり帰るのは12年ぶり。葬式など全部終わって、すぐ東京に帰ろうと思ったけど、母さんがなんか不憫でギリギリまで実家にいる事にした。
昼間やる事もないんで、12年ぶりに徒歩で田舎町をウロウロしてたら、急にあの廃神社が気になった。
本当は思い出したくもないんだけど、その気持ちに反して神社が気になる!行きたい!と強く思った。
あの時の関係者といえばEだけど12年間疎遠になっていたし、連絡しにくい。仕方なく一人で行った。
歩いてみると、神社は家や学校からかなり遠かったんだなぁと思った。
神社に比較的近かった行きつけのスーパーは潰れてビルになってたり、近くにコンビニや大きなショッピングモールやマンションが出来てたり、12年前とは景観がかなり変わってた。
神社はまだあった。あの日以来の神社だった。俺は急に怖くなった。心臓が高鳴り、手のひらは汗でジトッとしてきた。
引き返そうと思ったけど、わざわざここまで歩いて来て今さら引き返すのも抵抗があって思いきって恐る恐る階段を昇った。変わらない風景のはずだった。でも変わっていた。
神社は綺麗になっていた。賽銭箱や社や石造りの道も綺麗になっていた。
近くに若い女の子が箒を持って掃除していた。可愛い娘だった。俺は人見知りするタイプだから、普段は絶対に声をかけたりしないんだけど、神社のこの変貌っぷりを目の当たりにして、迷わず声をかけれた。
「すみません。あの…あのですね。10年以上前に神社に来てた者なんですが」
すると女の子は「はい?」と答えた。
関係ない話だけど顔はアッキーナにソックリだった。髪のとても長いアッキーナだった。
「10年くらい前に神社によく来ていたんですよ、実は」
と言ったら
「少しお待ち下さい」と箒を置いて誰かを呼びに行った。
俺は周囲を見渡した。12年前にはなかった神社の横のアパートのバルコニーで洗濯物を干している主婦が見えた。
「どうされましたか?」神主さんなんだろうけど、私服を着た上品な顔立ちの年輩の白髪のじいさんが近寄ってきた。
アッキーナは箒を持ってお辞儀して別の場所を掃除し始めた。
「すみません。12年前に…」と説明をしたら、神主さんは驚いた表情をしながら聞いていた。
一通り話をした。二年間溜り場にしていた事や、おばあさんの話、事故の話。
「あ~なるほど…。実はこの神社は3年前に○○神社(よくわかんない)から分祀されて復興したんです。」
俺は「はぁ…そうですか…」と答えた。
「まさかそんな話を聞けるなんて思いもしていませんでした。その箱はその時におそらく開いたんでしょうなぁ…。アレは冥界の門みたいなもんで、私も実際に手にとった事はないんですが…」
「なんですか?冥界の門って?あの箱どこに行ったんですか?」
「いやぁアレにはいろいろな呼び方があって私どもは忌箱(キバコ)と呼んでます。私がここに来たのが半年前で前任の者が失踪したんですよ。詳しい事は私も聞かされていないんですが、前任者が忌箱に取り込まれたという話を聞きましたが…」
「ええ~!!忌箱ってなんなんですか?Aたちが死んだのも何か原因があるんですか?!」
「分かりません。う~ん…命をとる事もあるのかもしれませんね…申し訳ないですが…」
それから神主さんはお祓いをしてくれた。神主さんは神主衣装に着替えて、30分くらい物々しい雰囲気の中でお祓いの儀式をしてくれた。
アッキーナはたまに様子を覗きにきた。俺は正座してお祓いをしてもらいながらアッキーナにさりげなく微笑んだ。
アッキーナはたぶん微笑み返してくれて、出て行った。
「忘れなさい。アレはあなたの人生にたまたま通りかかった通り魔のようなもの ですから」
と言われた。俺は話せて良かった事と、お祓いのお礼を言って帰った。
その後は東京に戻って普通に生活している。
東京に戻ってしばらく経った頃から夢をよく見るようになった。3日に一回は見る。
あの日、Dと神社に到着した後の光景だった。
神社に到着した後から事故に遭うまでの内容が断片的に夢に出てきた。
この前は、トラックにひかれたのは運転手の責任じゃなく、俺とDがAとBと車道で揉み合いになっていたところに衝突してきた内容だった。
他にも神社の境内でのおぞましい内容の夢を見た。内容は誰にも言っていない。 夢の内容を口にしたら、とても恐ろしい事が起こりそうだからだ。
最近になって俺はこれは夢じゃなく記憶なんじゃないかと思い始めている。

このドアを開けたら取り返しがつかなくなる

Posted on 2月 15, 2017

駅から男が住むマンションまでは徒歩7分だ。帰り道には、コンビニや24時間営業のレンタルビデオ屋があって、明るいし夜でも人通りが絶えない。
昨日も仕事が遅くなったので、コンビニで夜食を買って帰ろうとしていた。
駅を出て足が止まった。
誰もいない。
車も通っていない。
時計を確かめる。
21時。
正月でもこんな状態は見たことがない。
不審に思いながらもコンビニへ行くことにした。
コンビニの店内も無人だった。店員の姿も見当たらない。男は怖くなって何も買わずに店を飛び出した。
コンビニからうちのマンションまでは3分も掛からない。
エレベーターのボタンを押す。2階、3階……着いた。家のドアに鍵を差し込んだ瞬間、何故か唐突に思った。
駄目だ。
これは罠だ。
このドアを開けたら取り返しがつかなくなる。
何でそんなことを思ったのか。
夢中で無人の町を駅に駆け戻った。
駅の構内に着いた途端、ざわめきに包まれた。
男は雑踏の中にいた。
駅を出る。
行き交う人々。
コンビニの前を通る。
立ち読みする人たち。
店の前で座り込んでる少年達。
マンションに着く。
ホッとしてエレベーターに乗った。
そして家のドアを開けた瞬間、舌打ちが聞こえた。

あんまり怖くないかも知れないけど、10年以上前の話です

Posted on 2月 12, 2017

あんまり怖くないかも知れないけど、10年以上前の話です。友達のお姉さんの体験談です。
大阪の梅田に、「泉の広場」っていう待ち合わせスポットがあるんですけど、そのお姉さんはそこで自分の友人と待ち合わせをしていました。
その日は、お姉さん、少し遅れてしまったんです。でも、待ち合わせ相手はまだ来てなかったので、そのまま待ってました。
ところが、30分たっても1時間たっても、相手はこないんですね。で、相手の子の家の方にTelしたら(その頃まだ携帯なんてものは無かった)、その子のお母さんが出て、「え、もうとっくに出てるんですけど・・・」との事。
それなら、とさらに1時間近く待ったんだけど、やっぱり来ない。
「どうせ途中で彼氏にでもあったんでしょ」と、お姉さんは怒って帰ってしまいました。
そしてその夜。相手の子の家にTelしてみたらその子が出たので、「なんで来なかったのよ~」と文句いったら、相手がすっごい震えた声で、「え、じゃあ、私が今日一緒に遊んだのは誰だったの・・・?」
その後2人は半狂乱になって、2人ともいそいでお祓いしてもらいにいったそうです。
この話はここまでなんですが、私その前に、故遠藤周作のエッセイで、「梅田の泉の広場に自分の生霊に会った人が何人かいる」といった話を読んだことがあるんです。
自分に生き写しの人物が目の前に現れて、にやっと笑って過ぎ去っていく・・・といった内容なんですけど、なんとなく、これに関係した事件ではないかと思うんです。
生霊の目的は本来は友達のお姉さんだったとか・・・。

おまえ、早くしろよ

Posted on 2月 08, 2017

「おまえ、早くしろよ」
男は支度をしている妻に向かって言った。女ってやつは本当に時間がかかるもんだ。
「もうすぐだから。そんなに急ぐことないでしょ。…もう、ほら翔ちゃん、バタバタしないの!」
確かにせっかちだが、今さら仕方がない。
今年もあと少しで終わりか…。男はスーツのポケットからタバコを取り出し、火をつけた。
「いきなりで、お義父さんとお義母さんビックリしないかしら?」
「なあに、孫の顔を見ればすぐに笑顔になるさ」
男は傍らで横になっている息子を眺めて言った。
「お待たせ。準備できたわよ。ねえねえ」
「なんだ?」
「あなた、ここ」
女房が男の首元を指差すので、触ってみた。
「あっ、忘れてた」
「もう、ほんとにそそっかしいんだから。こっち向いて」
「あなた…ずっと愛してるわ」
女房は男の首周りを整えながら、呟いた。
「何だよ、恥ずかしいじゃないか」
「たまにはいいでしょ、夫婦なんだし」
女房は下を向いたまま、照れながら微笑んだ。
「俺も愛してるよ」
こんなにはっきり言葉にしたのは本当に久しぶりだ。少々恥ずかしかったが、悪い気分ではない。男は、女房の手をきつく握った。
「じゃ、行くか」
「ええ」
男は、足下の台を蹴った。