俺の実家からチャリで30分ほどのところに幽霊が出ると噂される廃墟になった病院の隔離棟がある。

Posted on 6月 6, 2015

俺の実家からチャリで30分ほどのところに幽霊が出ると噂される廃墟になった病院の隔離棟がある。
今では肝試しに来る若者が侵入できないようセキュリティーシステムがついているのだが、
俺が小学生の頃は中に入ることができた。

ある夏の暑い日、小学生だった俺は友達とチャリンコにまたがり病院を探検しにいった。
病院に着くまではへらへらしていた俺達だったが病院に着くとその薄気味悪い外観から
夏なのに寒気がして顔が強張ったことを記憶している。
ふと病院の近くを見ると俺達と同じように病院を探検しようとしているグループがいた。
話を聞くと地元の小学生(病院は俺達の小学校の校区外にある)であった。

話しているうちにすっかり打ち解け、地元の小学生たちは丁寧にも中への侵入の仕方を教えてくれた。
入り方は簡単で病院の外壁に割れた小窓があり、そこに手をかけよじ登って入るといった具合だ。

小窓は小さいため一人ずつ中に入っていくのだが、いざ俺がよじ登っているとき
後ろで不意に順番を待つ地元の小学生の一人が笑って、
「気をつけて、○○(俺の苗字)くん」と俺に声をかけた。
無事、みんなが入り終わり、中を探検しようとしたのだが
小学生だった俺達にはさすがにもう限界だった。
廊下や階段の壁には奇妙な落書き、手形らしきもの、これ以上は
進んではいけないということは俺達にもすぐにわかり
メスやカルテが置いてあるといわれる手術室に入ろうと
口にする者などおらずそのまま退却した。

物足りなさそうな地元の小学生に別れを告げ、
帰りは「結局は何も出なかったね」とか「どきどきしたww」とか
感想を言い合いながら皆興奮気味だった。

だけどね、家に着き、一人になったときに気づいたんだ。
俺、向こうの小学生に名前(苗字)を言っていないことに。
友達からは下の名前で呼ばれているから彼らに分かる訳はないんだ。

恐怖で俺はその日、寝ることができなかった。
次の日、友達に話そうと朝早くに登校し
学校のくつ箱に運動靴を入れるとき、あることに気づいたんだ。

靴を見ると真っ白な運動靴のかかとの部分だけ明らかに黒ずんでいた。
俺はそれが何であるかわかるのに時間はかからなかった。

そこには俺の名前が油性マジックで書かれていたんだ。


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