2,3年前にコンビニでバイトしていたときの話です・・・

Posted on 6月 29, 2016

2,3年前にコンビニでバイトしていたときの話です・・・

その日の夜は、とても静かな夜でした。
お客さんも全然来ず、もう一人のバイト店員とレジの前で話し込んでいました。
「いらっしゃ・・??」
自動ドアが開いたので挨拶をしようとしましたが、人影はありません。
まぁそのときは、虫のせいで開くこともたまにあるから・・・と気にもしませんでした。
しかし、その数分後突然  バサァッ!!!
と、本棚から女性用のファッション雑誌が落ちました。
「ん~なんだよめんどくせぇ」と渋々片付けました。
すると今度は ドサッ とインスタントのカップお茶漬けが転がり落ちました。
コンビニで棚から物が勝手に落ちるなんてあんまりありません。
あっても人がいるときにギュウギュウ詰めの袋菓子くらいです。
これは様子がおかしいともう一人の店員と話していました。

しばらくたってもなんにも起きません。
あがる時間の深夜12時になってもなんの異変もなかったので安心して自転車で帰りました。
いつも気味が悪いなぁと思いながら通っていくお墓の前の道があるのですが、
そこの信号機のところがなぜか人がいっぱいいて、パトカーも止まっていました。
「なんだ?事故でもあったのかな?」と思いながら通り過ぎようとしました。
チラッっと見てみると案の定事故っていました。お墓をつぶして道路を造ったみたいなので、
道路はお墓にはさまれています。そのためか、ここは事故が多いのです。友達のM君もここで事故っています。

で、そのときはわからなかったのですが、その事故では女の人が亡くなっていたみたいです。
もしかしたら、その運転手はうちのコンビニに買い物にくる途中だったのかもしれません。
その話をもう一人の店員に話すと、震え上がって泣きそうになっていました。
実際、僕も死人がでたと聞いた時は泣きそうでした・・・

大学四回生の冬だった。俺は仲間三人と少し気の早い卒業旅行をした

Posted on 6月 27, 2016

大学四回生の冬だった。俺は仲間三人と少し気の早い卒業旅行をした。 交代しながら車を運転し、北陸まわりで関東へと入った。宿の手配もない行き当たりばったりの旅で、ビジネスホテルに泊まれれば良い方。
どこも満室で、しかたなく車の中で寒さに震えながら朝焼けを見たこともあった。目的はない。ただ学生時代特有の怠惰で無為な時間の中に、もう少し全身を沈めていたかった。みんな多かれ少なかれそんな感傷に浸っていたのだと思う。
ある街に着いた時、俺はふと思いついた。知り合いがこのあたりに住んでいたはずだ。
携帯電話で連絡をしてみると、懐かしがってくれた。一時間くらいあとで落ち合うことにする。
並木道がきれいに伸びている新興住宅地の中を通り、路肩に下ろしてもらい「終わったら連絡くれ」と言って去っていく仲間の車を見送る。
都心から離れるとあの、人であふれた息の詰まるような町並みよりも、空間的にずいぶん余裕がでてくるようだった。
カラフルな煉瓦で舗装された道を自然と浮き足立つステップで進み、大きなマンションが群れるように立ち並ぶ方へ目をやる。
マンションというより、団地か。そこへ向かう道は軽く傾斜し、丘になっている。その団地の入り口に公園があった。広い敷地には、わずかばかりの遊具とたくさんの緑、そして住民が憩うためのベンチがいくつかあった。
そこにその人は座っている。
小春日和の温かい日差しに目を細めながら、こちらに手を振る。俺は照れ隠しに大げさな動作で手を振り返し、ことさらゆっくりと歩いていった。
「え~と、元気でしたか。……多田さん」
なんだか面映い。ここ数日、砕けた仲間同士の掛け合いしかしてなかったので、口が滑らかに動かない。
元気だとその人は言った。以前より少しふっくらしたようだ。髪の毛も伸ばしている。なにより、あの真摯で鋭かった眼差しが柔らかくなっている気がする。
ベンチの隣に座って近況を報告した。
昼下がりの公園は自分たちのほか、時おり主婦らしき若い女性が通りがかっては去っていくだけだった。
「そうか、おまえも卒業か」
感慨深げな声に、うしろめたい気持ちで頷いた。卒業を待つ仲間たちと違い、俺だけは単位が足りずに留年することが決まっていたからだった。
旅行なんてしている場合ではない気がするが、捨て鉢になっていたというわけでもない。ただそのころの俺は、すべてなるようにしかならない、という達観めいた平静の境地にあったような気がする。
けれど格好悪いのであえてその事実を告げることはなかった。風の凪いだ陽だまりの中、二人でいろいろな話をした。たかだか二、三年前の過去が遥か遠い昔の出来事のように色あせて、それでも仄かな輝きとともに蘇ってくる。
「智恵も結婚したんだってな」
「ええ。二次会に呼ばれましたけど、あの人も変わりませんねえ」
相手はどんなやつだと言うので、「やっぱり、ああいうタイプの人でした」と答えると「なるほど」と笑った。
チリ紙交換の車がどこか遠くを走っている音がする。顔を上げ、ハッとした表情を見せて、なにか思い出そうという風情だったが、すぐに「まだいいか」とつぶやいた。
その横で俺は胸に小さな針が刺さったような微かな痛みを覚える。顔を伏せ、その痛みの正体はなんだろうと自問する。
「そういえば、この団地にも七不思議があってな」ふいにその人は切り出した。
「え。学校によくあるあれですか」
「ああ。まあ小中学生も多いし、同じノリで生まれたんだろう」
そう言って順番に教えてくれた。
団地への上り坂を時速百キロで駆け上るババア。
夜中C棟の前のケヤキの木の枝にぶらさがる首。
夕方E棟の壁に映った自分の影が勝手に動く。
団地内の公衆電話BOXにお化けからの電話が掛かってくる。
…………
「わりと、よく聞くような話ですね」
「そうだな。でもこの団地の七不思議は子どもだけじゃなくて、主婦連中にも信じている人たちが多いみたいだ。時どき噂が聞こえてくるよ。手のかかる小さい子どもを持ち、狭い空間に押し込められた大人たちにも心の病巣があるということかな」
あそこを見てみな。
指さす先に目をやると、ブランコのそばに小ぶりなジャングルジムがぽつんと建っている。
「あのジャングルジムに、いつの間にか小さい子どもが入って遊んでるっていう話もある。見通しがいいし、あんな細いパイプの骨組みのどこかに隠れられるはずもないのに、誰もいなかったはずのジャングルジムの中に気がつくと男の子がひとり入っているんだ。
パイプを上り下りしながら内側を這いまわってるらしい。見てしまっても気がつかないふりをしていると、またいつの間にかいなくなってるんだと」
「まるで妖怪みたいですね。怪異に出会ってしまった時の対処法とセットで存在する噂だなんて」
「確かにな」
二人ともジャングルジムを見ていた。男の子の姿はない。あの遊具があんなに小さかっただろうかと思う。自分にもあんな狭いパイプの中を這い回って遊んだ時代があったということが、なんだか不思議だ。
「子どもと言えば、こんな話もある。ベビーカーを押して母親が団地の中を散歩していると、周りに誰もいないのに、声が聞こえるんだ。キョロキョロしているとまた聞こえる。
囁くような小さな声。ベビーカーの中からだ。まだ喋れなかったのに、とうとう赤ん坊が喋れるようになったんだと喜んで母親がベビーカーの中を覗き込む。なのに赤ん坊はぐっすり眠っている…… いったいなにが赤ん坊に囁いていたのか」
「それは」
「なんだ」
怖い話ですね、と素直に言えなかった。なにか合理的な解釈ができないかと考えたが、情報が少なすぎた。
仕方なく、「ノイローゼじゃないですか。育児ノイローゼ」と言うと、「かもな」と頷いた。
そしてそのまま少し、遠い目をした。
ふいにカチャリという音が聞こえる。
地面に鍵が落ちている。ジーンズのポケットから落ちたらしい。屈んで手を伸ばし、拾ってあげる。
「すまんな、こんな状態で」
その人は窮屈そうに手のひらを広げ、受け取った。渡すとき、指先が触れてなんだか照れたような気分になる。
照れ隠しにそのまま指を折ってみせる。
「むっつですね。ここまでで」
「うん? ああ、七不思議か。そうだな。最後のひとつは面白いぞ」
面白い? それはオチ的なものだということだろうか。
「面白いというか、怪談として珍しいというのかな。こんな話だ」
そうして丁寧に話してくれた。
この団地には「なぞなぞおじさん」という怪談がある。
A棟の702号室にいるおじさんらしい。
どうしてなぞなぞおじさんなのかというと、読んで字のごとくなぞなぞが大好きなおじさんだからだ。
噂を聞いた子どもが702号室のドアの前に立って、コンコンとノックしたあとドアについている郵便受けをカタリと内側に押してから、部屋の中に向かって話しかける。
「おじさん、おじさん、クジラよりも大きくて、メダカよりも小さい生き物な~んだ?」
おじさんはなぞなぞが大好きだけど、なかなか答えがわからない。ずっとずっと考えている。ドアの前で待っていても返事はない。
仕方がないので引き返して自分の家に帰る。
答えはイルカ。そんなのイルカ! だからイルカ。こんなに簡単なのに、おじさんは分からないのだ。
子どもの住む団地の一室で、家族は寝静まり自分も部屋でもう寝ようとしているころ、玄関のドアをコンコンと叩く音が聞こえる。
家族が誰も起きないので、ベッドから這い出し、恐る恐る真っ暗な玄関に向かうと、コンコンとドアを叩く音が止まる。
カタリとドアの郵便受けが開く音がする。
「クジラよりも大きくて、メダカよりも小さい生き物な~んだ?」
郵便受けから低い大人の声。その声は続ける。
「答えはね、泥。泥だよ」
子どもはどうしようもなく怖くなる。なぞなぞおじさんがやって来たのだ。こんな時間になって。
でもイルカなのに。答えはそんなのイルカ! なのに自分の声が出せない。
「泥だよ」
もう一度小さくつぶやいて、カタリと郵便受けが戻る。
ドアの向こうから気配が消える。おじさんが帰ったのだ。『泥』という意味のわからない答えを残して。
そんな噂。
団地の子どもたちはその噂を聞いて、面白半分に次々と702号室の郵便受けになぞなぞを放り込む。
「お父さんが嫌いなくだものはな~んだ?」
「公園で静かにそうっと乗るものな~んだ?」
「世界の真ん中にいる虫はな~んだ?」
……
答えはパパイヤ。パパが嫌だから。
答えはシーソー。シーッとソーッと乗るから。
答えは蚊。せ・か・いの真ん中は「か」だから。
けれどなぞなぞおじさんはそんな簡単ななぞなぞが分からない。
夜中まで考えて、家族の寝静まる子どもの家にやってくるのだ。郵便受けから低い声で。
「お父さんが嫌いなくだものはね。歯の生えた梨」
「公園で静かにそうっと乗るものはね。刳り貫かれた楡の木」
「世界の真ん中にいる虫はね。鼻歩き」
……
その気持ちの悪い答えを聞いても、絶対に「違う」と言ってはいけない。
「違う」と言っても別のもっと気持ち悪い答えを低い声で囁いてくる。それを繰り返していると、自分でも本当の答えが分からなくなってくるのだ。
答えが分かるまでなぞなぞおじさんは帰らない。なのに答えが消えてしまう……
「という話だ」
どうだ? というように見つめられる。
「それは」
確かに怖いが、まるで変質者だ。
「その702号室は無人なんですか」
「いや、おじさんが住んでるよ」
「え、じゃあ実在の人なんですか」
「そう。普通のおじさん。もちろんお化けなんかじゃない。団地の集会にも顔を出すし、近所づきあいも普通にしてる。むしろどうしてそんな噂が生まれたのか本人が一番首をかしげている」
「本人にも心あたりがないんですか」
「らしいよ。ただ、子ども好きでな。よく近所の子どもになぞなぞを出していたんだ。答えを当てられたら飴とかガムをあげていた。逆に子どもが出すなぞなぞに答えられなかったりしても、そういうお菓子を巻き上げられたりね」
それを聞きながら、俺はやっぱりそのおじさんがやってることなんじゃないかと感じた。ただ誇張されているだけで。
「奥さんがいるんだけど、ちょっと前まで共働きでな。昼間はたいていその家は留守なんだ。七不思議の噂ではその昼間に702号室に行くことになっている。それで郵便受けから部屋の中になぞなぞを一方的に話す。
肝心なことはそのなぞなぞおじさんは答えが分からなくて返事がない、ということがパターンになっていることだ。当たり前だな、誰も部屋の中にはいないんだから。でも夜にそのなぞなぞの答えを話しにやってくる、というところが変だろう。
なぜその誰も聞いていないはずのなぞなぞを知っているのか」
そうか。子どもにとっては昼間に誰もいない家だからこそ、ノックをしてドアの郵便受けからなぞなぞを投げ掛けるなんていうイタズラができるのだ。なのに、いないはずの誰かにそのなぞなぞを聞かれている。
これはいったいどういうことだろう。
「答えがないから七不思議なんだろう。その702号室のおじさんは変な噂が立ったせいで奥さんに怒られて、今なぞなぞ禁止になってるよ。というか、近所の子どもと遊ぶの自体自粛中」
子どもが好きな人だろうに、少しかわいそうな気がするが世間体というものがある。ほとぼりがさめるまで仕方がないのかも知れない。
ほとぼり?
ふと思う。そんなもの、さめるのだろうか。一度七不思議になったものが、そう簡単に。
なにかきっかけになった事件や事故があったとしても、一度そういう怪談になってしまったものは、延々と子どもたちのコミュニティーの中で一人歩きをし、生きながらえていくのではないだろうか。
「いや、それがな。最近奥さんが仕事を休んでて家にいるようになったもんだから、子どもが昼間来ても郵便受けからなぞなぞを出した時点で追い返されてる。奥さんは怖い人だから、いずれ子どもたちも懲りるだろう」
そうか。それなら確かにほとぼりはさめるかも知れない。
七不思議が消えるのか。
笑ってしまった。
「可笑しいか」
頷く。
「でも、直接本人から聞いた話で、笑えないのがあるんだ」
「本人というは、そのおじさんですか」
「そう。まだ共働きのころ、たまたま仕事を休んでて昼間一人でいたらしいんだ。密かに楽しみにしてたのは、噂につられた子どもが実際にドアをノックしてなぞなぞを出してくるんじゃないかってこと。
もしそんなことがあったら、どうやって脅かしてやろうかとニヤニヤしてたらしい」
「全然懲りてないじゃないですか」
でも子どもがやってくる気配はない。それはそうだ。普段留守をしている平日の昼間なら、子どもたちだって学校があるはずだ。たまたま休校だとか、水曜日で午後は授業がないとか、そういう日じゃないと。
子どもが来そうになかったので、近くのコンビニに買い物をしに行った。帰って来て702号室のドアの前に立った時、思いついてノックをしてみた。当然誰もいないから返事はない。ドアの郵便受けを親指で押し込んでみる。数センチ幅の隙間ができる。
屈んだまま子どもの真似をしてなぞなぞを出してみた。
『おじさん、おじさん、松の木の下ではお喋りしたかったのに、桜の木の下まで歩いたら綾取りをしたくなりました。な~ぜだ?』
……返事はない。こんな馬鹿なことをしているのが恥ずかしくなって廊下をキョロキョロしてしまう。子どもたちはこれのどこを面白がっているんだろうと思いながらドアを開けて部屋に入る。中に誰かいたら嫌だなと思ったけど、もちろん誰もいない。
ホッとしてコンビニで買ったものを袋から出して冷蔵庫にしまっていると、玄関のドアをノックする音が聞こえる。はあい、と返事をして冷蔵庫を後ろ足で閉め、はい、はい、と言いながら玄関に行き、サンダルを引っ掛けてドアの鍵を外そうと手を伸ばす。
すると視線の下、郵便受けがカタリと鳴る。外の音がほんの少し流れ込んでくる。ざわざわざわざわ……
あ、これは、と思った瞬間、声が聞こえる。
『おじさん、おじさん、松の木の下ではお喋りしたかったのに、桜の木の下まで歩いたら綾取りをしたくなりました。な~ぜだ?』
誰の声だ。鍵を外そうとした手が空中で止まる。
あれ? いつの間に夜になったんだろう。暗い。玄関が暗い。電気。電気をつけないと。
声は続ける。
『答えはね……』
木が変わったから。答えは気(木)が変わったからだ。心臓が激しく動いている。その、どこかで聞いたことのあるような、低い、男の声がささやくように言う。
『答えはね、桜の木の下には、死体が埋まっているから』
……ドカン、とドアを蹴った。声は黙る。すぐにドアの鍵を外し、開け放つ。光が溢れる。さっきまでまるで深夜のように暗かったのが嘘みたいに。外には誰もいない。誰かが走り去る気配もない。
なんだ今のは? 足がガクガクする。自分の声のようだった。さっきまでドアの向こうに自分が立っていたのか? なにがなんだか分からなくて、ひたすら震えていた。
って、いう話。
とおどけてみせるのを、俺は久しぶりにゾクゾクした気持ちで見つめていた。
「怖いですね」
完全に怪談だ。なぞなぞおじさんという七不思議に出てくる存在が、自分自身とは別個のもののように立ち現れている。まるで…… 
そこまで考えたとき、ハッとして横に座る人の顔を見た。
この人の周囲には、「それ」が多すぎる。
かつての自分の体験を記憶の底から呼び覚まそうとして、一瞬意識がこの場所から離れた。
その時だ。
俺の耳は子どもの声を拾った。ぐずるような声。近い。
ゾクリとしてジャングルジムに視線をやる。その中にさっきまでいなかったはずの子どもの姿を見てしまう気がして顔が強張る。
一秒、二秒、三秒……
俺のその様子を見てその人も緊張したようだったが、やがて俺がなにを考えたか分かったようで苦笑する。
ああ、そうか。
俺はあえて見えない振りをしていたのだ。冷静になれば、なにも怪談話などではないのに。
照れくさくなり、「ちょっとトイレに」と言って立ち上がる。
「あっちにある」
指で示された方へ歩くことしばし。小ぎれいな公衆トイレを見つけて用を足し、俺はその場で考えた。
行ってみるか。
トイレの前にはC棟という刻印がされたクリーム色の壁がある。A棟は近い。挙動不審に見られない程度にキョロキョロしながら何色かに色分けされた舗装レンガの上を歩き、Aの刻印のある巨大な建物の前に立つ。
玄関でのセキュリティーはなかったので堂々と正面から入り込み、エレベーターに乗る。「7」を押すと、途中で止まることもなく目的地で扉が開いた。
平日の昼ひなか。太陽の角度の関係か、妙にひんやりした空気が漂っている廊下に出る。
静かだ。ここまで住民の誰とも出会わなかった。
702号室は端の方だ。壁と良く似た色のドアが並んでいるのを横目で見ながら歩き、やがて702の表示を見つける。
ドアの両脇の壁に、自分で取り付けたのか、プラスチックの板があった。
『こどもたちのために禁煙を』
『喫煙は決められた場所で』
そんな活字が黒く刻まれている。
なぞなぞおじさんはどうやら、禁煙運動だか嫌煙運動だかをこの団地で推進している人らしい。団地の集会では、お母さんたちからは支持され、お父さん連中からは煙たがられているに違いない。
俺は小さく笑ってドアをノックする。
しばらく待っても反応はない。やはり仕事に出ているらしい。
ドアノブの横、下目の位置に横長の郵便受けの口がある。色は銀色。軽く屈んで右手の親指で押してみる。覗き込んでも部屋の中は見えない。ドアの内側に郵便物を受けるカバーがあるのだ。
少し大きめの声で言う。
「おじさん、おじさん、ヘビースモーカーがある朝急に禁煙したのはな~ぜだ?」
篭った声がそれでもカバーの向こう側に漏れて行くのが分かる。
けれど室内から人の気配はなく、なぞなぞに答える声もなかった。
しばらく待つ。静寂が耳に響く。耳鳴りがやって来そうで身構えているが、いつまで経ってもそれは来なかった。
カタリと郵便受けから指を離し、702号室を後にする。
一度廊下で振り返ったが、ほんの少しドアが開きかけている、なんてことはなかった。
A棟の玄関に降り立ち、出来るだけ遠回りして戻ろうと、来た方向の逆へ足を向ける。
なんとか迷わずに元の公園に戻ってくると、その人は逆方向から来た俺に、あれ? という表情をして、そしてすぐにニコリと笑った。
「気をつかわせたな」
ちょうど胸元をしまうところだった。
胸に抱いた赤ん坊はさっきまでぐずりかけていたのに、今は満足そうな顔で目を閉じている。赤ん坊の口をハンカチで軽く拭き、その人は俺に笑いかける。
「家に寄って行かないか」
その提案に一瞬迷ってから、遠慮をした。「友だちがもう迎えに来ますから」
「そうか、残念だな」とさほど残念そうでもなく言うと、その人は赤ん坊に向かって、「あぶぶ」と口をすぼめて見せた。
俺は、もう行って来ましたよ、と口の中で呟く。そうしながら、三桁の番号が印字された鍵があのタイミングでポケットから落ちたのは偶然なのかどうか考えている。
やがてその夢想も曖昧なままどこかに消え、ただ冬の合間に差し込まれた柔らかい小春日和の公園に立っている。
小春日和にあたる季節を、アメリカではインディアン・サマーと言うらしい。寒さの本格的な到来の前にぽっかりと訪れる、冬に向けた準備のための暖かな時間。春でも大げさだと思うが、夏とは凄い例えだ。
その時、ふいに思ったのだ。
数年前、人のいないプールで始まった自分の夏が、終わってしまったのはいつだろうかと。
思えば、ずっと夏だった。秋も、冬も、春も、またやって来た夏も。見たもの聞いたもの、やることなすこと、なにもかも無茶苦茶で、無茶苦茶なままずっと夏だった気がする。山の中に身を伏せて虫の音を聞いた秋も。寒さに震えた冬の夜の海辺でさえ。
やがて、別の世界に通じる扉がひとつ、ひとつと閉じて行き、気がつけば長かった夏も終わっていた。
『夏への扉』という小説がある。
その中でピートという猫は、十一もある家の外へ通じる扉を飼い主である主人公に次々と開けさせる。扉の向こうが冬であることに不満で、夏の世界へ通じる扉を探して主人公を急かすのだ。
何度寒さに失望しても、少なくともどれかひとつは夏への扉であると疑わずに。
俺は失望はしていない。そんな別の世界へ通じる扉などない方がいいということはよく分かっているからだ。
ただそのころ垣間見た、ありえない世界の景色に今さら感傷を覚えることはある。そんな傷が、胸に微かな痛みをもたらすのだろうか。
「じゃあ、さようなら」
手を振って公園を出る。
その人はベンチから立ち上がり、こちらを見送っている。
これからその人が帰る扉の向こうには、ありふれた生活があるのだろう。七不思議の世界などではなく。
俺はもう一度さようならと呟いて、歩きながらゆっくりと背を向けた。
小春日和のベンチと、ずっと抱いていた遠く仄かな輝きと、そしてかつて愛した夏への扉に。

夕方6時を過ぎると 「おいでおいで」と手招きする手だけが出現するらしい

Posted on 6月 27, 2016

ある高校の体育館倉庫では、夕方6時を過ぎると 「おいでおいで」と手招きする手だけが出現するらしい。
ある新入生が何も知らず手に誘われるがままその体育館倉庫に入ってしまった。
次の日からその生徒は行方不明になり
体育館倉庫の「おいでおいで」の手は
二つになった

この話はそんな色んな体験の内の一つです

Posted on 6月 26, 2016

私の友達にS君という、高校生の頃からの友達がいまして、そのSくんは家で色んな体験をしてるんですよ。
(ちなみに場所はうちの実家である都内の某団地で、隣の棟だったりします。)
この話はそんな色んな体験の内の一つです。
10年位前の話ですが、S君と私の共有の友達に、K君とその彼女のHさんがいて、ある日その二人がS君の家に遊びに来たそうです。
S君は当時、一人暮らしをしてたので、よく色んな人が遊びに来てて、二人もしょっちゅう遊びに来てました。
その日、暫らくするとHさんが「気分が悪い」と言い出し、ちょと直ぐには動けそうにない状態だと言うので布団に寝かせてあげたそうです。
K君も彼女が心配なので「Hの具合が良くなったら、俺ら帰るよ。」という事になり、それまではS君とK君の二人でたわいもない話をしてたとか。
そしてS君が何気にふっと寝ているHさんの方を見た時、彼は「えっ!?」と驚きました。見てしまったのです。
彼女の胸のあたりに正座をした女の人の姿を…。
S君は「このままじゃヤバい気がする!」と感じ、寝ているHさんに「ここで寝てても良くならないみたいだから家に帰った方が良いんじゃない?」と言いました。
彼女もその方が良いと思ったらしく、二人で帰り支度を始めました。
しかし二人が玄関に向った時、S君はまた見てしまったのです。Hさんの後ろにさっきの女の人の姿を…。
そして女の人がS君とすれ違った時、彼ははっきり聞いたそうです。
「余計な事を…。」という言葉を…。
ちなみにS君は今は奥さんと二人で、まだそこに住んでます。

去年の夏、友達と東京近郊のプールに遊びにいったんだけど

Posted on 6月 25, 2016

去年の夏、友達と東京近郊のプールに遊びにいったんだけど、
そのとき超怖い体験をした。
なんだっけ?いまどきどこのプールにも大きいチューブみたいなやつで、
最後にプールに飛び込む滑り台みたいなやつがあるじゃん。
俺もそれで滑ろうと思って行列に並んでて、次が自分の番だと思ってしゃがんだら
突然下のほうからギャーって言う叫び声とともにプールが真っ赤になっていくのが見えたんだ。
いったいどうしたのかと思って下を見たら、ふくらはぎから首にかけてパッカリ切れて
そこから血がだらだら出てる女の人がのたうちまわってた。今思い出すと背骨も見えていたと思う。
後で聞いたんだけど滑り台の出口あたりに下からナイフが刺さって1cmくらい突き出てたらしい。
もし自分が先に滑っていたと思うと今でもぞっとするよ・・・

突然インターホンが鳴った

Posted on 6月 25, 2016

夫婦は毎朝6時に起きて、妻は朝食の、夫は出勤の支度をする。その日も普段と変わらず台所に立つと、夫が洗面所で顔を洗っている音が聞こえた。
突然インターホンが鳴った。
こんな時間に誰かと思って妻が覗き窓から確認すると、ランドセルを背負った小学校低学年くらいの男の子が立っていた。見たこともない子だ。
「こんな時間にどうしたの、だーれ?」と聞くと、その男の子は「ママがケガしちゃったの。ばんそうこう頂戴」と言った。
同じマンションの階の子かなと思ったが、どうもおかしい。妻は妙な気分のなか、急いで救急箱からばんそうこうを取って玄関に戻った。
ドアを開けることに急に恐怖を感じ、開ける前に「おうちはどこ?」と聞いた。
男の子は「ママ、血がいっぱい出てるの」と言う。
「ママはどうしてケガしちゃったの?」と聞くと
「ママ、血がいっぱい出て動かないの。早く開けてよ」
と男の子は言った。嫌な予感がする。なんかおかしい、ドアを開けてはダメだ…。
妻は恐怖でいっぱいになり
「うちはだめ、よそに行って!」と叫んだ。
次の瞬間、ドアを思いきり蹴った音がして、その後しーんと静まり返った。
ドキドキしながら覗き窓を覗いてみた。
「ひっ!」
なんとその男の子が覗き窓の高さまでよじ登って、こっちを覗いて不気味な笑みを浮かべていたのだ。
妻は思わず叫び声を上げた・・・とそこで目が覚めた。今までのことは全部夢だったのか?心臓がまだバクバクしていた。
夫が「また寝ちゃったの?」と言いながら洗面所から部屋に戻ってきた。
とにかく夢だったんだと思い、朝食の用意をするために起きようとしたとき、右手に何かを持っているのに気づいた。ばんそうこうの箱だった。
背筋が寒くなって声も出せず立ち尽くしていると、夫が話しかけてきた。
「お前、玄関でなんか騒いでただろ?大きな声がしたからどうしたのかと思ってさ。ドアが蹴られたような音もしたし」

最近、保育園で保母さんをやってる友達に聞いた話

Posted on 6月 25, 2016

最近、保育園で保母さんをやってる友達に聞いた話。 その子が行ってる保育園ってお寺がやってるとこで、すぐ近くにお墓があったりする。
お墓に子供が入っていたずらしないように、周りに柵がしてあるんだけど、柵の杭の尖った先っちょに、虫やトカゲなんかが串刺しになってることが良くあるらしい。
園児のイタズラかもしれないけど、お寺も兼ねてる保育園だから、けっこう人の出入りは多くて、広場で小学生なんかがしょっちゅう遊んでるから、誰がやってるのかわからない。
まぁ鳥のせいかもしれないし~って感じで、誰もたいして気にはしてなかった。ところがある日、その柵にモグラが刺さっていた。
さすがに哺乳類はグロいんで、すぐに園長先生(=寺のお坊さん)が片づけてくれた。で、しばらくすると、今度はネコが突き刺さってた。
これはさすがに酷かったんで、保母さんやお坊さんが集まって、誰の仕業か?どうしたらいいのか?って話をした。
でも、犯人はわからないし、再発防止の名案も出なかった。結局、どーするんだろうね~ってムードでダラダラと時が過ぎて、
ある日、ウサギが突き刺さってた。保育園で飼っていたウサギだった。これは、友達が見つけたらしい。
早朝に、お坊さんがお墓の掃除に行った時には無かったのに。
その日は、たまたま友達より早く来ていた子供がいたんで、その子に何か見た?って聞いてみた。
その子は一言「『ヒサルキ』だよ。」って言った。
「『ヒサルキ』ってなあに?」と聞いても上手く説明できないみたいだった。
あとで、ほかの子に『ヒサルキ』の事を聞いてみた。
みんな知っていた。
でも、誰も『ヒサルキ』がどんなモノなのか説明できなかった。
子供達は、ウサギが死んだのを、あまりかわいそうだと思っていないようだった。
何となく、しょうがない、みたいな感じで醒めていた。
変だと思ったのは、『ヒサルキ』のことは、園児の親も知らなかったこと。子供がそんな言葉を使っているところも、誰一人覚えていなかった。
テレビや本のキャラでもなかった。
すると、保母さんの一人が、昔そんな名前の絵を見たことがある、と言い出した。子供が描いた絵は返してあげるので保育園には残っていない。
ただ、絵を描いた子がその保母さんの近所の子だったので名前を覚えていた。
「その子に聞いたら・・・」と友達が言うと、
その保母さんは「引っ越した。」と答えた。
そして、「その引っ越しが変だったんで、覚えてる。」とも言った。なんでも挨拶もなく、急に引っ越していったらしい。
さらに不思議だったのは、引っ越す時にチラッと見たらしいんだけど、その絵を描いた子が両目に眼帯をして車の中に座っていたんだって。
それで、どこへ行ったのかはわからずじまい。
それからニワトリが串刺しになったのが最後で、『ヒサルキ』騒動は終了。
結局、犯人も『ヒサルキ』の正体もわからずじまい。
前みたいに虫なんかは突き刺さってるみたいだけど。
終わりです。
昼休みに急いで書いたから、文章荒れてる?洒落になってるし。スマソ。で、誰か『ヒサルキ』って知ってます?

小学生のころ、同級生だった「田所君」(仮名)の話

Posted on 6月 24, 2016

小学生のころ、同級生だった「田所君」(仮名)の話。
田所君とは、小学5年から6年の夏休み明けまで同じクラスだった。田所君は、かなり勉強の出来るやつだった。
学校の図書館を「根城」(当時は意味が分からなかった)と呼び、本の読みすぎですでにメガネをかけていた。
推理小説が好きで、図書館にある面白い本をいろいろ教えてもらったのを覚えている。「根暗」「ガリ勉」「メガネ」の三冠王だった田所君。
これだけなら真っ先にイジメの的になるところだが、彼には他の追随を許さない類まれな才能があった。
彼は「怖い話をするのが抜群にうまかった」のだ。そして、彼の話すべてが彼の創作だった。
今にして思えば、どこかで聞いたことのある話だったり、当時の事件をホラー仕立ての話に改変していた、ということなのだろうが、いかんせん小学生。湯水のように怖い話を語り続ける田所君を誰もが崇敬の目で見ていた。
全ての話を自ら「創作だ」と言っていたことから、よくありがちな「オレは霊が見える」「お前、悪霊がついてるぞ」みたいなインチキ霊感を騙ることもなかった。
「これは僕が考えた話なんだけど‥‥‥」と田所君が話し始めると、教室が一瞬で静かになったものだった。
俺たちクラスメイトは、畏敬の念をこめて「怪談先生グレート」と呼んでいた(「グレート」と付けたのは、学校の先生よりも尊敬されていたからだ)。
小学生ではよくある意味不明のあだ名だ。普段は略して「グレート」と呼んでいた。もはや田所のタの字もない。そんな田所君だが、2回だけ創作ではない話をしたことがある。
5年生だった当時、彼の話に惹き込まれるように、学校(全学年)で空前のホラーブームが巻き起こった。
最初は、怖い話大会のようなものが毎度の休み時間に行われるようになった。
続いて「コックリさん」が流行し、さらに占いが大フィーバー。放課後は廃屋や墓地に行って肝試し、夜まで帰らない子が続出した。
しかし、この「夜まで帰らない」というのが大問題に発展。親から苦情が噴出し、さすがの教師陣も対策に乗り出した。
これにより、ホラーブームは一時収束した。それでも、田所君に怖い話をせがむ子が後を絶たず、さすがに先生たちどころか親にまでにらまれると思った彼は一つ目の「創作ではない話」をした。
その話は、分かりやすく言えば「言霊信仰」の話。「僕が話をするとき、なんで『これは僕の考えた話なんだけど』って最初に言うか分かる?そういうとさ、みんなは頭の中で『ああ、これは作り話だ』って思うでしょ?実はね、これってすごく大事なんだよね」
いつもと違う語りに、みんな「アレ?」という表情をしていたのを覚えている。もちろん俺もその中に入っていたが。そんな俺たちに構わず、田所君は続けた。
「『ことだましんこう』って考え方があってね。字は言葉の霊って書くんだけど、意味はね、すごく強い気持ちで言葉をしゃべると、その言葉が力を持つって意味。
たとえばね、たけし君(仮名、超ビビり)はよく冗談で僕に「死んじまえー」って言うでしょ?でもさ、たけし君が本当に本当に僕が嫌いで、憎くて、殺してやりたいくらい恨んでたとするでしょ?
そんなたけし君が、僕に向かってそういう思いをありったけ込めて「死んじまえ!」って言ったとする。
そしたらね、たけし君の強い気持ちが言葉に引っ付いて僕のところに来るんだ。そしてね、その言葉が僕に届くと僕は死ぬんだ。言葉に殺されるんだよ」
もうこの時点でたけし君は失禁モノだ。しかし、他の連中(俺を含め)は「言葉で殺せるわけねーだろ!!」と笑い飛ばした。
当然だ。もし田所君が正しかったら、毎日が葬式で殺し合いだ。なんてデンジャラスな学校だ。
「そうならないのは、みんな本気じゃないからさ。まあ、そういう考え方があるってこと。それでね、この気持ちって言うのは、自分のものじゃなくてもいいんだ。
他の人の気持ちでもいいんだよ。だから僕はわざわざ『僕が考えたんだけど』って最初に言うんだ」
俺たちはポカンとした。
どういう流れでそうなるのか理解できなかったからだ。
「僕が前話した『人形の群れ』の話は覚えてる?あの話を聞いたとき、どう思った?」
その話は割りと最近聞いたので、みんな覚えていた。
人気の人形で遊んでいるうちに誤って口に入れて窒息死した子がいて、販売元が念のため回収。
しかし回収した沢山の人形には、子供の「人形を突然奪われた悲しみ」と「もっとこの人形で遊びたい」
という強い思いが焼きついていて、その思いが
死んだ子の霊の「寂しい」という怨念と結びつき集合体に。
そして夜な夜な巨大な人形の集合体は元の持ち主の子供の所に行き、「もっと遊びたい」という子供の思いをかなえた後、死んだ子が寂しくならないよう窒息死させていくという話だ。
確かにあの話は怖かったが、結局は田所君の作り話だ。怖がるとたけし君と同列に見られる、という思いもあり、見栄を張った俺たちは「どうせ作り話じゃねーか」そう言った。
「僕の言いたいのはそこなんだよね。もし『これは実際にあった話なんだけど』って言ったら、みんなはどう思う?
きっと、『うちの人形は大丈夫かな』とか『うちに来たりしないよな』とか『捨てた人形が来たりして』とか、不安になるんじゃないかな。だって、本当にあった話なんだもの。
みんなの人形がそうならないって、断言できないよね」誰も何も言えなかった。俺たちの中に、一気に不安が噴出した。
え、あれ本当の話だったの?つーかグレートまじで言ってんの?もしかしていままでの話全部実話なの?もう混乱のきわみだ。
「ああ、人形の群れは作り話だから安心してよ。でもね、いまみんなが感じた不安な気持ち、これが思いとなって僕の話に力を与えちゃうんだ。
一人とか二人とか、ソレくらいだったらきっとたいしたことない。でも、何十人とか何百人とか、沢山の人が不安に思って『本当に起こるかもしれない』って考えたら、ソレが集まってすごく大きくて強い思いになるんだ。
その思いが、僕の怪談の『人形の群れ』に引っ付いたらどうなるか分かる?それまでは僕の作り話だった『人形の群れ』が、本物になるんだ。
『本当におきるかも』っていう思いが強ければ強いほど、より本物になるんだ。だから僕は、そうならないように作り話しかしないんだよ」
田所君の「創作ではない話」を聞いた俺たちの心は一つだった。「シャレにならない」。
つまり、怪談話を怖がれば怖がるほど、実際に起こるんだよ、と言われたようなものだ。
今考えれば言霊信仰とは全然関係ない気もするし、これもある意味で創作だったのでは、とも思うが、当時これを言われた俺たちは言霊信仰の真偽よりも「怖がるとマジで起きる」というシャレにならない話に震え上がった。
この田所君の「創作ではない話」は、あっという間に全校に広まった。そりゃそうだろう、今までなぜ田所君が作り話しかしなかったのか、その理由が明らかになった上、怖がると嘘の話も本物になる、と言われたのだ。
これを機に、学校のホラーブームは完全に収束した。
これが、田所君の「創作ではない話」の一つ目だ。
その後ホラーブームがぶり返すこともなく、俺たちは6年生になった。ブームは収束したが全く怪談話をしなくなったわけではなく、俺のクラスは時折田所君の怪談を楽しんでいた。
田所君の怪談を聞きに、他のクラスからもたまにやってきていた。大きな問題もなく、せいぜい放課後に教室を占拠するくらいで先生たちも大目に見てくれていた。
そして小学生最後の夏休み明け。田所君は夏休みの終盤に体調を崩していたらしく、2学期が始まって1週間ぐらい休んでいた。
「一人だけ夏休み延長してんじゃねーよ!」とみんなに言われ、弱々しく笑っていたのを覚えている。
ともあれ、1週間お預けを食らっていた俺たちは、今日の放課後楽しみにしてるぜ、と口々に言った。
いつものように放課後の教室に集まった俺たちは、夏休みの思い出を交えながら田所君の怪談を聞いた。
その時の田所君の話は「蓋の話」。その内容は、以下のとおりだ。
「ある小学生が、夏休みを利用して一人でおじいちゃんとおばあちゃんが住んでいる田舎に遊びにいった。
田舎といっても寒村というわけではなく、それなりに栄えている町だ。小学生は、自由研究で神社やお寺を調べるつもりだったので、その町の神社などを回っていた」
「町外れの小山の上に建っている神社に行ったとき、小学生はその裏手に何か妙なものがあるのを発見した。
木でできた蓋だった。直径150センチくらいの円盤で、汚れ具合から見てずいぶん古いものだった。
手にとって見てみると意外なほど重く、かなりしっかりしたものだった。厚さは10センチ近くあり、木の板を何枚も重ねて作ったもののようだった。表は木目が分かるほどだったが、裏は何故か真っ黒に爛れていた」
「小学生は、蓋があるならこの蓋をしていた穴か何かがあるのでは、と思い、周辺を散策した。しかし何も見つからず、諦めて帰ろうとしたときにふと思い立って神社の社の中を覗いてみた」
「その発想は正解だったようで、社の中には同じような蓋が置いてあった。祭壇の上に飾られており、周囲を幾重にも注連縄が張られていた。何に蓋をしているのかどうしても気になった小学生は社の中に入り、祭られている蓋に近づいた」
「しかし不思議なことに、蓋は祭壇に立てかけられているだけで『何かに蓋をしている』わけではなかった。
余計に好奇心をくすぐられた小学生は注連縄をくぐり、蓋の裏手に回った。すると、薄暗い中分かりにくかったが、蓋とほぼ同じ大きさの金属の円盤が貼り付けられているのが分かった。
この金属板もまたずいぶんと古いもののようで、酸化して真っ黒だった。銅か青銅のようだった」
「小学生は、その金属板が何なのかとても気になったので、蓋をはずそうと試みた。しかし、蓋と金属板はぴったり張り付いているようで
びくともしない。
諦めた小学生は、せめて記録に取っておこうと思い、金属板の裏側を写真に撮り、持ってきていたスケッチブックに写生した」
「その後、田舎から帰ってきて写真を現像に出したのだが、肝心の金属板の写真がない。どういうことか現像屋に問い詰めると、 真っ黒の写真が何枚かあったそうだ。撮影の順番からソレが金属板を写したものだと分かった。小学生は無理に頼み込み、その真っ黒の写真も現像してもらった」
「それから、小学生は夢に悩まされるようになった。夢の中で彼は同じように金属板と蓋をはがそうとするのだが、どうしても開かない。
爪が剥がれるのも構わずに躍起になるが、結局何もできずに夢から覚める。日を追うごとに小学生は、あの金属板が何なのか気になって気になって仕方なくなっていった」
「その日も同じように蓋と格闘する夢を見るが、いつもと異なっていた。蓋が、少しだけずれたのだ。小学生は歓喜した。遂にこれが何か分かるときが来た、そう思っていっそう力を入れるが、その日はそれ以上動かなかった」
「ところが、その日から夢を見るたびに少しずつ蓋が開いていった。小学生ははやる気持ちを隠そうとせずに、毎晩毎晩蓋と格闘した。
夢から覚めても考えるのは蓋のことばかりで、夏休みの宿題も自由研究も放り出していた。起きているあいだすることは、真っ黒の写真を眺めるか、金属板の絵をひたすらスケッチすることだった」
「そして遂に、蓋がされていた金属板の表側が現れた。小学生は狂喜して思いっきり蓋を引いた。するとどうだろう、あれほどびくともしなかった蓋が、いとも簡単に外れた。小学生は、金属板の表側の全貌を見た」
「それは、ただただ真っ黒の金属板だった。
だが、まるで吸い込まれそうな黒だ。小学生は、金属の表面に触れようとして手を伸ばした。
その時、彼の耳に何かが聞こえてきた。それはとても小さな声で、ひたすら何かを呟いていた。どうやら金属板から聞こえてくるようで、小学生はなんといっているのか確かめようと耳をつけた」
「アケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロアケロ」
「ひたすら『アケロ』と呟く声が聞こえた。びっくりして離れようとしたが、耳が離れない。それどころか、さっきまで耳が感じていた
金属の冷たさがいつの間にか消えていた。
次の瞬間、真っ黒の表面から赤黒く爛れた2本の腕が出てきて、彼の頭をわしづかみにした。抵抗する暇もなく、小学生は真っ黒の金属板の中に引きずり込まれた。そして、そこで夢から覚めた」
「夢から覚めた小学生には、もはや恐怖心などかけらもなかった。ただただ、夢だけでなく現実の金属板も確認したい、その一心だった。
彼は既に、あの金属板に取り憑かれていた。小学生には確信があった。あの時はびくともしなかったが、今なら開けられる。夢であけた自分だからこそ開けられる、そう信じて疑わなかった」
「もはや夢など待たずともよい、すでに金属板以外のことなど考えられなくなっていた小学生は、親に黙って再び神社に向かった。
そして、小学生はそのまま行方不明になった。夢と同じように、金属板の中に引きずり込まれたのか、あるいは別のことが起きたのか、それは定かではない。
結局あの金属板が何だったのか、それは誰も分からない。知っているのは、小学生と、蓋をした『誰か』だけだ」
田所君の話の面白いところは、創作にもかかわらず話のラストで全てが明らかになるわけではない、というところだ。この「蓋の話」にしても、結局その金属板が何なのか分からずじまい。
話が終わり、ひとしきりブルッた後、俺たちは話の続きというかあの金属板が何だったら面白いか、という話題で盛り上がった。ありきたりだが、あの世に繋がっている鏡、というのが多数だった。
あの世じゃなくて地獄だ、いや精神世界だ、鏡じゃなくて時空のゆがみだ、といろいろな想像を話して楽しんだ。だが、何故か分からないがみんなその話に小さな違和感を感じていた。
そしてその後、田所君が伝説となった出来事が起こる。
田所君は翌日、学校を休んだ。
そもそも体調不良で1週間休んでいたこともあり、また具合が悪くなったんだろうか、と誰もがそう考えていた。
しかし、田所君はその翌日もそのまた翌日も学校を休んだ。そんなに悪かったのか、と不安になった俺たちは、先生の元にいきお見舞いに行きたいです、と言った。ところが、先生は首を横に振った。
先生いわく「田所君のところは今大変だから、見舞いには行くな」俺たちは驚いた。
大変て、もしかしてかなりやばい病気とか?
ひょっとして、あの日無理してたのか?
など、さまざまな憶測が飛んだ。
そして田所君が休んで約2週間、先生の口から事実が語られた。
田所君はあの日、「蓋の話」をした日から行方不明になっていた。
先生も、田所君の親があまり話そうとしないので詳しい話を知っているわけではなかったが、どうやら田所君は、「蓋の話」をした日家に帰らなかったようで、それ以来行方が分からなくなっているらしい。
既に警察も動いていて、誘拐もありえるとのこと。彼の最後の目撃情報は、「蓋の話」をした夕方、最寄の駅で見かけたというものだ。
いったい田所君はどこに行ってしまったのか。駅以降の田所君の足取りをつかめないまま1月が経ち、警察も継続捜査という形で対策本部を解散した。田所君の家族もそれを了承したらしい。
だが、俺たちは田所君の居場所を知っていた。あまりにもばかばかしくて、でもそれ以外ありえないと思っていた。
それに気付いたのは、先生から田所君が行方不明になったと聞かされた日の放課後だった。
その日から公開捜査に切り替わり、誘拐の線もあるから、ということで午後の授業は中止。帰りはもちろん集団下校。
一度家に帰り、その後近場の公園にみんなで集まった。
「行方不明」というあまりに日常からかけ離れた事態にどうしていいかわからず、その日はみんな静かだった。
ぽつぽつと彼の話をしているうちに、その場にいたみんなが同時にあることに気付いた。
田所君は「蓋の話」をしたとき、言うべき言葉を言わなかった。あの時感じた小さな違和感の正体。それは、彼の話に「これは僕が考えた話なんだけど」という言葉が抜け落ちていたことから来るものだった。
それに気付いた瞬間、全員が「ああ、そういうことだったのか」と奇妙に納得した。
あの話は、実話だったのだ。話の中に出てきた「小学生」とは、田所君自身だったのだ。彼は、彼の話してくれた内容に違わず行方不明となったのだ。
怪談先生グレートは、文字通り自ら「怪談」になった。そう考えると、不思議と悲しくはなかった。やっぱりあいつ、グレートだな。誰かがポツリといった。
みんなの心のうちを代弁する言葉だった。田所君の最後の怪談は、彼自身の話。そして彼は伝説となった。
これが、田所君の話した「創作ではない話」の二つ目だ。
あれから20年が経ったが、田所君は今でも見つかっていない。田所君の親もすぐに引っ越してしまい、祖父母の田舎はどこなのか、とか写真やスケッチの話を聞くことはできなかった。
今から考えればずいぶんとムチャクチャな結論なのだが、俺たちの中では彼に敬意を払う意味も込めて彼の行方不明の原因は「金属板」だとしている。
当時のクラスメイトで同窓会をするときは
「自ら怪談となったグレートに乾杯」が決まり文句だ。
以上が、田所君にまつわる話だ。

家の裏にあるS山を探検してたんだよ

Posted on 6月 24, 2016

中学のとき(10年前かな。)に家の裏にあるS山を探検してたんだよ。五人くらいで。
普通の道通るのもつまんないってあえて道が無い斜面とか木々の間をどんどん進んでたんだ。そしたら少し開けたとこに出て、寺とすぐ横に小さな家があったのよ。
そこの境内にずかずか入ると、すぐに異変に気がついた。 神主とか巫女さんが着る白い服が、そこらへんの地面の上に無造作に脱ぎ散らかしてあったんだ。
土にまみれてずいぶん古くなってる。寺のほうに行ったんだけど、誰も居ない。 扉にもカギがかかってなくて、さい銭でも盗むかって探したんだけど何も無かった。
でもさい銭箱の近くにまた服が落ちてたんだ。その服の上にでかい黒い芋虫みたいなのが這ってて、気持ち悪くなってそこを離れた。
そしたら連れの一人が騒いでて、「早くこっちに来い!」って血相を変えながら叫んでるんだよ。
そいつは寺の横にあった小さな家の近くで叫んでた。 勝手にその家に入ってたらしく玄関の扉が空いてた。
「やばい!まじでやばい!」って騒ぐそいつに引かれて俺たちはその家に入ったんだけど・・・。
その家に入った瞬間に吐きそうになった。匂いがひどいんだよ。すぐに何の匂いか分かる。うんこの匂いだ。
「気持ち悪っ」て尻込みする俺たちを先に入った連れは強引に引っ張る。 家の中はむちゃくちゃだったんだ。新聞紙、酒の空き瓶、弁当のカス。
下着、食器、よくわかんないゴミ、 もうありとあらゆる汚い物が散乱してた。テーブルとかもひっくり返ってて、家具とゴミの区別も曖昧。
玄関のすぐ横にカレンダーがかかってて、それ見たら1977年(ちょっと曖昧)って書いてあった。
奥にもう一つ部屋があって、その手前に俺たちを引っ張った奴が早くこっちに来いって顔で立ってた。
奥の部屋から強烈な匂いがする。うんことなんかよくわからない悪臭が混じったやつ。 恐る恐る部屋に入ったんだけど、とにかく薄暗い。でもとにかく部屋が荒れ放題なのは分かる。
真ん中にでかい釜みたいなのがひっくり返ってて中身がこぼれてた。ドロドロの味噌汁?
押入れには何も入ってなくて、天井の板が破れて押入れの中まで垂れ下がってた。 テレビとかタンスもあったんだけど、全部めちゃくちゃに倒されてた。
でも、そんな事どうでもいいぐらい、もっと強烈なのが目の前に広がってたんだよ。 部屋の壁全体にまんべんなく敷き詰められてるんだ。オムツが。
昼間の光も指す隙間が無いくらいまんべんなく。部屋全体がうんこの匂いを発してるんだ。
ぎゃあ!って叫んで逃げようと思ったんだけど、他の奴はおもしろがって部屋の探検を始めてる。
そのうち一人が部屋の真ん中に落ちてた辞書を見つけた。 それ自体は何の変哲も無い漢字辞書なんだけど、たまに端の余白になんかペンで走り書きしてあるんだ。
でもよれよれの字で何書いてるか読めない。ぱらぱらってめくっていったら最後のページに、
「○○○(判別不能)さまのおこえがきこえてくるようです。」ってなんとか読める字で書いてあった。
なんじゃこりゃと思ってたら他の奴が、押入れの下の段に寝袋があるのを見つけたんだ。 そいつが寝袋を引っ張ろうとしたんだけど、重くて動かない。
俺はその時、はっと思って叫んだ。
「やばい!それ死体入ってる!これ、遺書だ!早くそれ離せ!」って。
俺があまりにもびびった声出したから、寝袋引きずってた奴も飛び跳ねて逃げた。 「開けようぜ!」って言ってる奴も居たんだけど、俺はもうこの部屋の異様な匂いと雰囲気にびびってびびって。
そしたら何となく見てた、押入れの上にぽっかりあいた天井への穴から目が離せなくなってさ。
なんでそんな事言ったのかわかんないけど、「そっから誰か来るぞ!」ってその穴指差して「ぎゃあ!」って叫んで逃げた。
もう一目散に。他の奴らもつられるように「ぎゃあー!」って叫んで逃げまくった。 ある程度山を下って、冷静になるまで休んだんだけど、なんかもう俺はずっとパニックで。
連れのうち、一人は本当に死体か確かめようぜって言ってたけど、 他の奴らも俺のパニックがうつったのか、ぐったりして誰も賛成しなかった。
そのまま足取り重く、帰って行ったんだ。 それから俺らは、たまに思い出すようにあの寺行ってみようぜ。って話したり、 時には実際に行ってみたりしたんだけど、めちゃくちゃに登ってたから中々見つけられなかった。 そのうち、皆そのことを話さなくなった。
で、去年、久々に中学の連れと飲み会になって、久々にその寺の話したんだ。 それでノリで久しぶりに山に登ってみたんだ。変な道登ったよなあ。とかわいわい話しながら。
そしたら偶然、その寺のある開けたところに出たんだよ。びっくりした。適当に歩いてただけなのに。
まあ当時の恐怖心も若干よみがえりつつ、期待もありつつその寺のほうへ行ったんだけど、当時は無かった黒い鉄柵がそこら辺一体をぐるーって囲んでたんだ。有刺鉄線もぐるぐるに。
びっくりしてその鉄柵の周りを歩いてたら白い看板が立ってて、
「信者の方以外、立ち入りを禁ず」って赤い文字で書いてあったんだよ。 俺たちは釈然としないまま山から降りた。
俺らが中学のときに見たのは一体なんだったんだろう。 なんかヤバイ宗教団体でも住んでるんじゃねえの?とまたちょっと怖くなった。
だって、関係ないかもしれんけど、その山って、最近も猫の惨殺された死体が10数匹出てきたし、 人間の死体も出たことあるし、物騒なんだよね。
何なんだろ。ほんと。(キレの無い終わりだけど、

リアル体験談。私が小学6年の時の夏、サマーキャンプに参加した。

Posted on 6月 22, 2016

リアル体験談。私が小学6年の時の夏、サマーキャンプに参加した。
夜、湖のほとりにある私のテントに皆で集まりUNOなんかをした後、消灯で解散して友人と2人眠りについた。
この頃、私は自分の家以外ではなかなか寝付けなくて、泊まりになるといつも最後まで起きてるのは私だった。
暫らくは外から男子が消灯を無視して騒いでいる声や、先生の怒るなんかがしていたが、それも静かになり人の気配がなくなった。

深夜になり、まだ寝付けないでいると、パシッと音がした。パシッと手でテントを叩く音。男子が起きていて悪戯かと思った。
でもその叩く手がだんだん無数の手になっていき、テント中を外から激しく叩いている。友人を揺り起こそうとしたがまったく起きない。毛布を頭からかぶり、耳を塞いで朝まで過ごした
朝になり、先生にその事を話そうとして告げられたのは、私の家族の死。

霊感とかまったくないし、あんまり幽霊信じてないけど、あの事だけはトラウマ。絶対、キャンプできなくなった。