数年前、職場で体験した出来事です。

Posted on 8月 31, 2015

数年前、職場で体験した出来事です。

そのころ、ぼくの職場はトラブルつづきで、大変に荒れた雰囲気でした。普通では考えられない発注ミスや、工場での人身事故があいつぎ、クレーム処理に追われていました。朝出社して、夜中に退社するまで、電話に向かって頭を下げつづける日々です。当然、ぼくだけでなく、他の同僚のストレスも溜まりまくっていました。

その日も、事務所のカギを閉めて、廊下に出たときには午前三時を回っていました。O所長とN係長、二人の同僚とぼくをあわせて五人です。みな疲労で青ざめた顔をして、黙りこくっていました。ところが、その日は、さらに気を滅入らせるような出来事が待っていました。廊下のエレベーターのボタンをいくら押しても、エレベーターが上がってこないのです。なんでも、その夜だけエレベーターのメンテナンスのために、通電が止められたらしく、ビル管理会社の手違いで、その通知がうちの事務所にだけ来ていなかったのでした。

これには、ぼくも含めて、全員が切れました。ドアを叩く、蹴る、怒鳴り声をあげる。まったく大人らしからぬ狼藉のあとで、みんなさらに疲弊してしまい、同僚のSなど、床に座りこむ始末でした。

「しょうがない、非常階段から、おりよう」

O所長が、やがて意を決したように口を開きました。

うちのビルは、基本的にエレベーター以外の移動手段がありません。防災の目的でつくられた外付けの非常階段があるにはあるのですが、浮浪者が侵入するのを防ぐため、内部から厳重にカギがかけられ、滅多なことでは開けられることはありません。ぼくもそのとき、はじめて階段につづく扉を開けることになったのです。廊下のつきあたり、蛍光灯の明かりも届かない、薄暗さの極まったあたりに、その扉はありました。非常口を表す緑の明かりが、ぼうっと輝いています。

オフィス街で働いたことのある方ならおわかりだと思いますが、どんなに雑居ビルが密集して立っているような場所でも、表路地からは見えない、「死角」のような空間があるものです。ビルの壁と壁に囲まれた谷間のようなその場所は、昼間でも薄暗く、街灯の明かりも届かず、鳩と鴉のねどこになっていました。うちの事務所は、ビルの7Fにあります。

気乗りしない気分で、ぼくがまず、扉を開きました。重い扉が開いたとたん、なんともいえない異臭が鼻をつき、ぼくは思わず咳き込みました。階段の手すりや、スチールの踊り場が、まるで溶けた蝋のようなもので覆われていました。そしてそこから凄まじくイヤな匂いが立ち上っているのです。

「鳩の糞だよ、これ……」

N女史が泣きそうな声でいいました。ビルの裏側は、鳩の糞で覆い尽くされていました。まともに鼻で呼吸をしていると、肺がつぶされそうです。もはや、暗闇への恐怖も後回しで、ぼくはスチールの階段を降り始めました。すぐ数メートル向こうには隣のビルの壁がある、まさに「谷間」のような場所です。足元が暗いのももちろんですが、手すりが腰のあたりまでの高さしかなく、ものすごく危ない。足を踏み外したら、落ちるならまだしも、壁にはさまって、宙吊りになるかもしれない……。

振り返って同僚たちをみると、みんな一様に暗い顔をしていました。こんなついていないときに、微笑んでいられるヤツなんていないでしょう。自分も同じ顔をしているのかと思うと、悲しくなりました。

 かん、かん、かん……。

靴底が金属に当たる、乾いた靴音を響かせながら、ぼくたちは階段を下り始めました。ぼくが先頭になって階段をおりました。すぐ後ろにN女史、S、O所長、N係長の順番です。足元にまったく光がないだけに、ゆっくりした足取りになります。みんな疲れきって言葉もないまま、六階の踊り場を過ぎたあたりでした。突然、背後からささやき声が聞こえたのです。唸り声とか、うめき声とか、そんなものではありません。よく、映画館なんかで隣の席の知り合いに話し掛けるときに、話しかけるときのような、押し殺した小声で、ぼそぼそと誰かが喋っている。そのときは、後ろの誰か??所長と係長あたり??が会話しているのかと思いました。ですが、どうも様子がへんなのです。

ささやき声は一方的につづき、ぼくらが階段を降りているあいだもやむことがありません。ところが、その呟きに対して、誰も返事をかえす様子がないのです。そして……その声に耳を傾けているうちに、ぼくはだんだん背筋が寒くなるような感じになりました。

この声をぼくは知っている。係長や所長やSの声ではない。でも、それが誰の声か思い出せないのです。その声の、まるで念仏をとなえているかのような一定のリズム。ぼそぼそとした陰気な中年男の声。確かに、よく知っている相手のような気がする。でも……それは決して、夜の三時に暗い非常階段で会って楽しい人物でないことは確かです。ぼくの心臓の鼓動はだんだん早くなってきました。いちどだけ、足を止めて、うしろを振り返りました。

すぐ後ろにいるN女史が、きょとんとした顔をしています。そのすぐ後ろにS。所長と係長の姿は、暗闇にまぎれて見えません。ふたたび、階段を下りはじめたぼくは、知らないうちに足をはやめていました。何度か、鳩の糞で足をすべらせ、あわてて手すりにしがみつくという危うい場面もありました。が、とてもあの状況で、のんびり落ち着いていられるものではありません……。

五階を過ぎ、四階を過ぎました。そのあたりで……背後から、信じられない物音が聞こえてきたのです。

笑い声。

さっきの人物の声ではありません。さっきまで一緒にいた、N係長の声なのです。超常現象とか、そういったものではありません。なのに、その笑い声を聞いたとたん、まるでバケツで水をかぶったように、どっと背中に汗が吹き出るのを感じました。

N係長は、こわもてで鳴る人物です。すごく弁がたつし、切れ者の営業マンでなる人物なのですが、事務所ではいつもぶすっとしていて、笑った顔なんて見たことがありません。その係長が笑っている。それも……すごくニュアンスが伝えにくいのですが……子供が笑っているような無邪気な笑い声なのです。その合間に、さきほどの中年男が、ぼそぼそと語りかける声が聞こえました。中年男の声はほそぼそとして、陰気で、とても楽しいことを喋っている雰囲気ではありません。なのに、それに答える係長の声は、とても楽しそうなのです。

係長の笑い声と、中年男の囁き声がそのとき不意に途切れ、ぼくは思わず足を止めました。笑いを含んだN係長の声が、暗闇の中で異様なほどはっきり聞こえました。

「所長……」
「何?……さっきから、誰と話してるんだ?」

所長の声が答えます。その呑気な声に、ぼくは歯噛みしたいほど悔しい思いをしました。所長は状況をわかっていない。答えてはいけない。振り返ってもいけない。強く、そう思ったのです。所長と、N係長はなにごとかぼそぼそと話し合いはじめました。すぐうしろで、N女史がいらだって手すりをカンカンと叩くのが、やけにはっきりと聞こえました。彼女もいらだっているのでしょう、ですが、ぼくと同じような恐怖を感じている雰囲気はありませんでした。

しばらく、ぼくらは階段の真ん中で、立ち止まっていました。そして、震えながらわずかな時間を過ごしたあと、ぼくはいちばん聞きたくない物音を耳にすることになったのです。

所長の笑い声。

なにか、楽しくて楽しくて仕方のないものを必死でこらえている、子供のような華やいだ笑い声。

「なぁ、Sくん……」

所長の明るい声が響きます。

「Nさんも、Tくんも、ちょっと……」

Tくんというのはぼくのことです。背後で、N女史が躊躇する気配がしました。振り返ってはいけない。警告の言葉は、乾いた喉の奥からどうしてもでてきません。(振り返っちゃいけない、振り返っちゃいけない……)胸の中でくりかえしながら、ぼくはゆっくりと足を踏み出しました。甲高く響く靴音を、これほど恨めしく思ったことはありません。背後で、N女史とSが何か相談しあっている気配があります。もはやそちらに耳を傾ける余裕もなく、ぼくは階段をおりることに意識を集中しました。

ぼくの身体は隠しようがないほど震えていました。同僚たちの……そして得体の知れない中年男のささやく声は背後に遠ざかっていきます。四階を通り過ぎました……三階へ……足のすすみは劇的に遅い。もはや、笑う膝をごまかしながら前へすすむことすら、やっとです。

三階を通り過ぎ、眼下に、真っ暗な闇の底……地面の気配がありました。ほっとしたぼくは、さらに足をはやめました。同僚たちを気遣う気持ちよりも、恐怖の方が先でした。背後から近づいてくる気配に気づいたのはそのときでした。複数の足音が……四人、五人?……足早に階段を降りてくる。彼らは無口でした。何も言わず、ぼくの背中めがけて、一直線に階段をおりてくる。

ぼくは、悲鳴をあげるのをこらえながら、あわてて階段をおりました。階段のつきあたりには、鉄柵で囲われたゴミの持ち出し口があり、そこには簡単なナンバー鍵がかかっています。気配は、すぐ真後ろにありました。振り返るのを必死でこらえながら、ぼくは暗闇の中、わずかな指先の気配を頼りに、鍵をあけようとしました。

そのときです。背後で、かすかな空気を流れを感じました。

すぅぅ……。

(何の音だろう?)必死で、指先だけで鍵をあけようとしながら、ぼくは音の正体を頭の中でさぐりました(とても背後を振り返る度胸はありませんでした)。空気が、かすかに流れる音。呼吸。背後で、何人かの人間が、いっせいに、息を吸い込んだ。そして……。

次の瞬間、ぼくのすぐ耳のうしろで、同僚たちが一斉に息を吐き出しました……思いっきり明るい声とともに!

「なぁ、T、こっちむけよ! いいもんあるから」
「楽しいわよ、ね、Tくん、これがね……」
「Tくん、Tくん、Tくん、Tくん……」
「なぁ、悪いこといわんて、こっち向いてみ。楽しい」
「ふふふ……ねぇ、これ、これ、ほら」

悲鳴をこらえるのがやっとでした。声は、どれもこれも、耳たぶのうしろ数センチのところから聞こえてきます。なのに、誰もぼくの身体には触ろうとしないのです! ただ言葉だけで……圧倒的に明るい、楽しそうな声だけで、必死でぼくを振り向かせようとするのです。

悲鳴が聞こえました。誰が叫んでいるのかとよく耳をすませば、ぼくが叫んでいるのです。背後の声は、だんだんと狂躁的になってきて、ほとんど意味のない、笑い声だけです。そのときてのひらに、がちゃんと何かが落ちてきました。重くて、冷たいものでした。鍵です。ぼくは、知らないうちに鍵をあけていたのでした。うれしいよりも先に、鳥肌のたつような気分でした。やっと出られる。闇の中に手を伸ばし、鉄格子を押します。ここをくぐれば、本の数メートル歩くだけで、表の道に出られる……。

一歩、足を踏み出した、そのとき。背後の笑い声がぴたりと止まりました。そして……最初に聞こえた中年男の声が、低い、はっきり通る声で、ただ一声。

「 お  い 」

T廃病院

Posted on 8月 30, 2015

もう10年以上前の出来事なので書いてみます。

封印していた記憶です。

1998年の夏頃に俺とAとSで廃病院に行った。

関東周辺の色々な心霊スポットに行ってはスリルを味わって小バカにして楽しんでいた。

T病院は院長が患者に殺されたという噂だった。

Aが「そんじゃ俺が院長席に座って偉そうにタバコを吹かしてやろうか」とか冗談を言いながら車で病院に向かった。

近場のコンビニ駐車場に車を止めて病院へ歩いて5分くらい。

車を降りたら雨が降っていた。

蒸し暑い夜中なうえに雨。

コンビ二で酒を買い、飲みながら病院へと歩いた。

騒音が全く無い病院付近。

そして病院の入り口にたどり着いた。

重苦しい空気が身にまとわりついたが、

「全然怖くなさそうだな」などと強がった冗談を言いながら病院内へと入っていった。

3人とも懐中電灯を持って。

3階建ての大きな病院だったので最上階から降りてこようということになり、さっさと病院の最上階に行った。

そしたら屋上に出れた。

Hインターチェンジやら何やらがライトで光っており、

恐怖というスパイスが加わっていたので、景色が異常に綺麗にみえたた。

雨が強くなってきたうえに風もでてきたからさっさと回ろうという事になり、再び病院へと入った。

入ったとたんに下の階から「わ~」とか「お~」とか人の声が聞こえた。

誰かが入ってきたのかと思ってたくらいだった。

3階のフロアーを端から端まで見たあとに2階のフロアへと移動した。

Aは「暑い」と言いながら転がっていたシーツで体を拭いたり、

精神病棟の鉄格子の中に入りゴリラのマネをしたりとやりたい放題で、

Sは無口な奴だからか病院に入ってからは何もしゃべらなかった。

暗くて顔も見えなかったが。

俺は風や雨の音なのか解らないが、「パツッパツッ」と聞こえる音が気になっていた。

「ラップ音がすると、お化けが近くに居る」と聞いた事を思い出し怖くなった。

そのころは体中が汗びっしょりで酔いは冷めていた。

2階を回ってる時、Aが小便したいと言ったが、トイレを探すのがめんどくさいか

ら「かばんに入ってるペットボトルのお茶を捨ててこれにしろよ。」と言い、ペ

ットボトルを渡してやった。

Aは「うほぉ~い」と言いながらペットボトルにチン○を差込み踊りながら先に走って行った。

俺はAはバカだな~と思い、隣に居るSに「あいつおいて逃げようぜ」って冗談で

言ったら、Sが元気なく「もう出ようぜ。入ってから頭とわき腹がすっげ~痛いん

だよ。バファリンね~か?」と言って来たので車にあるから後でやるよ。って言

ってとりあえずAが進んだ方向に向かった。

そしてある部屋からタバコの臭いがしてきたので、Aが吸っているのだと思いその

部屋に入った。

俺は「タバコ吸うなよ。火事になったらどうすんだ?」と言って部屋に入ったがA

は居ない。

タバコもない。

あれ?っと思い周囲を見たが何も無かった。

そしたら突然「パツッ」という物凄い音が窓から聞こえた。

「うおぉ!」と声を上げ、窓を見たら窓が割れてた。

その後、窓がガタガタ揺れていた。

そして廊下から「あ~」とか「う~」っていう声も聞こえ始める。

奇音まみれで俺はパニックになり、Sに「きもちわり~からさっさと帰ろうぜ。何

かいそうだぞ・・・。」と言った。

Sも「Aをとっ捕まえて帰ろうぜ。」と言い、早歩きでその部屋を出て「A帰るぞ」

と声を張り上げて歩いた。

するとちょっと行った所でAが座り込んでいた。

俺は「帰るぞ。ここは本当に気味悪いぞ。」と言いAの肩を叩いた。

Aはチン○からひきぬいたペットボトルを手に、突然こっちを振り向いた。

「やっと抜けた!!」

と笑っていたので、ちょっと気が楽になった。

しかし、Aはあと少しでクリアなんだからもうちっと辛抱しようぜ。と言い人の意

見を聞き入れない。

だから俺はさっきの奇音の話をしてやった。

そしたらAも「俺も人の声みたいなのを聞いた。しかし誰もいないから風の音が反

響しているだけだろ。」と軽く言いやがった。

そんな話をしてたら、突然暗闇のほうから「ゴォーン」という大きな音がなった。

そしたら俺とSの懐中電灯が切れた。

「おいぃ~どうなってんだ?」と大きな声を張り上げたが、恐怖を紛らわしただけ。

Aの懐中電灯だけを頼りにとりあえず外に出ようとなり、早歩きで歩いた。

2階から1階に行く階段付近でAが「誰かいるだろ?」と言い始めた。

俺は「A。ふざけるなよ。今はマジでびびってるんだ。ヨタ話はやめろ。」と言ったが、

Aは「マジだって。見ろよ。アレは人だろ。なんかこっち見てるぞ。」と言った。

その頃は恐怖で「知らない人たちが肝試しに来た」とは思えない状況。

来た道を帰り、逆側の階段から降りようとも思ったが、

そんな余裕はなかったので周りにある物を投げつけて強行突破しようとなった。

俺は転がってた石ころを広い、3人は走りながら階段へと向かった。

しかし、近づいたら何もない。

ホッとした瞬間、階段の上から何かが降ってきた。

それが何かを確かめる度胸もなく、俺らは奇声を張り上げながら出口へ走り出した。

しかし、懐中電灯が1つしかなく、月明かりも暗かったので、俺は階段を下りて少し進んだ時に転倒。

無常にもAとSは俺を置いて逃げ去った。

俺はすぐに立ち上がり再び走り始めたが、後ろから何かが追いかけてきてる感じがする。

振り返る度胸が無かったので、ひたすら直線の廊下を走った。

そして何とか外へ出る事ができた。

とりあえず光のある場所へ!と思い、コンビにまでダッシュした。

そしてコンビ二に到着し安心したのだが、お互いの顔を見たときにぞっとした。

Aは緑色の変な物体が顔と髪についてるし、Sは白い何かが背中にベタ~って着いていた。

俺はコケたときにガラス片か何かで膝をザックリ切っていた。

気持ち悪かったのから、コンビニのトイレで髪も傷口も洗った。

SはTシャツを捨てコンビニでTシャツを購入。

そして車の中で反省会を開催し始めた。

お互い余裕ができてきた感じの時に、Aが「やばい。携帯落とした。」と言い始めた。

車にはなく、来る時はあったという。

「病院に落としてきた???」

誰も何も言わなかったがそういう空気だった。

俺は第一声で「新しい電話を買えよ!」と言ったが、Aは聞き入れず。

Aの電話に電話をしたが、ずっとコール音。

切ろうとした時に「通話中」となった。

変に思ったが、何も聞こえずこっちが何を言っても何もならない。

俺は電話を切り、顔を上げたら二人とも顔が固まっていた。

「これぜってぇ~やばいよな。」

お互いに言ったが、もし携帯電話を病院に落としていたとしたら・・・・

その電話から電話がかかってきたら・・・・

とか思うと怖くなり、明るくなったら探しに行こうとなった。

しばらく車の中で休んでいたら、周りが明るくなってきた。

夜が明けた。

人もちらほらと見え始め、おびえていた夜の恐怖が嘘だったように心に余裕が出来てた。

そして朝の6時頃に再び病院に入った。

日が入り、完全に明るい状態で入ったから怖くも何ともない。

院内で歩いた場所を歩いてたらAの電話があった。

あった!

といい、手に取ったら「なんか粘々する。きたね~」なんていいながらGパンで携帯を拭いていた。

そして院内を引き続き回った。

そしたら中庭に出れてその先にプールや地下室があった。

地下室に入るのはいやだったが、周りが明るいのも手伝って中に入った。

中に入ると物凄いすっぱい臭いがした。

少し奥に行くと徐々に狭くなっていた。

薄暗い中で奥から再び「わ~」「う~」と聞こえ始めた。

再びキモい・・・。

と思ったら、Sが突然発狂し始めた。

「うあぁぁぁぁぁぁ~。くんなぁ~!kgrjごいらうおがああ」

何言ってるかよく解らんが、メチャクチャ焦った。

また無我夢中に出口に逃げ始めた。

走って5秒くらいで出口につき外に出た。

Aも来た。

Sだけ来ない・・・・。

俺らも動揺し、「連れに行かないとまずいぞ!」となったが、お互いまったく行ける気分じゃなかった。

ドアを開けて「S!早く戻って来い!」と言うのが精一杯だった。

全然帰って来なかったから頑張ってドアを開け、再び地下室に入った。

すると、Sは壁に抱きつくような体制でモゾモゾしていた。

すごい変な人みたい・・・。

そう思ったが、まずは外に連れて行く事が先決だったから無理やり連れて行こうとしたが、Sが拒否する。

Sの頭をひっぱたいたが変わらず。

蹴ったら奥に進んで行きやがった。

何とかAと一緒にSを外に連れ出す事ができたが、SはSに見えなかった。

顔は墨汁を浴びたように黒く汚れ、服は破れ(俺が蹴ったせい)、目が飛んで笑っていて、何かをしゃべっている。

俺らもその姿をみて恐怖したが、こいつを車にのせないといけないと思い、水をぶっ掛けようとしたが、周りに水道がなかった。

コンビニまで行くのは行く方も待ってる方も嫌だったので、禁断の「聖水」をSの顔にかけた。

しかし、まったく治らず。

しかたないから、おんぶして車まで連れて行き無理やり車にのせた。

もう30度はある厚い日差しだったが、心底冷えていた。

そして小便くさい車内の臭いを我慢し、中央道を使いS区に帰った。

帰路の途中Sが突然普通になり、「くせぇ!」 と言い始めた。

俺はSに 「何してんのお前?

頭おかしいんじゃない?」 と言ったが、Sは

「は?」

と言いやがった。

俺はSがイカれた行動をしたことや小便をかけたことを丁寧に説明した。

そしたらSが「マジ?記憶にない。俺やばいかも。」 と泣きそうになった。

俺は「こんな状態なんだからヤバイのは解ってる。特にSは呪われたかもしれん。

霊媒師に頼もう。たしか大泉学園に有名な霊媒師?がいるからいまから行こう。」

と言い、高井戸インターで降りて環八を使い大泉学園に向かった。

Aは心底びびっていて顔が真っ青。

無言のままで大泉学園についたが、霊媒師の店が解らなかったから交番で聞いた。

駅から5分くらいで霊媒師の「大泉の母」の店についた。

しかし、店がやってない。「占い1500円 コーヒー付き」と言う紙を見ながら茫然とした。

しょうがなく車に戻り「どうする?疲れてるし呪われたかもしれないし。」と騒いだが、

Aは「眠いから帰るわ。」と言ったが、俺は「お前の汚い携帯ヤバイだろ?なんか憑いてるぞ」と冗談で言ったのだか、

Aは突然笑いはじめてすぐに鳴き始めた。

「普通じゃない。」

そう直感した。

俺も恐怖で泣きそうになり正常な人たちがいるところにいないと倒れそうだった。

精神的に参ってた俺はコンビニで塩を買って頭からかけたり、清め酒みたいに日本酒を飲んだり変な行動もとった。

3人ともイカれた状態で時間だけが過ぎた。

絶望的な状態のときに俺の電話がなった。

バイト先の寺の倅の先輩からだった。

先輩から「バイト入れない?」と言われたが、「今それどころじゃないんです

よ。あ、先輩の家って寺でしたよね?ちょっと相談があるんですが・・・」と言

ったところ、「暇だからいいよ。」と言ってくれた。

そして先輩の家の近くに行き、昨日からの経緯をすべて話した。

そしたら先輩が「お前らバカだよな。悪ふざけで行くところじゃないだろう?ちっとオヤジに聞いてみるよ。

期待するなよ。」と言ってくれたが、俺は期待していなかった。

その後、先輩のオヤジが話を聞いてくれるといい、すぐに寺に向かった。

数分で寺に着き、坊さん(先輩のオヤジ)に色々話たら、「うちでは除霊はでき

んぞ。埼玉県の○○市に知り合いがいる。連絡してみるからまってろ。」という

ことになり、1時間程待たされた。

そして「○○の所へ行け。」と言われ、先輩と一緒に埼玉県まで行った。

その場所に着くと、年配のばあさんが出てきて色々話された。

ばあさんに言われるがまま、隣にあった建物に入り服を脱がされ、放心状態でイ カレてる二人と一緒に正座させられた。

ばあさんは変な衣装に着替えてきて荒塩?を大量に持ってきた。

Aの携帯、俺ら3人の体に塩を撒かれお経?みたいのが始まった。

木の薄っぺらい棒で何回も叩かれ水をかけられた。

婆さんかやりたい放題って感じだが、これで一昨日の自分たちに戻れるなら苦にもならないと思った。

何十分か計画した頃、Sが突然正座を崩して寝はじめた。

隣にいたAが「バカ!起きろ!おい!」と言って体に手をかけようとした瞬間に婆さんが

「触るな!目を開けるな!動くな!」と奇声じみた怒鳴り声を張り上げた。

Aも俺もばあさんの形相にびっくりしてその後はめをとじて動かなかった。

すると、寝転がってたSが「来るなぁ!gtjmagtm!待てぇ!ぐうぅ。」と意不明な事を叫び始めた!

婆さんはSに近づき、棒だ叩きまくるわ怒鳴りつけるわで地獄絵図のような感じだった。

Sはずっと何かを呟きいてた。

Sが静かになりそうなときに、婆さんが「帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ」と連呼してた。

その言い方が気味悪くて俺もも頭がおかしくなりそうだった。

すぐにSは動かなくなり寝転がってた状態になった。「除霊完了か?」と思ったが、婆さんは再び俺のかたを棒で叩き始めた。

10分以上叩かれたうえに婆さんが低い声で唸っている。

「恐怖。」

それだけしか感じられなかった。

しばらくすると背中から頭にかけて電気が走ったみたいになった。

数回続いた後に変な感じになった。

頭痛薬を飲んで頭痛の痛みが引いてる時の感覚。

そしたらなぜか落ち着いた。

普通に冷静になった自分がいた。

婆さんの唸りが終わり、婆さんが「目を開けなさい」と言ったから目をあけた。

汗だくの婆さんが目の前に立っていた。

俺は正座を崩し、足を伸ばしたら、転けた時の傷がえらいことになってた。

血まみれ。

婆さんがそれを見たとたんに塩を塗り込んできた。

塗り込まれた瞬間に「いてぇ!ぐあぁ!」と奇声を発してしまった。

あの痛さは尋常じゃない。膝が激痛のため痙攣しはじめた。

俺も油汗まみれで地獄の時間だった。

そしてどのくらいたったかわからんがSが起き上がり俺の膝を見て「どうしたの?それやばいぞ!医師に行けよ!」

と言った。

Sは普通になっていたと思う。

俺も痛みさえなければ普通だったはず。

婆さんは「帰ってよい。但しこの事は他言するな。忘れろ。」と言った。

しかし、Aだけは残れと言われた。

「なんで?」と思ったが、それ以上は何も言えなかった。

Aは顔が真っ青だったが、しょうがなくという感じで残った。

そして先輩・俺・Sは車で地元に帰った。

地元に着き、坊さんと先輩にに礼を言い、ボロ雑巾のようになった体にムチを入れて家に帰った。

翌日、医者に行き俺は膝を5針縫った。その日は寝続けた。

婆さんに叩かれまくった背中も痛かったし。

数日後、バイト中に先輩から紙袋を預かった。

札とお守りと小さい木の板。

二人分。

なんで二人分?と思い、「Aのがないですよ?」と聞いたら、Aはしばらく先輩の家にいるみたいだった。

俺らに何が憑いていたか?

なんでそうなったのか?

Aはどうなったのか?

電話が通信中になったのはなぜか?

など色々聞きたかったが、遮られた。

ただ、「あ~いうところは面白半分で行くのはやめろ。お化けが見える見えないという問題じゃない。」と言われただけだった。

木の板は布団の頭部分にお気、札とお守りは10年間は持ち続けなさいと書いてあった。

見た瞬間にビビッたが、もう落ち着いていたから普通に貰った。

その夜にS宅に行き札を渡した。

Sは普通に戻っていた。

その後、俺らは心霊スポットに行くことは無くなった。

1ヶ月くらいたったらAから連絡があったがなぜか会わなかった。

Sとも連絡を取らないようになってしまい、わずかな期間で3人はバラバラになった。

残ったのは膝の傷と消え去りたい記憶だけ。

札とお守りは去年の年始に浅草寺に他のお守りと一緒に預けてきた。

10年たったから。

結局、今でも憑依が完全になくなったのかは解らないが普通に暮らしているから大丈夫なんだろう。

そう思いながら生きている。

過去を思い出し、丁寧に書くとずいぶん長くなってしまった。

ただ、コレだけは言いたい。

心霊スポットに遊び半分で行くと大変なことになってしまった人もいるという事実。

友人の顔に小便をひっかけたり、人間がパニックになると理解出来ない行動をとる事実。

信じても信じなくてもいい。

己の判断なんだから。

すべては自己責任。

俺が高校の時の話。修学旅行の行き先がオーストラリアだった。

Posted on 8月 29, 2015

俺が高校の時の話。
修学旅行の行き先がオーストラリアだった。
それで2日目の夜、ホテルでトイレに行こうとすると、鍵がかかって
入れなくなってたんだ。
外国のホテルだからフロントに何とかしてくれって頼もうにも、
そんな語学力は俺も同室の奴も持っていなかった。
そこで、担任が英語の教師だったので、相談に行こうとエレベーターで
上の階に行ったんよ。
すると様子がおかしい。
生徒達が皆が廊下に出てる。夜も遅いし、こんな時間に廊下で騒いでたら
絶対に怒られるはずなのに、先生達も一緒になって騒いでる。
なんやろと思いつつ、とりあえず担任の英語教師を見つけた。
先生は俺が話し掛けようとすると、
「なんや、お前とこの階にもでたんか」
といった。
何の事かと聞くと、先生が言うには、部屋に居るといきなり女の笑い声と
走っているような足音が尋常じゃない音量でしたとの事。
何事かと思い部屋から出ると、一斉に他の部屋からも生徒達が出てきて、
皆が口をそろえて笑い声と足音が聞こえたので、部屋から出てきたとの事。
それで皆、幽霊かなんかじゃないのかと廊下で話し合ってたらしい。
マジかいな、と思っていると、いきなり
「ブガウルグァーーーー!!!!!!」
そんな感じの男の叫び声が廊下中にひびいた。
あかん、これほんまや!まじでビビッタ俺はトイレの鍵が開かんように
なったからフロントにどう言えばいいのかを聞いて、即効でそのフロアから
立ち去った。
その後、ちゃんとフロントに俺の英語は通じて、係りの人が部屋に来てくれて、
無事トイレのドアは開いた。
上の階の出来事はもう同室の奴らも聞いており、ここのトイレの鍵が閉まったのも
幽霊の仕業じゃねーの、といっていた。
俺はそんなはず無いよな、あれは上のフロアだけだよな、と自分に言い聞かせ、
とりあえずトイレで用を足し、水を流した。
滅茶苦茶びびった。
流れてきた水は、汚い赤色をしていた。
あと、俺は見てないんだけど、このホテル、幽霊が出やすいので有名な所だと
テレビのアンリリーバボーで紹介されたらしい。

50kVの直流電源で感電したことがある。

Posted on 8月 28, 2015

50kVの直流電源で感電したことがある。

俺の作業中、いきなり通電された。
あれじゃ、作業前の安全確認なんて意味がない。
明らかに現場管理者の怠慢による人災だった。

高圧電流が右の掌から入り、右の脇腹から抜けていた。
掌の皮はベロリと剥けて、装置の接触箇所に張り付いて残っていたそうだ。

なんとか生きているが、感電の直後から暫くは物凄く気持ちが良かった。

ドーンって、爆音と同時に快感が全身に走った。
全身に走る快感を脳が処理できずに吹っ飛んだような…。
苦痛なんて全く感じなかった。
むしろ、このまま消えてしまいたいと思うような恍惚感に包まれた。

救急車の中で意識が戻ったときには、トランクスを大量の精液で汚していた。
さらに、固く固く勃起状態していた。
あれから、ずうっとチンコが勃起したままだ。

退院してから二ヶ月たつが、いまでも常時七割から九割程度の勃起状態が続いている。

あのまま死んでしまいたかった。

チンコが痛い。
勃起を隠すために無理な姿勢をとりつづけているせいか、腰から背骨にかけて激痛が走る。
死にてえよ。
あの現場管理者が憎い。

先輩が大学一年のときに仲の良いサークル仲間4人で肝試しに行くことになった。

Posted on 8月 27, 2015

会社の先輩のIさんに聞いた話。

先輩が大学一年のときに仲の良いサークル仲間4人で肝試しに行くことになった。
ちょっと市街地から離れたところにある廃病院。お化けが出るって結構有名なとこだ。
時間はちょうど夜中0時くらい。車を病院玄関前に止めて、各々懐中電灯を片手に車から降りた。
窓ガラスは皆割れており、壁にはツタがびっしりと茂っていて、無人になってからかなり経っているのがわかった。
建物の中も落書きやらゴミやらでボロボロなんだけど、
各部屋に雑誌とか、ベッドとか、カルテとか、いろいろ残ってて結構怖かったらしい。
わいわい騒ぎながらテキトーに部屋を回って、3階にたどり着いたとき。
当時大学三年だったKさんがとんでもないことを言い出した。
『なあ、今からジャンケンして負けたやつが、この階の廊下の端っこまで1人で行くってのどうよ』
遊び好きなメンバーは喜んでその話にのった。Iさんは内心かなりびびってたらしいけど。
で、ジャンケンの結果はというと、言いだしっぺのKさんが行くことになった。
Kさんは霊感ゼロで、そういう類のものの存在を信じてもいなかったような人で、
『マジ怖ぇー!』とか口では言ってたけど、ためらいもせずに廊下の奥に進んでったらしい。
そんなに広い病院じゃなかったから、ずんずん歩いて行くとすぐに廊下の端は見えてきた。
振り返ると他の三人の懐中電灯の明かりが揺れているのが見える。
さて折り返すか、とKさんが明かりに向かって歩き出したとき・・・

・・・ギギギ・・・と、ドアが開く音が背中から聞こえてきた。
心臓がビクンと跳ねる。風の音か何かだろう、と自分に言い聞かせてKさんは首だけひねって後ろを見た。
中から顔を出したのは50代くらいの警備員の格好をしたおじさんだった。
『おいおい君、何やってんのこんなとこで・・・』
何だ・・・人間か。ほっとした次の瞬間、Kさんは部屋から出てきたその男の身体を目にして愕然とした。

男の身体は上半身と下半身が異常にねじれ、腕の関節は通常とは逆に折れ曲がっていた。
Kさんは声にならない叫び声をあげて仲間のもとへ走り出した。
Kさんを待っていた三人は廊下の端から走ってくるKさんを見て最初は笑っていたが、
Kさんを、いや、Kさんの後ろのモノを見るやいなや声をあげて逃げ出した。
後ろを振り向くと、足を引きずりながら追いかけてくる男が見える。
ズルッズルッズルッズルッ
『待って・・・待って~・・・あはははははは・・・』

後ろから聞こえる不気味な足音と笑い声。4人は死ぬ思いで車に戻った。
『急げ!早く出せ!』
Kさんが震える手でキーを差込み、エンジンをかけた、そのとき。

『覚えたよ~・・・』

声がした方に目を向けると先ほどの男が窓ガラスにべったりと顔を当てて車内をのぞいていた。
『うわあああああっ!!』
Kさんはアクセルを思い切り踏み、車は急発進した。
それからどう走って帰ったかははっきり覚えてないらしいが、結局4人は無事に帰宅することができた。

しかし次の日の晩、I先輩の部屋にその男は現れた。

夜、I先輩はロフトの上で床に就いていたが、なかなか寝付けずにいた。
すると下のほうからギシ、ギシ・・・とロフトを登って来る音がしてきた。
『やばい・・・!』
I先輩は目を固く閉じ、身体を強張らせた。『消えてください、お願いします・・・』と心で念じながら。
音はすぐに止んだが、すぐに姿勢を崩すことが出来ず、数分が経った。
『消えたのかな?』

ほっと息をつき、目を開けると、あの男の顔が目の前にあった。
I先輩の上にまたがり、顔の両脇にひじをついてのぞき込むような形だ。
男はI先輩と目が合うと一言『・・・違うなぁ~』と言って、消えていった。

そのままI先輩は気を失った。

次の日、I先輩は他の3人にその話をした。Kさん以外の2人にも同じことがあったらしい。
Kさんだけが何事も無かったのだ。
『俺、昨夜は何も無かったけど、昨夜からなんか・・・すげぇ気持ちわりぃ』
たしかにその日のKさんは顔色が悪かった。
それからKさんは極端に元気が無くなり、あまりI先輩たちの遊びの誘いにものらなくなった。
しかし特に何があったわけでもなく、Kさんは卒業していった。

それから数年後、大学も卒業し、今の会社に入ったI先輩は当時のことを忘れかけていた。
肝試しのメンバーの1人から連絡がくるまでは。
その人によると、Kさんが体調を崩してここ一年ほど入院しているらしい。
I先輩たちは入院先の病院に見舞いに行ったが、Kさんの様子が少しおかしい。
しきりに何かに怯えている様子で、話をしてもまったく噛み合わないのだ。
家族の話によると、ここ数ヶ月で彼の精神年齢がどんどん逆行しているらしい。
I先輩たちが訪れたときはちょうど中学生くらいだったそうだ。
さらに、常に何者かの視線を感じている、と話しているとか。
大学時代の肝試しのことが、I先輩の頭によぎった。

その数ヵ月後、またI先輩はKさんの見舞いに訪れた。
もうそのときにはKさんの精神年齢は4、5歳くらいにまで逆行していた。
Kさんはしきりに『変なおじいちゃんが笑って見てるの、怖いの、怖いの』と訴えていたそうだ。
それからさらに数ヶ月後、Kさんが亡くなったという連絡が届いた。
もう話すことも食事をすることもままならず、点滴生活の末亡くなったらしい。

I先輩はこの話を俺にしたあと、しみじみと言った。
『Kさん、最期まであのじいさんに見られてたのかなぁ。』

・・・この話聞いてから肝試しなんてできなくなりました。

小学生の頃のある夏休み、おじいちゃんの家に泊まりました。 おじいちゃんの家はとても田舎で、標高の高い場所にありました。

Posted on 8月 26, 2015

小学生の頃のある夏休み、おじいちゃんの家に泊まりました。

おじいちゃんの家はとても田舎で、標高の高い場所にありました。
おじいちゃんの家には毎年お盆に行っていましたが、今年は父の仕事の関係上八月のはじめの土曜に行く事になりました。
いつもはみんなで行くのですが、今回は父と二人だけで行くようです。

金曜の夜中に家を出て車でおじいちゃんの家に向かいます。
そして朝6時くらいにおじいちゃんの家に到着しました。
おじいちゃんが家から出てきて私たちのことを歓迎しました。
その時、私は非常に眠かったことを覚えています。

それから夕方くらいまでおじいちゃんの家でスイカを食べたり、虫とりをして遊んだりしました。
夕方になって雨が降り出しました。
激しい雨でした。

夜8時、雨もすっかり止みそろそろ帰ろうかという時になって、近所の人が帰り道である道路ががけ崩れで通れないということを伝えに来ました。
それから父とおじいちゃんは話し合っい、父は明日おじいちゃんの家に車は置いたまま別の道から別の交通手段で山を下りそのまま家に帰ることになりました。
そして私はおじいちゃんの家に残ることになり、後から父が迎えに来るということになったのです。
なぜかおじいちゃんは私を泊めることを渋っていたようでした。

私は正直わくわくしていました。
おじちゃんの家に泊まるのは初めてだったし、あまり慣れぬ土地で過ごすことがまるで旅行のように感ぜられ、色んな期待を膨らませていました。
9時ごろ、風呂にも入り歯磨きもして寝ようとしたらおじいちゃんが「話がある」と言い私を居間に呼びました。

居間にはおじいちゃんだけがいました。父は風呂に入っています。
そして、おじいちゃんはちょっと怖いような、しかし穏やかな表情で話し始めました。

「うちにはな【やっこさん】っち言う人じゃないもんがおるんよ。やっこさんはなずっと昔からこの家に住んどう守り神みたいなモンや。家の中に潜んどう虫やらを食べてくれるんよ。住みついた家を火事や病気から守ってくれる。
でもな、こいつは必ずしも良い奴というワケやない。時に人へ悪さすることがある。」
そう言っておじいちゃんは少しの間沈黙しました。
そして私が怖がっている事を表情から読み取ったのでしょう。
こう続けました。
「でも怖がる事はない。今から俺の言う事を守ればやっこさんはお前に悪させん。」

おじいちゃんが言った守ることは
・夜中あまり寝室からは出ない。(昼間は大丈夫だそうで、寝室も安全だそうです)
・もしやっこさんに会ってもやっこさんの方を見ない。もしくは目を瞑ってやっこさんがいなくなるのを待つ。(やっこさんがいるときは「いる」という事が分かるそうです)
・やっこさんがいる間は、やっこさんについてあまり考えてはならない。
・どうしてもやっこさんのことを考えてしまう場合は、おばあちゃんのことを思い出す。(おばあちゃんはこの時すでに他界していました)

私はあまり難しくないおじいちゃんの言いつけに安心していました。
そしてやっこさんはどんな姿をしているのかを考えました。
私はやっこさんという名前からトトロに出てくる「まっくろくろすけ」を想像しました。
なんとも可愛らしい想像に私はやっこさんに会いたくなりましたが、おじいちゃんの言いつけは守る事にしました。

その後私はすぐ眠りにつきました。
目覚めたときはもう朝で、父がおじいちゃんの家を出る少し前でした。

私は、また虫とりや探険なんぞをして遊んでいました。
近所の数少ない子供とも友達になりました。(何人かはあからさまに私を避けていましたが)
そうして、私は夏休みを満喫していて、特に何事もなく3日を過ごしていました。
そして4日の晩は疲れていた事もあり少し早めに寝ました。

真夜中、目が覚めてしまいました。
妙に目が冴えており、少し尿意がありました。
私は布団から出て蚊帳を潜り便所に向かいました。
その時の私はやっこさんの事やおじいちゃんの言いつけを少し忘れていました。

きぃ、きぃと床の軋む音が心地良かったです。
用を足し戻る時、「それ」はいました。

姿を見たわけではありません。
しかし確かに「それ」は「いる」と分かりました。
この家に住んでいるが、この家のモノではない異物がそこにはいました。

私は直ぐにおじいちゃんの言いつけを思い出し、それを見ない事にしました。
それはゆっくりと移動していました。
不意にそれは視界の隅に写ってしましました。
恐らく私の身長くらいでしょう。黒いうねっとした塊がゆっくりと動います。
「まっくろくろすけ」なんて可愛いものではありませんでした。
それは非常に気味が悪く、私は悪寒を感じました。
そして、それは饐えた様な臭いを放っていました。

私は必死に目を瞑りそれが居なくなるのを待ち、頭にそれが浮かんでこないよう懸命になりました。
しかし、それが放つ饐えた臭いでどうしてもそれの存在が頭にへばり付いて離れません。
私は死んだおばあちゃんの事を考えました。
おばあちゃんの事を考えると何故かそれから思考を逸らす事が出来ました。

そうしている内にそれは結構遠ざかっていった様に思えました。
そして私は何を思ったのか、恐らく奇態なモノへの好奇心でしょう、薄眼でそれを見てしまいました。

黒いうねうねとした塊でした。
それが廊下の壁を舐めるように移動していました。
私がその奇妙な塊に目を奪われ放心しいると、その黒い塊の何かと目が合いました。
黒い塊は移動を止めました。
そしてゆっくりとこちらの方向へ引き返して来たのです。

私はこちらに向かってくるそれに対する恐怖で我に返り、急いで寝室へと逃げました。
逃げている最中塊から「うぁ、うぁ」という呻きなのか何なのか分からない音がしました。
寝室の前まで来て、私は寝室に入ろうと戸に手を掛けました。

ねちゃっという嫌な感触がありました。
前には黒い塊がありました。
どうやら私は寝室へ逃げていたのではなく、黒い塊の方へ誘われてしまっていたのかもしれません。
そこで私の記憶は途切れています。

朝私はきちんと寝室で寝ていました。
起きて、おじいちゃんに夜中あった事を話しました。
おじいちゃんは怖い形相になり私の目を覗き込みました。
「大丈夫やったんか?なんともないか?」
と聞かれました。
私は「大丈夫と思う」と言うとおじいちゃんはとても安堵した表情で言いました。
「良かった。本当に良かった。ばあさんがお前を助けてくれたんかもしれん。」

後から聞いた話ではやっこさんと目が合い魅入られてしまうと狂ってしまうそうです。
なんでも虫の代わりに人間の精神みたいなモノが食われのだそうです。
私には何にもなくてよかったです。

それから私はその日のうちに家に帰され、それから二度と夜の内にはおじいちゃんの家に上げてもらえませんでした。
しかしお盆の日には夜も入ることができました。

これも後から聞いた話なのですが、

昔村の田んぼの害虫を食べてくれる神様がいたそうです。
その神様は村の人々にとても崇拝されており、村人は毎月感謝と畏敬のしるしとしてお供え物を捧げていたそうです。
しかしある日、村人の一人がその神様に腐った食べ物を捧げたそうです。
その村人は自分の田んぼが獣に荒らされ、その腹いせに神様にそのような事をしてしまいました。
神様が人を呪うようになったのは、それからだそうです。

人を狂わせていく神様に困った人たちは、村に修験者達を招き、神様を鎮める事をお願いしました。
しかし、神様の怨念は強く修験者たちには手に負えませんでした。
そこで修験者たちは、その神様をある家に閉じ込め、そこから出られなくするよう結界を貼ったそうです。
その家は、神様に腐った食べ物を捧げた村人の家でした。
そして神様は現在に至るまでその家に閉じ込められているのだそうです。

私が体験した話は以上です。

とある恋人同士が結婚して、マイホームまでの繋ぎにとアパートに新居を構えた頃のことです。

Posted on 8月 25, 2015

とある恋人同士が結婚して、マイホームまでの繋ぎにとアパートに新居を構えた頃のことです。
2階建ての木造という絵に描いたようなボロアパートの階段は、タンスを運び込む際、
キイキイといやな音をたて、何となく薄気味悪さを感じさせました。
アパートの住人に挨拶に廻らなければと思っていた矢先、若奥さんが体調を崩し、
実際にお隣さんを訪ねたのは2日後のことだったそうです。

挨拶が遅れたのが気に障ったようで、どうも嫌な顔をされてしまった…
しょんぼりと頭を垂れる奥さんを、旦那さんは「どうせすぐ越すのだから」と
慰めました。
その次の日から、家に悪戯電話がかかるようになりました。旦那さんがいるときは
何もないのですが、奥さんが家にひとりでいると必ず無言電話がかかってくる
のです。新婚生活ですから、電話のことは幸せな空気に閉め出されて、奥さんも特に気に
していなかったのですが、次第に旦那さんが帰ってくるまでの時間を長く感じるようになりました。

気になっていた隣人が怪しいと、ノイローゼ気味の奥さんは夫に訴え、
仕方なく旦那さんは妻の手をひいて隣の部屋を訪ねました。
悪戯の犯人に疑われていたお隣さんは、驚いて誤解を訴えました。

「奥さんが挨拶に来てびっくりしたんですよ。だって、引っ越しの夜に
別の女の人が挨拶に来ていたものだから」
青ざめながら二人が部屋に帰ると、カギを閉めた部屋の玄関にあった奥さんの履き物が、
アパートの前の道路に投げ捨てられていたそうです。

ごみこさん

Posted on 8月 24, 2015

N県のとある山中には深夜にごみこさんが出るって、噂を聞きました。

もしも、出会ってしまうと

「あたしを捨てたなぁ!!」

と、体を八つ裂きにされゴミ袋に詰めて捨てられるそうです

友達から聞いた話ですが、ある幼い姉妹が留守番中に家の中でかくれんぼをすることにしました。姉が隠れることになり、二階の寝室のベッドに隠れました。妹が数え終わり、姉を探し始めました。

Posted on 8月 23, 2015

友達から聞いた話ですが、ある幼い姉妹が留守番中に家の中でかくれんぼをすることにしました。姉が隠れることになり、二階の寝室のベッドに隠れました。妹が数え終わり、姉を探し始めました。5分経過して、妹が二階を探し始め、姉は『見つかるかも』と思いました。

しかし、隣の部屋から『お姉ちゃん出てきてよぉ。そこに隠れてるんでしょ?』と、妹が叫んでいました。姉は急いで隣の部屋に行き、

『私はここだよ。』

妹はタンスの前にいました。

『え?』

と、振り向いた瞬間にタンスから白い手が出てきて妹をタンスの中に引っ張りこみ、ドアが閉まりました。姉はタンスを開けましたが、妹の姿はどこにもありませんでした。あの白い手も……

しばらくしてから、母親が帰ってきました。姉は母親に泣きながら、『妹がいなくなっちゃった。』

しかし、母親は、『何言ってんの?あんたは一人っ子でしょ』

晴美の末路

Posted on 8月 22, 2015

へへへ、おはようございます。流石に皆さん怖い話をしなさる。今日は生憎天気が悪いようで。
あの時も丁度今日みたいな雨空だったな。あ、いえね、こっちの話でして。え?聞きたい?
そんな事誰も言ってない?はぁはぁ、すみませんね、私も毎日苦しくて。正直この話を誰かに
打ち明けないと気が狂いそうでして。それでは、早速暇つぶしにでもお読み下さい…へへへ。

もう10年ほど前になりますかね。当時、私はとある地方の寂れたスナックで働いてましてね。
そこで、店の女の子の1人と良い仲になっちまったんですよ。ま、良くある話です。へへへ。
アパートに同棲してまして。スナックのママも他の従業員もみな承知の上でしてね。
まぁそこそこ気楽に楽しく暮らしてましたわ。しかし、この、仮に晴美としましょうか。
晴美はかなりのギャンブル狂でして。パチンコ・競馬・競艇・競輪・ポーカー・マージャン、
なんでもござれでして。これが勝ちゃ良いんですが、弱いんですよ。賭け事にも才能ってありますよね。
案の定、借金まみれになっちまった。それでも何とか、働きながら返してたんですよ。
え?私はどうかって?私はあなた、ギャンブルなんてやりませんよ。そんな勝つか負けるか
分からないのに大金賭けられますかいな。以外に堅実派なんですよ。へへへ。…話を戻しましょうか。
同棲しだして、2年ほど経った頃でしたかね。とうとう、にっちもさっちも行かなくなっちまった。
切羽詰まった晴美は、借りちゃいけない所から金借りちゃったんですよ。まぁヤクザもんですよね。
ある夜、アパートに2人でいる時に、男が2人やって来ましてね。見るからにそれモンですよ。
後は大概、お分かりですよね?TVや映画で良くある展開と同じですよ。笑っちまうくらい同じです。
金が返せないのなら、風俗に沈める、の脅し文句ですよ。それでも晴美は1週間、1ヶ月待って
下さい、と先延ばししながら働いてましたよ。え?私?私は何も出きゃしませんよ。
ヤクザもんですよ?とばっちりは御免です。え?同棲しておいてそれはないだろうって?
はぁはぁ、ごもっとも。でもね、皆さんもいざ私のような環境に置かれると分かりますって。

ある夜、いつもの様にアパートに取立てがやって来ましてね。所がちょっと様子が違うんですよ。
幹部って言うんですか?お偉いさん来ちゃいまして。一通り晴美と話した後、
つかつか?と私の方にやって来まして、お前があいつの男か?と聞くんですよ。
ここで違う、とは言えませんわね。認めると、お前にあいつの借金の肩代わりが
出来るのか?と聞くんですよ。出来るわけないですよ。その頃には借金1千万近くに
膨れ上がってましたからね。当然無理だと言いましたよ。そしたらその男が、
あぁ、今思えば北村一輝に似た中々の良い男でしたね。あ、へへへ、すみません。
話を戻しましょうか。その男が、ならあの女は俺らがもらう。ってんですよ。
仕方が無いな、ともう諦めの境地でしたよ。私に害が及ばないのであれば、
どうぞご自由に、と。え?鬼?悪魔?鬼畜?はぁはぁ、ごもっとも。でもね、
水商売なんて心を殺さないとやってけないんですよ。晴美に惚れてたならまだしも、
正直体にしか興味ありませんでしたからね。え?やっぱり鬼畜?はぁはぁ、結構です。
それでもって、男が妙な事を言い出したんですよ。あの女の事を今後一切忘れ、
他言しない事を誓うならば、これを受け取れ。と言うと、私に膨れた茶封筒を
差し出したんですよ。丁度百万入ってましたよ。でもね、嫌じゃないですか。
ヤクザから金もらうなんて。下手したら後で、あの時の百万利子つけて返して
もらおうか、何て言われちゃたまりませんからね。断りましたよ。そしたら、
その幹部の連れのチンピラが、ポラロイドカメラでもって私を撮ったんですよ。
そしてその幹部が、この金を受け取らなかったら殺す、って言うんですよ。
何で私がこんな目に、と思いましたよね。渋々受け取りましたよ。そして、
もし今後今日の事を他言する様な事があれば、お前が世界のどこにいても
探し出して殺す、と。その時、私は漠然とですが、晴美は風俗に沈められるのでは
無く、他の事に使われるんだな、と思ったんですよ。もっと惨い事に。

晴美はある程度の衣服やその他諸々を旅行鞄に詰め込み、そのまま連れて行かれました。
別れ際も、私の方なんて見ずにつつ?と出て行きましたね。結構気丈な女なんですよ。
1人残されたアパートで、私はしばらくボーッとしてました。明日にでもスナック辞めて
どこかへ引っ越そうと思いましたね。嫌ですよ。ヤクザに知られてるアパートなんて。
ふと、晴美が使っていた鏡台に目がいったんですよ。リボンのついた箱が置いてあるんです。
空けて見ると、以前から私の欲しがってた時計でした。あぁ、そういえば明日は私の誕生日だ。
こんな私でも涙がつーっと出てきましてね。その時初めて、晴美に惚れてたんだな、
と気がつきました。え?それでヤクザの事務所に晴美を取り返しに行ったかって?
はぁはぁはぁ、映画じゃないんですから。これは現実の、しょぼくれた男のお話ですよ。

翌日、早速スナックを辞めた私は、百万を資金に引っ越す事にしたんです。
出来るだけ遠くに行きたかったんで、当時私の住んでた明太子で有名な都市から
雪祭りで有名な都市まで移動しました。そこを新たな生活の場にしようと思った訳です。
住む場所も見つかり、一段落したので、次は仕事探しですよ。もう水商売はこりごり
だったので、何かないかなと探していると、夜型の私にピッタリの、夜間警備の
仕事がありました。面接に行くと、後日採用され、そこで働くことになったんですよ。
それから約10年。飽きっぽい私にしては珍しく、同じ職場で働きました。
え?晴美の事?時々は思い出してましたよ。あの時計はずっとつけてました。北国へ来てから
新しい女が出来たり出来なかったりで、それはそれで、楽しくは無いですが平凡に暮らしてましたよ。
私、こう見えてもたま?にですが、川崎麻世に似てるって言われるんですよ。
え?誰も聞いてない?キャバ嬢のお世辞?はぁはぁ、失礼しました。
それで、つい1ヶ月前ほどの話です。同僚のMが、凄いビデオがある、って言うんですよ。

どうせ裏モンのAVか何かだろうと私は思いました。こいつから何回か借りた事が
あったので。そしたらMが、スナッフビデオって知ってる?って言うんですよ。
私もどちらかと言うと、インターネットとか好きな方なんで、暇な時は結構
見たりするんですよ。だから、知識はありました。海外のサイトとか凄いですよねぇ。
実際の事故映像、死体画像、などなど。で、ある筋から手に入れて今日持って来てるんだが見ないか?
ってMが言うんですよ。深夜3時頃の休憩時間でしたからね、まぁ暇つぶしくらいには
なるだろうってんで、見ることにしたんですよ。私は、どうせフェイクだろうと
疑ってかかったんですけどね。ビデオをデッキに入れ、Mが再生ボタンを押しました。
若い全裸の女が、広い檻の中に横たわっていました。髪の毛も下の毛も、
ツルツルに剃りあげられていました。薬か何かで動けなのか、しきりに眼球だけが
激しく動いていました。晴美でした。私は席を立ちたかった。でも何故か動けないんですよ。
やがて、檻の中に巨大なアナコンダが入れられました。何か太いチューブの様な物を
通って。大げさじゃなしに、10m以上はあったんじゃないでしょうかね。
それはゆっくりと晴美の方に近づいて来るんですよ。Mが凄いだろ、と言わんばかりに
得意げに私の方を、チラチラと横目で見てきます。それは、ゆっくりと巨体を
しならせ、晴美の体に巻きつきました。声帯か舌もやられてるんでしょうか、
晴美は恐怖の表情を浮かべながらも、声ひとつあげませんでした。パキパキ、と言う
野菜スティックを2つに折った様な音がしました。晴美の体が、グニャグニャとまるで
軟体動物の様になっていったんです。10分ほど経ったでしょうか。それが大口を開けました。
晴美のツルツルになった頭を飲み込んだんですよ。
ここからが長いんだ、とMは言い、早送りを始めました。それは、晴美の頭部を
飲み込み終えると、さらに大口を開け、今度は肩を飲み込み始めました。
胴体に達したとたん、テープが終わりました。続きが、後2本あるんだ、と
Mが言ったんです。もういい、と私は言うと、逃げるようにビルの巡回に戻りました。

それからなんですけどね、いつも同じ夢を見るんです。晴美の顔をした大蛇が、
私に巻きつき、締め付けてくるんですよ。そして体中の骨を砕かれ、頭から晴美に
飲み込まれるんです。凄まじい激痛なんですが、逆にこれが何とも言えない快感でしてね。
晴美の腹の中でゆっくり溶かされ始める私は、まるで母親の胎内に戻った様な
安心感さえ感じるんですよ。え?そのビデオはどうしたかって?Mから私が買い取り
ましたよ。それこそ、給料何ヶ月分かの大枚はたいてね。3本全部見て、
少し泣いた後、私は全てビデオを叩き壊しました。

それで、深夜仕事をしてると、晴美を感じるんですよ。
ビルなどの屋内を1人で見回るでしょう?すると、後ろからピチャピチャと
足音が聞こえてくるんですよ。振り返ると、誰もいない。でまた歩き出すと、
濡れた雑巾が床に叩きつけられる様な音で、ピチャピチャと。晴美かな、
と思うんだけれども、一向に姿を現さないんですよ。感じるのは気配と足音だけ。
そんな事が数日続き、流石に精神的にまいってしまいましてね、今現在、
休暇と言う事で仕事を休んでるんですよ。3日前です。とうとう晴美が現れたんですよ。
深夜、自宅のベッドでボーッと煙草をふかしていたら、白い煙の様な物が
目の前に揺れ始めたんですよ。煙草の紫煙かな、と思ったんですが、動きがおかしい。
まるで生きてるように煙がゆ?らゆ?らと形をとり始めたんですよ。
晴美でした。既に溶けかかり、骨が砕けた全身を、マリオネットの様に揺らし、
「まだある」方の眼球で、私を見つめてきました。何かを言いたげに口を動かしていますが、
舌が無いのか声帯が潰されているのか、声にならない声で呻いていました。
どの位の時間が経ったでしょうかね。いつの間にか晴美は消えていたんですよ。
恥ずかしい話、私は失禁と脱糞をしていました。はぁはぁはぁ、汚くてすみませんねぇ。
次の日の夜も晴美はやってきました。もう私はね、晴美に呪い殺されてもしょうがない
んじゃないかと思い始めてましてね。晴美が再び現れるのを心待ちにしてた部分もあったんです。
やはり、晴美は何か言いたげに口を動かしています。私は駆け寄り、
何が言いたい?私はどうすれば良いんだ?時計、時計、時計ありがとう、
あの時何もしてやれなくてすまない、時計は大事に持ってる、時計は、時計は。
半狂乱のまま、私は叫び続けたんです。すると、晴美が折れた首を健気に
私の方に近づけて、言ったんです。途切れ途切れながらも、ハッキリと聞き取れました。

「わたし、あんたのこどもほしかったな」

今日も夜が来る。