真夜中、廊下の床板をキュッキュキュッキュ擦る音がする

Posted on 4月 30, 2015

真夜中、廊下の床板をキュッキュキュッキュ擦る音がする
恐る恐る様子を見に行くと、酔って帰宅した親父が禿散らかしたデコを床に擦りつけながら
「うぉーーー!何処まで行っても壁ばっかりだぁーーー!?」
俺は何も言わず、部屋に戻って寝た
翌朝、光りに照らされた廊下には巨大なナメクジが這ったような跡が残っていた

友人が教えてくれた話。 ある男子高校生(W)が居て、姉が一人居た。姉は地方で一人暮らしをしていた。

Posted on 4月 29, 2015

友人が教えてくれた話。

ある男子高校生(W)が居て、姉が一人居た。姉は地方で一人暮らしをしていた。

ある日、Wの家に電話がかかってきた。電話をとったWの母は、血相を変えた。
姉が住んでいる地域で殺人がおこり、その被害者が、Wの姉である可能性が高い
というのだ。Wの両親は、姉が住んでいる地域へと向かった。
一人で留守番をしていたWの家に、宅急便が届いた。クール宅急便だった。
時間帯指定、品名は生もの。

よく見ると、そのガムテープには髪の毛らしきものがついている。確信を持って、
Wはそのガムテープを取ろうとした。瞬間、
「腐るから開けないで」
背後では、いつの間にか付いていたテレビが、首無し死体の身元発覚というニュース
を流していた。綺麗好きの、Wの姉のものだった。

終電近く地下鉄のホームの端で酔っぱらいが線路に向かってゲーゲーやり出した。 しばらく収まったみたいだったが突然大きく線路に頭を付きだし口から噴水のようなげろを延々と吐き出し始めた。

Posted on 4月 29, 2015

終電近く地下鉄のホームの端で酔っぱらいが線路に向かってゲーゲーやり出した。

しばらく収まったみたいだったが突然大きく線路に頭を付きだし口から噴水のようなげろを延々と吐き出し始めた。

気持ち悪かったがあまりにもすごいので見続けてしまった。

タイミング悪くその時カーブの先から電車がホームに入ってくるとこだった。

ああっつと思った瞬間パーンという音とともにそいつのつきだした頭が 砕ける音が響くと同時にあごから上だけに砕けた頭の固まりが横の柱にぶち当たった。

黒い髪の付いた固まりが柱の根本にまるでスイカをぶち当てたよう崩れ落ち灰色した脳が真っ赤な血とぐちゃちゃに散らばった。

頭蓋骨が割れたヘルメットそっくりだった。

ううっーと思った瞬間、頭が下あごだけになった体が斜め前のホーム中央まで飛ばされていった。

同時にこれを見た客達からのすごい悲鳴がホーム中響き渡った。

その体は、こちらに砕けた頭を向けるような位置で止まっていた。

下顎の歯と舌だけが首にくっついた状態だった。

喉に当たる穴から空気が血と混じってゴロゴロ音を出して吹き出していた。

体はまだ生きていたのだ。
膝を立てたように転がっていた体は足を床に何度も何度もこすりつけ、砕けた頭を中心に円を描くようにぐるぐる回転しだした。

あれほど身の毛がよだつ瞬間はなっかった。

脳がないのに断末魔の苦しみから逃げるように・・・
何かの話で首を切り落とした鶏がそのまましばらく走り回る話を思い出してしまった。

人間でもあるんだ・・・

ふと柱を振り返ると砕けた頭から飛び出した目玉がまるで遙か向こうの自分の体を見つめているように床に付着していた。

もう気が狂うと思うほど凍り付いた瞬間だった。

これが列車事故の現実なんだと思った。

知り合いには知能障害の叔父さんがいて、知り合いが物心付いた頃から既にちょっとおかしい人だったらしい

Posted on 4月 28, 2015

知り合いの話。

知り合いには知能障害の叔父さんがいて、知り合いが物心付いた頃から既にちょっとおかしい人だったらしい
そんな人だから、結婚も出来ず、60を過ぎても一人暮らしをしてた
で、ある日耳から変な液が出てきたってんで兄弟が病院に連れてったんだと
そしたら頭蓋ん中イッパイに膿が溜まってて、それが脳を圧迫してた
医者は親族にこう尋ねた
「昔、頭の手術をしたことありませんか?」
そういえば、彼が3歳だった頃に風呂で母親が頭を洗っていて水が耳に入り、耳が腫れたことがある。
その時手術をしたと思うが、それがどうしたのか
「恐らくその時に付いた傷が原因ですねこの膿は・・・今まで知能障害と思われていたのも、脳についた傷と膿がもたらしたものでしょう。」

先天性のものだと思っていたものが実は医療ミス
しかも3歳の頃の傷で、約60年分の人生を台無しにされてしまった
親族にしたらものすごいショックだったと言う
しかも膿の摘出手術を終えないと助からなかったが、既に本人にその体力がない状態

数日して亡くなったという
洒落にならん話だった

俺は一人暮らしを始めた。4畳一間の古くさいアパート。 だが、引越してきてからどうもおかしい。体調がすごく悪い。

Posted on 4月 27, 2015

俺は一人暮らしを始めた。4畳一間の古くさいアパート。

だが、引越してきてからどうもおかしい。体調がすごく悪い。
というか…いつも誰かから見られてる気がするんだ。特にふすま。ふすまが怖い。
霊感ないけどこれはヤバイと思った。大家や近所の人の態度もなんかおかしいし…

ある日2ちゃんのレスを思い出して、ちょっと天井裏を覗いてみた。
仏壇はなかったけど、ボロボロになったうす灰色のビニール袋に包まれた、何かがあった。
開けてみたらビデオテープと、髪の毛の切れ端が束で入っていた。
ビデオテープはすごく汚れていて触るのがためらわれるくらいだった。再生してみた。

写っていたのは 俺の部屋だった。
俺の部屋に一人の男(前の住人か?)が座っている。
いや、座っていたり、寝転んでいたり、畳の目の数を数えていたり、
痒いのか、全身をずっとかきむしっていたり…

なんていうか、様子がおかしいんだ。
そういう男の様子が、15秒ごとくらいに編集されて写ってた。

全部で5分くらいのビデオだった。
ちょうど俺の部屋の窓の下に、じかにビデオ置いて、部屋に向けて撮ってるかんじ。
こんなの撮る意味も、それを天井裏に隠す意味も、髪の毛まで一緒に隠してる意味も
わからなくて不気味だった。なにより、男の様子はホントにおかしくて、ぞっとした。

怖いのでどうしていいかわからず、とりあえず友達に見てもらうことにした。

俺の部屋で見た。友達は固まってたと思ったら、泣き出して、早く出たい、
この部屋から出たい、けど怖くて動けない、と言う。
…キ○ガイの男の映像なんか見ちゃって、よほど気持ち悪かったんだろうな。と思って
「ホントに不気味だよなこの男」って言ったら、「ちがう!!!」

男の異常さに気をとられてて、俺は気付かなかった。

ふすまいっぱいに女の顔が写っていた。はっきりと、男を見つめてる巨大な女の顔。
それだけじゃない。
編集されたシーンには必ず髪の長い女が、男を見つめる姿が映ってたんだ。
ガラス戸のむこう、ドアの前、流しの中、机の下…

俺はすぐに実家に帰って部屋を解約した。荷物は全部捨てた、二度とあの部屋に入りたくなかった。
近所の人に必死で聞いた結果、あの部屋で同棲してたカップルがいたんだが、
男が女を殺して押入れに隠し…男の気が狂って発覚した
なんて事件があったらしい。あのビデオを見てしまった俺はもう、「ありがちなオチだな」なんて笑えない。

姉、昔は夜のお仕事のホステスさんで独り暮らしだった

Posted on 4月 24, 2015

472 : 本当にあった怖い名無し[sage] : 2013/07/25(木) 15:11:41.28 ID:HJCKN04rP
たいした話じゃないけど
姉が体験した話

姉、昔は夜のお仕事のホステスさんで独り暮らしだったんだけど
仕事は夕方から深夜3時くらいに終わって4時に帰宅ってサイクル
んで、ある日いつも通り独りコツコツと誰も居ない夜道を歩いて帰る訳よ
そしたら、ヒール音がどうも二重に聞こえる
変だなー?と思いつつそのまま歩くけどやっぱり二重に聞こえる
両サイドの塀に音が反射してんのかとも思ったけど
いつも反射なんてしないし
何かヒールの音が若干違うし少しリズムも違う気がする
一旦足を止めて後ろ振り向いても誰もいない
足音も一緒に止まる
変なのって思いながら前に向き直ったら
自分の僅か1メートルも無い目の前に
セミロングヘアで赤いスーツとタイトスカートはいた女性が後ろ向きに立ってたらしい
あまりにびっくりして固まってると
まるでアニメとか見てるみたいに頭からすうっと消えていき最後に足まで完全に消えたらしい
我に返ってウワアアアッて走ってパニックになってたから
うっかり女性が立ってた付近を走り抜けた
その地点で何かにズルズルって通り抜ける気持ち悪い感触まであったらしく
その後しばらく姉は自宅には帰らず実家から仕事通ってた。

4~5年前マンションで1人暮らしを始めた時のこと。ある日仕事を終えて帰ったら、カギが空いてる。

Posted on 4月 23, 2015

4~5年前マンションで1人暮らしを始めた時のこと。

ある日仕事を終えて帰ったら、カギが空いてる。
(おかしい。閉めたはずなのに。)
(まあいいや時々忘れることもある)と思いつつもこわごわ中に入る。

案の定、なんだか違和感を感じる… 
そして、ほんのわずかな小銭(500円ぐらい)を投げ入れておいた
小さなトレイから小銭がきっちりなくなっていることに気づく。
あーやっぱりなと思って床に目を凝らすと、うっすらクツの跡。
ちくしょう、空き巣だ。

幸い自分はまだ引っ越してきたばっかり、荷もほぼ解いてないありさま。
通帳もハンコも持ち歩いていたので、金目の物なんてPS2とパソコンぐらいしかない。
被害額も500円そこそこで助かったというべきなんだけど
この部屋の中に他人が土足で上がりこんで物色していったなんて、
死ぬほど気持ちが悪いのと同時に、無性に腹が立った。
そこでその夜、自分のサイトのBBSで常連3人(全員男)と一緒に
遊び8割、マジ2割で撃退策を練った。

次の日出かける前に、玄関入ってすぐ正面の壁に張り紙を貼った。
これが昨夜の作戦会議の賜物、空き巣ビビらせビラである。
(今振り返れば危ないことをしたと思うけど、当時はバカがやりたくて仕方のない年頃だ)
まぁちゃちいイタズラなんだけど、A4の紙に小さな文字でびっしりと文章を書いたもの

「恨みます恨みます恨みます、どろぼうどろぼうどろぼう
 お金なんかない、お金なんかない、ないないないない
 ないのにとるな、あたしのおかね、とるな。あたしのおかねだ
 あたしのおかねかえして、かえして、かえして、おかねかえして
 ころす、ころしてやる、おかねをかえさなかったらころす、ころす
 ぜったいころす、よる、ころしにいく、ぜったい、ころす、ころすからな」

(我ながらすげー陰険だ、さすが携帯が全く鳴らないだけあると思う)
またすぐに空き巣に入られるとも思ってなかったが、とりあえず貼っといた。

そしてその日の仕事も終わり、ある同僚の男に飲みに誘われたので
ぶらぶら付いて行ったところ口説かれ始めたのでサッサと帰ってBBSのネタにしようと思い
またぶらぶらと帰宅した夕方のこと。

また家のカギが開いてる。
しかも開けてすぐの床の上に、2000円札が小さな紙と一緒に置いてあった。

「ごめんなさい、大変申し訳ございません。お金をお返しします。
 下着も取りました、100回以上かぶってしまいました、
 ブラもパンティも大変にご趣味がよろしくつい魔がさしました。
 今は汚してしまったのでお返しできません。申し訳ございません。
 こないでください、どうか呪わないで。 空き巣より」

もちろんマンションはすぐに引き払いました。
大家に怪文書を渡して(レシートの裏だった、ゴミ箱から漁ったらしい)、特に被害届けも出しませんでしたが。
今はオートロックのマンションに住んでます。
しっかしあの文章は怖かった。

今日真っ昼間から洒落ならなかった。

Posted on 4月 22, 2015

今日真っ昼間から洒落ならなかった。
トイレ絡みで色々下世話だが許してくれ。

某ビルの男女共有トイレ。最新式の、勝手に蓋が開いたり水流れたりするやつ。

俺は気持ち良く大きい方を出して、尻をふこうと腰を上げたらなんとドアが急にがたがたいってから全開に!
以前鍵のかけ方が甘くておばちゃんに開けられたこともあり、俺は毎回確認してるのに。

慌てて手を伸ばしドア閉めて施錠。

便座を離れて手を洗っていると、先ほど自動で閉まって水を流してた便器が勝手に反応してやがる。
蓋がするする開き、お尻洗浄ノズルまで作動…

不気味で慌てて手洗いをすまそうとして、手元を見ると、
排水溝のところから変なものがちょろりと見えている。

最初はウニかと思った、そんな色。でもなんか大きいし質感が変。うににしちゃあ固そうだし。ぶつぶつとかあるし。
理科室のホルマリン漬けに似とる、と思い、その瞬間思い当たった!
人間のベロを裏側から見たらこんな感じ!

試しに鏡に向かって舌をぺろっとしてそいつと見比べたが似てる…
血管とか筋とかぶつぶつとか、変色してるけどちゃんとあるし…

一瞬誰かがそこでゲロしてその内容物がそうみえるだけ、と自分を無理矢理納得させようとしたが無理だった…
次の瞬間謎の舌が水流と逆に動いて、俺はまじ逃げたorz

このスレのみなさんはなーんだ程度かも知れないが俺のようなチキンにはきついです。
肝試しなら覚悟も決めるが、昼の三時の最新型のビルなんて全くの無防備に決まってる。

綺麗な明るいトイレは大丈夫と信じてたのに…
外のトイレがマジしばらく使えない…

ある町の学校に通うA君のクラスである怪談が流行り始めた。 どうやら、広めているのはB君らしい。

Posted on 4月 19, 2015

ある町の学校に通うA君のクラスである怪談が流行り始めた。
どうやら、広めているのはB君らしい。
B君の話によると、学校の裏にある山には古井戸があり、
その井戸を真夜中に覗いて水面に自分の顔が映らなかった人は1週間以内に死んでしまうというものであった。
その噂を確かめようとして、水面に顔が映らなかったC君は
昨日から高熱で学校を休んでいる。
A君はその噂を確かめようと、友達のD君と古井戸に行く事にした。
真夜中に家を抜け出して、古井戸の所まで来たのはいいものの、夜の井戸は気味が悪い。
しかし、クラスの友達の前で迂闊にも宣言してしまったため後戻りできない。
二人は意を決して古井戸を覗きこんだ。

そこで二人が見たものは、古井戸の水にぼんやりと映っている顔であった。
しかし、水面に浮かぶ顔は一つであった。

うわああああぁぁああっ!!!!
夢中で山を逃げ降りた二人は、互いにあの水面に映った顔が自分だと思い聞かせた。

翌日、学校で二人は昨夜の出来事を全てB君に話した。
すると、話を聞いていたB君の顔から血の気が引いていった。
それを見たA君が、どうしたのかと尋ねると
真っ青な顔でB君が言った。

……あの噂は俺が作った嘘なんだよ…。あの井戸……今は水が入ってないぞ。
お前らの見た顔は……一体誰の顔なんだ…?

普段付き合いのいい同僚が、何故か海へ行くのだけは頑として断る。

Posted on 4月 18, 2015

普段付き合いのいい同僚が、何故か海へ行くのだけは頑として断る。
訳を聞いたのだが余り話したくない様子なので、飲ませて無理やり聞き出した。
ここからは彼の語り。ただし、酔って取り留めのない話だったので、俺が整理してる。

まだ学生だった頃、友人と旅に出た。たしか後期試験の後だったから、真冬だな。
旅とは言っても、友人の愛犬と一緒にバンに乗って当てもなく走っていくだけの気楽なもんだ。
何日目だったか、ある海辺の寒村に差し掛かったころ既に日は暮れてしまっていた。
山が海に迫って、その合間にかろうじてへばり付いている様な小さな集落だ。
困ったことにガソリンの残量が心もとなくなっていた。
海岸沿いの一本道を走りながらGSを探すとすぐに見つかったのだが、店はすでに閉まっている。
とりあえず裏手に回ってみた。
玄関の庇から、大きな笊がぶら下がっている。
出入りに邪魔だな、と思いながらそれを掻き分けて呼び鈴を鳴らしてみた。
「すんませーん。ガソリン入れてもらえませんかー?」
わずかに人の気配がしたが、返事はない。
「シカトされとんのかね」
「なんかムカつくわ。もう一度押してみいや」
「すんませーん!」
しつこく呼びかけると玄関の灯りが点き、ガラス戸の向こうに人影が現れた。
「誰や?」
「ガソリン欲しいん…」
「今日は休みや」
オレが言い終える前に、苛立ったような声が返ってくる。
「いや、まぁそこを何とか…」
「あかん。今日はもう開けられん」
取り付く島もなかった。諦めて車に戻る。
「これだから田舎はアカン」
「しゃーないな。今日はここで寝よ。当てつけに明日の朝一でガス入れてこうや」
車を止められそうな所を探して集落をウロウロすると、GSだけでなく全ての商店や民家が門を閉ざしていることに気付いた。
よく見ると、どの家も軒先に籠や笊をぶら下げている。

「なんかの祭やろか?」
「それにしちゃ静かやな」
「風が強くてたまらん。お、あそこに止められんで」
そこは山腹の小さな神社から海に向かって真っ直ぐに伸びる石段の根元だった。
小さな駐車場だが、垣根があって海風がしのげそうだ。
鳥居の陰に車を止めると、辺りはもう真っ暗でやることもない。
オレたちはブツブツ言いながら、運転席で毛布に包まって眠りについた。

何時間経ったのか、犬の唸り声で目を覚ましたオレは、辺りの強烈な生臭さに気付いた。
犬は海の方に向かって牙を剥き出して唸り続けている。
普段は大人しい奴なのだが、いくら宥めても一向に落ち着こうとしない。
友人も起き出して闇の先に目を凝らした。
月明りに照らされた海は、先ほどまでとは違って、気味が悪いくらい凪いでいた。
コンクリートの殺風景な岸壁の縁に蠢くものが見える。
「なんや、アレ」
友人が掠れた声で囁いた。
「わからん」
それは最初、海から這い出してくる太いパイプか丸太のように見えた。
蛇のようにのたうちながらゆっくりと陸に上がっているようだったが、不思議なことに音はしなかった。
と言うより、そいつの体はモワモワとした黒い煙の塊のように見えたし、実体があったのかどうかも分からない。
その代わり、ウウ…というか、ウォォ…というか、形容し難い耳鳴りがずっと続いていた。そして先ほどからの生臭さは、吐き気を催すほどに酷くなっていた。
そいつの先端は海岸沿いの道を横切って向かいの家にまで到達しているのだが、もう一方はまだ海の中に消えている。
民家の軒先を覗き込むようにしているその先端には、はっきりとは見えなかったが明らかに顔のようなものがあった。
オレも友人もそんなに臆病な方ではなかったつもりだが、そいつの姿は、もう何と言うか「禍々しい」という言葉そのもので、一目見たときから体が強張って動かなかった。心臓を鷲掴みにされるってのは、ああいう感覚なんだろうな。
そいつは、軒に吊るした笊をジッと見つめている風だったが、やがてゆっくりと動き出して次の家へ向かった。
「おい、車出せっ」
友人の震える声で、ハッと我に返った。

動かない腕を何とか上げてキーを回すと、静まり返った周囲にエンジン音が鳴り響いた。
そいつがゆっくりとこちらを振り向きかける。
(ヤバイっ)
何だか分からないが、目を合わせちゃいけない、と直感的に思った。
前だけを見つめ、アクセルを思い切り踏み込んで車を急発進させる。
後部座席で狂ったように吠え始めた犬が、「ヒュッ…」と喘息のような声を上げてドサリと倒れる気配がした。
「太郎っ!」
思わず振り返った友人が「ひぃっ」と息を呑んだまま固まった。
「阿呆っ!振り向くなっ!」
オレはもう無我夢中で友人の肩を掴んで前方に引き戻した。
向き直った友人の顔はくしゃくしゃに引き攣って、目の焦点が完全に飛んでいた。
恥ずかしい話だが、オレは得体の知れない恐怖に泣き叫びながらアクセルを踏み続けた。

それから、もと来た道をガス欠になるまで走り続けて峠を越えると、まんじりともせずに朝を迎えたのだが、友人は殆ど意識が混濁したまま近くの病院に入院し、一週間ほど高熱で寝込んだ。
回復した後も、その事について触れると激しく情緒不安定になってしまうので、振り返った彼が何を見たのか聞けず終いのまま、卒業してからは疎遠になってしまった。
犬の方は、激しく錯乱して誰彼かまわず咬みつくと思うと泡を吹いて倒れる繰り返しで、可哀そうだが安楽死させたらしい。
結局アレが何だったのかは分からないし、知りたくもないね。
ともかく、オレは海には近づかないよ。

以上が同僚の話。
昔読んだ柳田國男に、笊や目籠を魔除けに使う風習と、海を見ることを忌む日の話があったのを思い出したが、今手元にないので比較できない。